「殺した猫を食べたうえ、頭蓋骨を標本に…」動物の虐殺動画をアップして逮捕された“広島のエリート大学院生”の「ゆがんだ博識」 から続く

 広島県呉市の山中で、刃物などを使って猫を殺したとして動物愛護法違反の疑いで大学院生の生駒慶伍容疑者(24)が3月22日に逮捕された事件。生駒容疑者は自身のYouTubeチャンネルで猫を殺して解体し、食べるまでの動画を公開していた。

 こうした生き物の尊い命を奪う“蛮行”に、地元の動物愛護団体だけではなく全国から「信じられない」と怒りの声が上がっている。だが、生駒容疑者を知る人物によれば、以前から “解体癖”があったようだ――。(#1を読む)

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中学校のときは地元で“エリート”扱い

 生駒容疑者は事件現場近くの呉市川尻町で生まれ育ち、地元の小・中学校を卒業。呉市で一番の難関高校を経て、東広島市私立大学に進学した。その後、大学院へとコマを進めた生駒容疑者は、現在も実家で暮らしながら通学していた。近隣住民が語る。

「大きな畑や山を保有している裕福な家庭で何不自由なく育った慶伍くんは、とても活発な子でした。畑の稲刈りを手伝ったり、玄関先でボール遊びをしたり、おばあちゃんが所有する山に遊びに出かけたりしていました。家族仲も良かったと思いますが、慶伍くんは特におばあちゃんっ子でしたね」

 近隣住民によると、成績優秀で友人の多かった生駒容疑者は“エリート”だったという。実際に、地元の小・中学校同級生も口を揃えて彼を「エリート」と呼び、あだ名は「先生」だった。

「小学2年の頃に地域のマラソン大会に出て学年で1位をとったり、小学5年の頃には日常を綴った『くらしの文集』が入選したりと、まさに文武両道でした。特に国語と理科がずば抜けていたイメージで、“言葉”を書くことが好きな少年でした。自作のカードゲームを作って遊んだり、オリジナルの漫画を考えたりしていました」(小・中学校同級生

 生駒容疑者は周囲のイメージ通りのまま、難関高校へ進学した。しかし、高校の同級生からすると、彼に秀才の印象はなく、むしろ凡庸だったという。

「詩のボクシング」で特別賞を受賞

「ある程度勉強ができる生徒が集まっていたなかで、生駒くんの学力は中の下くらいでしたよ。特に秀でていたものがあるわけではなく、目立つタイプでもないので正直印象は薄いです。ただ、当時から生物の生態に興味があったみたいで、『カエルって食べられるんだ』と発言していたのを覚えています」(高校の同級生

 生駒容疑者は、周囲との学力差に塞ぎ込んだのか、趣味に没頭するようになったという。高校の別の同級生が明かす。

プラモデルを集めて組み立てたり、フィギュアを一度解体してまた自分でイチから組み立て直していました。他にも詩を書くことが好きで、『普段から書きためている』と言っていました。高2のときに、学校内で行われる詩の大会で特別賞のようなものを取ったこともあります」

 生駒容疑者の出身校では「詩のボクシング」というイベントがあり、ボクシングリングに見立てた舞台上で朗読者(ボクサー)が詩を詠む「言葉の格闘技」が行われていたという(2015年時点)。そして、生駒容疑者の朗読した、《詩を書くということは、書き上げるだけが大切なのではなく、そこに向かう心の気づきそのものに意味があると思います》という詩に特別賞が贈呈された。

 一方、生駒容疑者は話したこともない同級生の女性をいきなり下の名前で呼んだり、執拗に連絡を送ったかと思えば、後ろから女性の自宅周辺までついて行くというストーカー行為をしていたという声も上がっている。

“滑り止め”で受けた工業系の私立大学に入学

 その後、大学に進学すると生駒容疑者はさらに自分の世界へと没入していく。

「希望していた大学に落ちてしまって、“滑り止め”で受けた工業系の私立大学に行きました。ただ、“滑り止め”と言っても彼にとってはそれがよかったのかもしれませんね。YouTubeで披露していた工作や生物の知識は、大学で得たものも多いと思います」(同前)

 生駒容疑者がYoutubeへの動画投稿を始めたのは大学1年生の頃からだが、次第にエスカレートしてしまった。虐待動画について前出の高校の同級生はこう肩を落とした。

「彼は夢中になれるものを見つけてしまったんですね」

「彼は夢中になれるものを見つけてしまったんですね。フィギュアの“解体癖”が猫などの生物に向けられるなんて思いもしませんでした」

 生駒容疑者は「猫を殺したことに間違いはないが、法律で守られた愛護動物には当たらない野猫(ノネコ)だと思っていた」と主張しているが、広島県農林水産局は「野猫の駆除」ついて次のように回答した。

「捕獲許可証を発行するのは有害鳥獣捕獲(主にイノシシ・シカ等)のみで、野猫は捕獲及び駆除の対象としていません」

 また、広島県猟友会も同様の見解を示している。

イノシシニホンジカを捕獲する目的でワナをかけることがほとんどであり、目的動物以外がワナにかかった場合には放獣されるのが一般的です。猫の場合は、野猫、野良猫飼い猫の判断が難しいことから、放獣されているようです」

 かつて詩のボクシングで「心の気づき」と詠った生駒容疑者。その言葉はどこへ行ってしまったのか。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

生駒容疑者が投稿していた動画一覧