投資事業を行うGrowthix Investment株式会社(本社:東京都中央区、代表:奥井 夏樹、竹内 智洋、以下Growthix Investment)は、4月1日の「サーチファンド誕生の日」に向けてサーチファンドを活用した事業承継案件に特化した「サーチファンド白書 2022年度」を作成しました。なお、本資料は公開されている情報に基づきまとめております。

【TOPICS】
1.2022年度にサーチファンドによる事業承継が5件!3月に立て続けて投資実行
2.サーチファンド事業者は5社。3月には横浜銀行も参入を発表
3.福井県が自治体として初めてサーチファンドへの取り組みを開始
4.サーチファンド関連のニュースがテレビやWEBで露出増
5. アメリカとカナダでは2020年から2021年の2年間で124件のサーチファンドが組成
6.「サーチファンド誕生の日」の由来は世界初のサーチファンド事業者Nova Capital設立日
7.2023年度は銀行とジェネラルパートナー(GP)の連携強化でサーチファンド増加か!?

  • Summary

     2019年はサーチファンドという言葉を知っている人はほとんどいない状態でしたが、2020年からは事業者が増え始め、2022年度までにサーチファンドを活用した事業承継が各社で成立しました。メディアでの掲載が大幅に増えている点で着実に注目度も高まってきています。

     2022年度の主なトピックとしては5件の事業承継が成立 したほか、福井県が自治体として初めてサーチファンドの活用を開始。 また、2023年3月には横浜銀行が新たにサーチファンドに参入 することを発表しています。金融機関やM&A業界においてはサーチファンドを「聞いたことがある」という人が多くを占めるようになりましたが、一方で事業承継を考える売主やオーナーへの認知度はまだまだ低いように感じます。

     2023年度は横浜銀行のような銀行のサーチファンド参入が増加するのではないか と予想できます。ただ、横浜銀行ナショナルサーチファンドの連携のように、銀行単体ではなく、銀行とファンドの運営責任を持つジェネラルパートナー(GP)との連携が強化 されていくと考えられます。

  • サーチファンドとは

 経営者を志す個人(=サーチャー)が生活費や調査費などの活動予算(サーチ費用)を投資家・ファンドから調達 してその資金を活用し後継者不在企業を自ら探します。さらに、自身が承継したいと思う企業が見つかった際には、投資家・ファンドから買収資金をさらに調達して企業を買収・経営するアメリカ発祥のM&Aです。

 サーチファンドは一般的な企業対企業のM&Aとは異なりサーチャーがM&Aを行う ため、買収する前に何度も企業に足を運び現社長とコミュニケーションをとることができます。 社長はサーチャーの人柄や能力、価値観、熱意などを譲渡する前に確認できるため、後継者として適している人材かを見極めることが可能です。

 次の経営を任せられる人を社長自らが選べる点で、日本の中小企業の事業承継に合っており、後継ぎ不足を喫緊の課題としている中小企業オーナーにとって解決の糸口になると期待されています。

  • TOPIC 1 2022年度はサーチファンドによる事業承継が5件!3月に立て続けて投資実行

 2022年4月~2023年3月までの2022年度※は、5件のサーチファンドを用いた事業承継が実現 しました。

 1件目は2022年5月。全国エリアを対象とした事業承継を目的にサーチファンドを国内で初めて設立したGrowthixグループの子会社Growthix Investmentにて執行役員を務める岩渕寿太氏がしんば薬局を事業承継 しました。

 2件目は2022年12月、野村リサーチ・アンド・アドバイザリー株式会社と株式会社Japan Search Fund Accelerator(以下JaSFA)が設立したジャパン・サーチファンド・プラットフォーム(以下JSFP)と契約している松本竜馬氏が株式会社メディプラスを事業承継。 3件目は伊藤公健氏、株式会社日本M&Aセンター、日本政策投資銀行(DBJ)、キャリアインキュベーションによる合弁会社サーチファンド・ジャパンと契約している大富涼氏が株式会社アレスカンパニー を、4件目はJSFPと契約している岡部祐太氏が株式会社フレスコ を、そして5件目は山口キャピタルが設立する「地域未来共創Searchファンド」と契約している唐澤宏誌氏が三笠産業株式会社 を承継しました。

3~5件目はいずれも2023年2月に成立した案件で、年度末に投資実行が続きました。2019年は2件だったサーチファンドによる事業承継も、サーチファンド事業者の増加に伴い、過去最高の投資実行数となりました。

※2022年4月1日~2023年3月20日までを対象に集計

  • TOPIC 2 サーチファンド事業者は5社。3月には横浜銀行も参入を発表

 日本においては2022年時点で4事業者がサーチファンドに参入 しています。サーチャーが各事業者と契約し、承継候補となる企業の紹介を受けながら案件成立を目指す方法が一般的です。一方で、事業者と契約することなく、サーチャーが自力で承継先を探すトラディショナル型サーチファンド という形態をとっている方もいます。

 また、2023年3月には横浜銀行ナショナルサーチファンド株式会社で「サーチファンド未来創造」を設立 することを発表しています。これによりサーチファンド事業者は計5社 となりました。各社の特徴は以下の通りです。

【サーチファンド事業者】

サーチファンド事業者とサーチャーが契約を締結。ファンド事業者はサーチャーに対して事業承継の候補となる企業の紹介や事業承継の際に必要となる資金を投資する。 

  • TOPIC 3 福井県が自治体として初めてサーチファンドへの取り組みを開始

 2022年5月より福井県は福井商工会議所とサーチファンド事業者とともに「社長人材誘致支援プロジェクト」を開始 しました。本プロジェクトは福井県に本社を置く企業の事業承継を支援するもので、各サーチファンド事業者に対して福井県および福井商工会議所から企業情報の提供・紹介をしています。また、各事業者と契約するサーチャーが福井県に訪問する際の旅費の支給や事業承継が決まった際の奨励金の支給なども行っております。

 現在、福井県内の企業に対してサーチファンドを広めるセミナーを行っており、今後は企業の見学会なども予定されています。 

  • TOPIC 4 サーチファンド関連のニュースがテレビやWEBで露出増

 新聞・雑誌・テレビ・WEBでのメディア掲載数も徐々に増えてきており、2022年度は合計で91件の掲載がありました。

昨年度が81件であったため10件増えています。特に掲載数が増えているのはWEBとテレビです。WEBはサーチファンド事業者によるコラムが始まっており掲載数を伸ばしています。テレビはNHKとテレビ東京でサーチファンドが紹介されました。

  • TOPIC 5 アメリカとカナダでは2020年から2021年の2年間で124件のサーチファンドが組成

 サーチファンド発祥の地であるアメリカでは、スタンフォード大学やハーバード大学を卒業した生徒が起業するのではなく、承継という形で社長になるケースが多数あります。ハーバード大学院やスタンフォード大学院で教鞭をとっていたH.アーヴィング・グローベック(H. Irving Grousbec)教授が経営大学院(MBA)卒業生のキャリアパスの一つとして提唱しました。

 現在アメリカでは、サーチャーはインターンを雇いながらサーチ活動行うのが一般的 です。アメリカでは日本のようなM&A仲介会社があまり存在しないため、サーチャー自身が企業探しを行います。そのかわり、サーチャーに投資する複数の投資家で構成されたコミュニティが形成 されており、コミュニティ内で情報交換や企業探しなどを行います。投資家がサーチャーに対して経営について教えることもあり、こうしたコミュニティがワンチームとなって企業の買収・経営、そしてバリューアップを目指すモデルができあがっています。日本では投資家を中心としたコミュニティはないため、大きく異なる点です。

 スタンフォード大学の「Stanford GSB 2022 Search Fund Study」によると、アメリカとカナダでは2020年から2021年の間に124件のトラディショナル型サーチファンドが組成、66社の買収が実行されました。投資対象として多くを占める業界はソフトウェア、テック関連、企業向け(BtoB)サービスが挙げられ、その中でも買収価格の中央値が1,650 万ドルと大幅に増加したこと(2022 年の調査)や女性のサーチャーが全体の13%に増加したことが特徴と言えます。

  • TOPIC 6 「サーチファンド誕生の日」由来は世界初のサーチファンド事業者Nova Capital設立日

 「サーチファンド誕生の日」は1984年4月1日、アメリカのスタンフォード大学を卒業したジム・サザン(Jim Southern)がNova Capitalを立ち上げた日に由来しています。世界で初めてサーチファンドが設立された日です。

 Growthix Investment株式会社が申請し、一般社団法人日本記念日協会に認定していただきました。申請するにあたり、弊社の代表がスタンフォード大学のビジネススクールに伺い、サーチファンドの生みの親であるH.アーヴィング・グローベック(H. Irving Grousbec)教授の弟子で世界的な権威のあるピーター・ケリー(Peter B. Kelly)、サラ・ヘストン(Sara Heston)と直接話し合い、この日に決定しました。

 今後、「サーチファンド誕生の日」を活用して、中小企業の事業承継においてサーチファンドが有効であることをより浸透させるため、イベントや定期的な発行物を積極的に行います。

  • TOPIC 7  2023年度は銀行とジェネラルパートナー(GP)の連携強化でサーチファンド増加か!?

  2021年はサーチファンドというワードを知っている人すらほとんどいませんでしたが、2022年段階では金融機関・M&A業界内でも「聞いたことがある」という人材が多くを占めるようになりました。また、金融機関やM&A仲介からサーチファンドの勉強会を依頼されることも多くなりました。しかし、売主やオーナーの中でサーチファンドを知っている人は体感値で5~10%未満で、売主側への訴求は本年でさらに必要 と感じます。

 3月に横浜銀行ナショナルサーチファンドと連携して、サーチファンドへの参入を発表したこともあり、2023年度は金融機関とサーチファンド事業者の連携が増加すると予想 できます。これまで金融機関は自社系列のPEファンドを組成していましたが、今後はサーチファンド事業者をGPに立て、ファンドを組成するケースが増加すると思われます。金融機関からファンドに出向した行員などは、投資のプロであるサーチファンド事業者(GP)の下で、投資のノウハウを学ぶことができ、かつ安定的に収益をあげながら地域に根付く後継者不足企業を救うことができるからです。今回、横浜銀行がサーチファンド事業者であるナショナルサーチファンド社と連携したように、金融機関とサーチファンド事業者の連携が強化される1年となる ように思います。

【サーチファンド白書コメント】

Growthix Investment株式会社 代表取締役 奥井 夏樹(おくい なつき)

早稲田大学商学部を卒業後、米国系コングロマリッド最大手のGEに入社。中堅企業・中小企業向けのファイナンス業務に従事する。その後、コンサル業界大手であるデロイトトーマツコンサルティングにて、先進企業の成長戦略・新規事業戦略の立案を支援。2016年に独立後、BtoBプラットフォームサービスの開発・事業展開に創業メンバーとして従事。2021年よりGrowthix Investmentの立ち上げに参画。M&A及びサーチファンドという手法で後継者問題に悩む中堅企業・中小企業を支援。

Growthix Investment株式会社 代表取締役 竹内 智洋(たけうち としひろ)

新卒としてGEのファイナンスリーダー育成プログラム(FMP)に入社。ファイナンスの実務経験を積んだ後、本社監査部(CAS)に移籍。CASにて世界8ヶ国の航空機事業、エネルギー事業、医療機器事業、金融事業の会計監査・コンプライアンス監査業務に従事。2018年GEヘルスケアに移籍。APACリージョンのセールス&コマーシャルリーダーとして日本における中古医療機器の買取・再生・再販オペレーションを構築。その後GEヘルスケアジャパンのマーケティング部・コマーシャルオペレーション部の兼任部長に就任、本事業部業績のV字回復を牽引した。2021年にGrowthix Investmentの立ち上げに参画。

Growthixグループ会社概要
■Growthix Investment株式会社
所在地 :東京都中央区日本橋兜町 22-6 東京セントラルプレイス5階/6階
代表者:奥井 夏樹、竹内 智洋
設立:令和3年6月1日
URL:https://growthix-investment.com/
事業内容:投資事業有限責任組合の運用

■Growthix Capital株式会社
所在地 :東京都中央区日本橋兜町 22-6 東京セントラルプレイス5階/6階
代表者 :中島 光夫
設立:令和元年5月7日
URL:https://growthix.co.jp/

事業内容:M&Aアドバイザリー(仲介)業務


■一般社団法人ネクストプレナー協会
代表理事 :河本 和真
創立 :令和2年9月1日
所在地 :東京都中央区日本橋兜町 22-6 東京セントラルプレイス6階
URL :https://nextpreneur.jp
事業内容 :・事業承継コンサルティング
      ・補助金活用
      ・各種専門家紹介
      ・権限移譲におけるアドバイザリ―サービス
      ・経営企画室構築支援
      ・事業承継者育成のための「ネクストプレナー大学」の運営

「報道・取材のお問合せ先」
TEL : 070-1576-4954
e-mail:e.mori@growthix.co.jp
担当:森

配信元企業:Growthix Capital株式会社

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