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 これまで、画像生成AIには「手を正確に描写できない」という問題点があった。だがついに克服しつつあるようだ。

 最近アップグレードされた画像生成AI「Midjourney(ミッドジャーニー)」のの最新版「Midjourney V5」は、前バージョンの「2倍の解像度」や「より広いアスペクト比」がサポートされ、「よりシャープで多彩」で、「一貫性のある画像」を生成できるなど、描写能力が大幅にアップされている。

 そして、これまでの弱点だった夢に出てきそうなグロテスクな手ではなく、普通の手を描けるようになったのだ。

【画像】 苦手分野を克服しつつある画像生成AI「Midjourney」

 近頃世間で大いに話題となっているのは、OpenAIのGPT-4マイクロソフトのBing Chat AIといった自然な会話を得意とするAIだが、画像生成AIも驚くべき性能を身につけている。

 画像を作ってほしいかを文章で入力すると、それに合わせたものを作ってくれる「Midjourney」もそうした画像生成AIの1つ。たとえば「両腕を組んで笑う男性」とAIに指示すると、その通りの画像を作ってくれるのだ。

 これを使えば、たとえ絵心のない人でもプロのアーティスト顔負けの画像を作り出すことができる。

 が、そんな画像生成AIにも1つ弱点があった。それは手や指の描写が苦手ということだ。なおこれは、Midjourneyだけではなく、Stable Diffusionなどほかの画像生成AIにも共通する問題点だった。

 人体のほかの部分はきわめて自然に描き出すのに、その腕の先を見ると、手を融合させたかのように指が多かったり、異様に長かったりと、盛大にやらかしてくれる。

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 それを見れば、ああAIの絵ね、とすぐにわかった。

手が苦手という弱点を克服しつつある最新バージョン

 しかしMidjourneyの最新バージョンとなるV5モデルではこの弱点を概ね克服している。

 たまに間違うことがあるとはいえ、手のひらから指先にいたるまで、ごく自然に描き出してくれるのだ。

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最新バージョンとなるMidjourney V5が描いた手 / image credit:twitter@TheCartelDel

 とは言え、たまに指が多かったり、組んだ手など複雑なものに難があったりと完璧ではないらしい。

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 それでもV5モデルが描き出す画像は、細部にいたるまで自然で、空気感がただようほどフォトリアルだ。

 それは、もはや書き手がAIか人間か区別できないような画像生成能力を、AIが急速に身につけていることを示している。

精度が上がるにつれ危険も高くなる諸刃の剣

 しかしそれは悪用の危険性も格段に高くなるということでもある。

 ニ「激写!あの有名人の密会現場を独占スクープ」など、ありもしないシチュエーションのリアリティのある画像を誰もが手軽に作れてしまうのだ。もはや何を信じればいいのかわからない状況に陥ってしまうだろう。

 つい先日も、「Midjourney V5」を利用して、トランプ前大統領が逮捕される瞬間の画像を生成した人物が、利用禁止処分を受けた。

 今のところまだ完璧とまではいかないが、近い将来、何が本物で何が嘘なのか、画像や動画から見分けがつかなくなる日がやってくるかもしれない。

 いやでも、案外フェイクを見抜くAIなんてものが開発されて、フェイク問題が解決する可能性もあるかもしれないかな?

 とにもかくにも、AIという革新的な技術が登場した社会はこれからどうなるのか? 我々はただその成り行きを見守るしかなさそうだ。

References:AI Has Finally Worked Out How To Draw Hands (Sort Of) | IFLScience / Watch Out, Folks: AI Image Generators Can Do Hands Now / written by hiroching / edited by / parumo

 
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苦手だった手の描写もついに克服か?バージョンアップした画像生成AI「Midjourney V5」