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キア最大級のSUV レベル3自動運転も

韓国の自動車メーカーであるキア(起亜自動車)は、フラッグシップモデル「EV9」の仕様詳細を公開した。今年後半に発売予定の大型EVである。

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全長5010mm、ホイールベース3100mmで(米国で販売されるキア・テルライドより長い)、容量99.8kWhの800Vバッテリーを搭載する。1回の充電での航続距離は最大540kmとされ、急速充電によりわずか15分間で238km分の航続距離を確保できるという。

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キアEV9 GTライン    キア

シングルモーターの後輪駆動車は最高出力203ps、最大トルク35.7kg-mで0-100km/h加速9.4秒を達成する。デュアルモーターの四輪駆動車では最高出力383ps、最大トルク61.1kg-mにパワーアップし、0-100km/h加速は6.0秒となる。

購入後にダウンロード可能な「ブースト」機能をインストールすると、トルクが71.3kg-mに向上し、0-100km/h加速で5.3秒を達成できるという。

容量76.1kWhのバッテリーを搭載したエントリーモデルも設定されるほか、高性能モデルのEV9 GTも後日登場する予定だ。

現時点ではEV9 GTラインが最上位のモデルとなり、専用デザインのバンパーとホイール、ルーフレール、そしてダイナミックなLEDパターンが採用される。

また、一部の市場では15個のセンサー(2個のLiDARセンサーを含む)を使用して「一定条件下」でレベル3の自動運転が可能な「ハイウェイ・ドライビング・パイロット」システムも導入される予定だ。

EV9は3列シートを備えた電動SUVで、キアで最も高価なモデルであると同時に、最も大きなモデルの1つとなる。価格は、2023年第3四半期の発売に合わせて明らかになるが、エントリーモデルは6万ポンド(約970万円)台に近づくと思われる。

広いインテリア 回転シート付き

ダッシュボードの上部には、3枚のスクリーンを収容するデジタルパネルが置かれ、その両脇にはデジタルミラーディスプレイ(オプション)が備わる。

インテリアデザインの責任者であるヨッヘン・パエセン氏は、「スクリーンやデジタルコンテンツが主流になることは望んでいませんが、特に無線アップデートやオンデマンド機能によって、今日のクルマに不可欠な要素となっています。今後も成長し、可能性の幅も広がっていくでしょう。しかし、わたし達はそのバランスを取る必要があると感じています。スクリーンに支配されてはいけない。スクリーンが突然、クルマの主要部分になるようなことがあってはならないのです」と語っている。

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キアEV9(6人乗り仕様)    キア

EVのフラットフロア構造を活用し、広さだけでなく、新しいパッケージングも試みている。6人乗り仕様にのみ装備される2列目シートの回転機構により、後部座席の4人が向かい合うことができる。このクラスのSUVではユニークな機能である。

フロントシートの背面にはトレイテーブルが設置され、後部座席用のデジタル空調操作パネルも備わるなど、快適性と先進性を強調したインテリアとなっている。

リスクを取る個性的なデザインアプローチ

EV9のデザインは、BMW出身のカリム・ハビブ氏が指揮を執った。ハビブ氏が全面的にキア車のデザインを担当するのは今回が初めて。

シルエットは2021年公開のコンセプトモデルを踏襲しているが、23インチではなく21インチのホイール装着や、分厚いバッテリーパックの搭載によって、最低地上高はやや低くなっているようだ。鋭いエッジもいくらか和らげている。

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キアEV9 GTライン    キア

ハビブ氏は、今後のすべてのモデルに視覚的なリンクを持たせるが、「マトリョーシカ」のようなアプローチを追求することはないと説明している。

キアは、EV9のデザイン・アプローチを「相反するもの」と呼び、「洗練された彫刻的デザインと自信に満ちたジオメトリーのユニークな融合」によってそれを体現したと述べている。

しかし、クロスオーバーライクなEV6よりもはるかにSUVらしいデザインとなっている。ハビブ氏は「EV9はSUVであり、その類型を明確にしたかったのです」と説明し、ブラックのボディクラッディングや、くっきりとした2ボックスのシルエットを例に挙げた。

もっと型破りなシルエットにしなかったのはなぜかと尋ねると、ハビブ氏はこう答えた。「こういった正統派の、率直で箱型のSUVには、本当にいいものがあります。ランドローバー・ディフェンダーを見ると、新旧を問わず、何かとてもクールなものがあることがわかります」

ハビブ氏は、今後発売されるモデルにも、同じように個性的なキャラクターを持たせていくと語った。「わたし達はリスクテイカーでありたい。これは、何百万台も売らなければならないものをデザインする上での課題です」

「キアの製品は、わたし達自身にとっても、最初は少し未知で、少し違和感を感じるものであってほしい。それを乗り越えていくうちに、わたし達は製品によってより豊かに、より刺激を受けるようになると信じています。そして、そのプロセルはお客様にも感じていただけるものであってほしい」

キアは今後3年間で13台の新型EVを導入する予定であり、EV9はその序章に過ぎない。


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