
「歳月人を待たず。 Time and tide wait for no man.」
広島県呉市川尻町大原の山中で刃物などを使って猫を殺したとして、動物愛護法違反の疑いで3月22日に逮捕された同市の大学院生・生駒慶伍容疑者(24)。彼は自身のYouTubeチャンネルのプロフィール欄にこう記載していた。
猫を殺害する一連の様子を動画で公開し、残虐さをうかがわせる生駒容疑者は、周囲から“知能犯”と呼称されているが、一体どんな人物なのか――。(#2を読む)
猫を解体して食べたうえ、毛皮を剥ぎ、頭蓋骨を標本に…社会部記者が解説する。
「2月初旬、自宅近くの山中で罠にかかった猫1匹をバールのようなもので殴打し昏睡させ、頭部を足で踏みつけて、腹部を刃物で突き刺すなどして殺した疑いが持たれています。その後、生駒容疑者は猫を解体して食べたうえ、毛皮を剥ぎ、頭蓋骨を標本にするという内容の動画をネット上に公開していました。広署が3月22日に逮捕し、検察は24日付けで処分保留のまま釈放しています。今後、任意での捜査が続くことになります」
生駒容疑者は「むめひ」のアカウントでYouTubeチャンネルを運用し、主に山菜採りや収納具を作るなど、“自給自足”で生活する様子を公開していた。他にも飼っている鶏の熱中症対策として部屋をDIYで用意するなど、動物を手塩にかけて世話する姿もあった(現在動画は全て削除済み)。近隣住民が生駒容疑者について振り返る。
「生駒家は、30年以上前から代々こちらに住んでいます。畑を耕すための工具などは揃っているし、慶伍くんのおばあちゃんは山を所有していて、 “鶏小屋”を作るための木材や竹はそこから調達していたようです。地元の小・中学校を出た後は、呉市で一番の難関高校へ進学していて“エリート”という印象です。礼儀正しくて挨拶を欠かさない子でした」
生駒容疑者に対して好印象を抱いていた反面、奇妙に感じる瞬間もあったという。
「野生化し生息している個体の野猫は鳥獣保護管理法の対象」「玄関を開けたら急に鶏がいて、そこら中にフンが落ちていることが多々ありました。臭いや鳴き声で迷惑している家庭もあるみたいですよ。すごく可愛がっている割に管理が甘いし、時期がきたら食べてしまうみたいでした。キツネや猪なども食べていたみたいで、“蔵”には毛皮を記念として吊るしていて、なんだか怖いな……というのが最近の印象でした」(同前)
YouTubeの動画でも「落ちていた猪を解体して食糧に」や「車に轢かれたタヌキをマフラーにしてみた」など“すでに死んでいた動物”を利用した動画が上がり始め、次第に自らも“狩り“に出向くようになる。
そして2月11日、事件となる猫の虐殺動画がアップされた。生駒容疑者は動画内で狩猟読本を読み上げながら、「市街地を徘徊しているような野良猫(地域猫)とは違い、野生化し生息している個体の野猫(ノネコ)は鳥獣保護管理法の対象。つまり(狩猟は)合法であると言えます」と発言。法律を守った上での一連の行為だとして、「野猫に乾杯」などと言って捕食した。
しかし、実際には、この猫は世話を施された“地域猫”だった。地元の動物愛護団体の一員である男性が明かす。
「殺された猫は同じ団体のメンバーの方が可愛がっていた子でした。10年ほど前からお世話をしていて、動物病院でちゃんと避妊手術も終えています。メンバーの方にとても懐いていて、いつも餌を食べにくるのに2月の頭頃から急に姿を見かけなくなったので、おかしいなと思っていたみたいです。そして、メンバーの家族が生駒容疑者の動画を見つけたんです」
「彼は知能犯だ」動物愛護団体や警察に大量の情報提供その後、メンバーの家族が警察に通報し、事件が覚知された。さらに、団体には生駒容疑者についての情報が多く寄せられていて、「彼は知能犯だ」と言われているという。
「以前から知識を振りかざして、まくしたてる一面があった人物のようです。“野猫”という浸透していない言葉を使って罪を逃れようとした賢いヤツだという声もあり、実際に生駒容疑者の調書は大量に及んでいると聞いています。動画では公開されていない“別の猫の毛皮”もあるようです。こうしたことを受けて、私たち団体も不起訴になっては困るとして、広署に要望書を渡しました。警察側もすごい数の電話が来ていて対応に追われているらしく、捜査は続けると言っていました」(同前)
事件の経緯を確認するため、生駒容疑者の自宅前にある祖母の家を訪ねると、祖母は「耳が遠くて…」、「何かよく分からない」と知らない素振りを見せるだけだった。
生駒容疑者は、警察の調べに対して、YouTubeでの発言同様、「猫を殺したことに間違いはないが、法律で守られた愛護動物には当たらない野猫(ノネコ)だと思っていた」と供述している。生駒容疑者が猫を殺害した場所は祖母の私有地であったとされるが、近くにはキャンプ場やお寺、居住区があり“野猫”は生息しづらい――。
「昔から解体癖があった」“猫殺し”で捕まった広島の“エリート”大学院生(24)がうたった「心の気づきポエム」と「謎の犯行動機」とは… へ続く

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