3月28日ガーシー東谷義和)容疑者の兵庫県内の実家に侵入した住居侵入の疑いで、自称ジャーナリストの東優樹容疑者(27)が逮捕された。

 警察によると東容疑者は今月25日の午後1時半すぎ、兵庫県伊丹市にあるガーシー容疑者の母親が住む集合住宅の1階エントランスに侵入したようだ。

警視庁は24日にガーシー容疑者の実家に家宅捜索に入りました。その後、ガーシー容疑者の母親から『怪しい人物がいるからパトロールをしてほしい』と警察に相談があり、警察官が付近を警戒していたところ、東容疑者を発見した」(大手紙社会部記者)

 任意でパトカーへ乗せ伊丹署へと向かったが、東容疑者が署から立ち去ろうとしたため緊急逮捕した。警察はその後すぐに神戸地裁に逮捕状請求をおこなったが却下され、一旦は釈放されたという。

《義和ー!!!あーそーぼー!!》東容疑者の目的

「警察は住居侵入容疑で改めて逮捕状を取り、28日に署に出頭した東容疑者を逮捕。取り調べに対し、東容疑者は『取材のために入った』などとして容疑を一部否認しています。携帯には、集合ポストの写真を撮影した画像が残っていたそうです。

 しかし、どこまで“取材”の意図があったかは不明です。東容疑者は逮捕前、Instagramに東京から伊丹へと向かう乗車券の写真とともに《義和―!!!あーそーぼー!!》という文言も投稿していましたから」(同前)

 東容疑者はいわゆる“迷惑系YouTuber”だ。

 2021年2月には北海道旭川市で発生した「旭川女子中学生いじめ凍死事件」に関連して現地で迷惑行為に及び、逮捕される事態に発展している。事件の関係者である10代の少女に話を聞かせるよう迫り、強要未遂の疑いで2021年4月26日北海道警旭川中央署に逮捕されたのだ(後に不起訴)。

 当時、旭川事件を担当した記者は「事件の関係者にかなり強引に話を聞こうとしていた」と振り返る。

青髪ゼブラ柄の毛皮コート「あいつはだれだ」

「旭川いじめ事件に関しては、早くから独自の見解を述べた動画をYouTubeに投稿していました。その後、実際に事件関係者から話を聞くために旭川入り。関係者の自宅のインターホンを執拗に何度も押したり、声をかけたりなどしていました。しかも青髪に白と黒のゼブラ柄の毛皮のコートを羽織っていて、旭川の街中ではかなり異様でした。記者の間でも、『あいつはだれだ』と話題になっていた」

 被害者の関係者のなかには、東容疑者について「怖かった」と話す人もいたようだ。また、事件とは無関係な人が巻き込まれたこともあった。

「突然、東容疑者から私の勤め先に電話があって、『子供がいじめ加害者ではないか』と問い詰められました。子供は全く事件に関係ないと伝えたのですが、私の会社や子供の名前などがTwitterに投稿されてしまった。それ以降、会社にイタズラ電話がひっきりなしにかかってきて、仕事にならない日もありました。子供の名前や写真はリツイートや転載などで広がり、いまでもネットで晒され続けています」(巻き込まれた被害者

 この被害者は今月23日、事実無根の内容で名誉を傷つけられたとして、東容疑者に対し計440万円の損害賠償を求めて旭川地裁に提訴している。

 東容疑者をはじめ、法を犯すことに躊躇のない“迷惑系インフルエンサー”のトラブルは後を絶たない。そもそもガーシー容疑者もそのうちの1人だ。

 迷惑系YouTuberの元祖といえば「へずまりゅう」こと原田将大被告だろうか。原田被告はスーパーで会計前の商品を食べるなどし、2021年8月27日に窃盗や威力業務妨害の罪に問われ懲役1年6カ月、執行猶予4年の有罪判決を受けた。他にも「煉獄コロアキ」が、2022年9月10日に旧統一教会抗議デモで陰部をみだりに露出し、公然わいせつの罪で逮捕されている。

 なぜ彼らはこれほどまでに過激な行為に及んでしまうのだろうか。

過激化する“迷惑系”たち切羽詰まった事情

SNSの普及で誰でも個人チャンネルを持てる時代になりました。芸能事務所に入らなくても、SNS動画投稿サイトを使えばタレントのような活動ができてしまう。なかには才能を発揮して人気者になった人もいますが、問題はそのフォロワーたち。参入障壁の低さから、リテラシーの低い若者たちも少なくない。なかには職や金に困り、捨て身で活動しているようなこともある」(YouTube事務所関係者)

 前出の社会部記者によると「東容疑者は定職についていなかったとみられる」という。

「無差別殺傷事件などを起こす加害者について“無敵の人”と呼ぶことがありますが、迷惑系YouTuberにもそれに近い状況にいる人もいます。バズるために犯罪に手を染めてしまう人や、以前の東容疑者のように無関係の人を巻き込むことも厭わない。YouTubeを含め、動画投稿サイトSNSは以前よりも稼ぎにくくなっていますので、インフルエンサーがより過激化していく可能性もあります。なんらかの規制が必要だと思います」(同前)

 バズるために手段を選ばない迷惑系インフルエンサーたち。暴走する彼らは、一体どこへ向かっているのだろうか。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

ガーシー容疑者宅を家宅捜索した捜査員ら ©時事通信