A24製作・配給、ブレンダン・フレイザーが主演するダーレン・アロノフスキー監督最新作『ザ・ホエール』より、世界的アーティストのジェームズ・ジーン氏が手掛けた、ブレンダン演じる主人公チャーリーの内面が滲むアートポスターが解禁。併せて、ブレンダンの来日舞台あいさつイベントのオンライン参加者を募集することも発表された。

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 本作は、劇作家サミュエル・D・ハンターによる舞台劇を、ダーレン・アロノフスキー監督が10年以上にわたってあたため、映画化したもの。重度の肥満症となった引きこもりの教師チャーリーが、自分の死期を悟り、疎遠だった娘との絆を取り戻そうとする最期の5日間を描く。

 272キロの巨体の男チャーリーになり切ったブレンダンは、プライベートでの不幸が重なり表舞台から長らく遠ざかっていたが、本作で見せたパフォーマンスで賞レースを席巻。ブロードキャスト映画批評家協会賞にて主演男優賞を受賞、全米俳優組合賞(SAG)、英国アカデミー賞(BAFTA)、サテライト賞(ドラマ部門)、そしてついにアカデミー賞主演男優賞を初受賞した。共演は、セイディー・シンク(『ストレンジャー・シングス』シリーズ)、ホン・チャウ(『ザ・メニュー』『ダウンサイズ』)らが脇を固める。

 この度解禁されたアートポスターは、チャーリーの顔が全面に配されたもの。横には「僕は信じたかった」というコピーが添えられ、喪失と絶望を抱えながら生きてきたチャーリーの内面がにじみ出る、見る者の想像をかき立てるビジュアルに仕上がっている。

 このポスターを手掛けたのは、既成概念を打ち破るコラボレーションを発表し続ける台湾出身のアメリカ人アーティスト、ジェームズ・ジーン氏(James Jean)。様々な形式や美術史上の手法を実験的に用いて、想像力に富む多様なアプローチで作品を生み出すジーン氏の展覧会はニューヨークロサンゼルスロンドン他世界各国で巡回され大きな話題に。

 過去にはプラダのコレクションとコラボレーションしたほか、2021年には韓国の複合文化空間HYBEミュージアムで、「BTS X JAMES JEAN」としてアイドルグループBTSのメンバー7人を描き、彼らのキャラクターをデザインした作品を発表した。映画界でも「ハリウッドが愛した作家」と呼ばれ、ギレルモ・デル・トロ監督最新作『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』や、A24作品『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でのコラボレーションポスターなどを手掛けた。

 アロノフスキー監督とは『マザー!』(2017年)に続き2度目のコラボレーションとなった本作について、ジーン氏は「チャーリーの苦悩の深さは彼の肥大した体で表現されています、そこにすべての感情を押し込めるように」とコメント。ポスターについては「皮膚は外部と内部の単なる薄い境界線で、彼の苦悩は画面いっぱいに余白をも超えて広がる。そして彼の人間性や楽観性が顔の凹凸において破壊します。しわくちゃの紙の繊細な質感がその肖像に組み込まれ、それはチャーリーが長い間大切にし、ぎりぎりの彼を支え握りしめていた、娘エリーのエッセイを思わせます」と説明している。

 アロノフスキー監督は、今回のジーン氏のポスターについて「僕とジェームズは古くからの友人。今までもコラボレーションしていますが、アーティストとして彼は超多忙なので『公開前に映画を観ないか』という誘い方で、ある意味、罠を仕掛けました(笑)。すると彼は『ああ、この映画のために絵を描かなくちゃ』って言ってくれたんです」と、コラボに至った経緯を明かした。

 さらに今回、日本公開に合わせて、ブレンダン・フレイザーの緊急来日が決定。ブレンダンが登壇する公開記念舞台挨拶<ブレンダンを祝福・応援しよう!>オンライン参加者の募集が、本日3月29日18時よりスタートする。当日の壇上では、大学のオンライン講座の講師である主人公チャーリーの役柄にちなみ、ZOOM画面を投影。オンライン参加者は、ブレンダンとともにイベントに参加できる貴重なチャンスとなっている。上映付き舞台挨拶のチケットは、3月31日より先行抽選販売開始。詳細は公式サイトにて。
 
 映画『ザ・ホエール』は、4月7日より全国公開。

 ※ジェームズ・ジーン氏コメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■ジェームズ・ジーン(アートポスター制作)

昨年『ザ・ホエール』を観て、ダーレン・アロノフスキーからポスター制作の依頼を受けた時、私はすぐに画家のルシアン・フロイドが描いたリー・バウリー(パフォーマンス・アーティスト)の肖像画や、キキ・スミス(アーティスト)の自画像“My Blue Lake”を思い浮かべました。後者は、キキ・スミスが自分の胴体の表面を特別なカメラで撮影し、皮膚の立体地図のようにもみえるイメージを作り出したものです。

ブレンダン・フレイザーが演じるチャーリーを描く間、私はフロイドに倣おうとしました。モデルであるバウリーに対して親しみを込める一方で、情け容赦のない―彼の観察眼です。映画の中で、チャーリーの苦悩の深さは彼の肥大した体で表現されています、そこにすべての感情を押し込めるように。皮膚は外部と内部の単なる薄い境界線で、彼の苦悩は画面いっぱいに余白をも超えて広がる。そして彼の人間性や楽観性が顔の凹凸において破壊します。しわくちゃの紙の繊細な質感がその肖像に組み込まれ、それはチャーリーが長い間大切にし、ぎりぎりの彼を支え握りしめていた、娘エリーのエッセイを思わせます。

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