子どもの好奇心は、時にとんでもない事件を引き起こしてしまうものである。これは平成前期に発生した子どもの好奇心が招いた悲しい事件である。

 1995年(平成7年)の冬、大阪府のあるマンションから消火器3本が落下する事故があった。消火器はマンションの廊下部分に取り付けてあったもので、何者かが取り外し、マンションの外へ投げ込んだものであった。

 この落下事故で、マンションの玄関近くにいた9歳の女の子の頭上に落下。女の子は間もなく死亡してしまった。

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 当初、消火器が落ちてきた理由は不明だったが、消火器に子どもの指紋が付いていた事から、警察は「子どもがイタズラで投げ込んだものでは?」とし、数日後周囲からの情報により、このマンションに住んでいる家庭の小学生2人(学年非公開)が児童相談所へ通告された。

 この小学生2人は放課後、毎日のようにマンション内の廊下で遊んでおり、やがてマンション内に設置してある消火器に興味を持った。現在、消火器は「消火器ボックス」などの箱に入れられている事が多いが、当時は床に設置された消火器も多く、子どもたちも簡単に消火器を持ち出すことができた。

 小学生2人は「消火器が落ちる所を見てみたい」「どんな落ち方をするのだろう」と気になり、18階の塀から次々に消火器を落とした。そのうちの1つが女の子の頭に当たってしまい、事故になったのだという。

 小学生2人は消火器を落とすことで人に当たる事は理解できていなかったようで、罪の意識はあまり無かったようだ。

 相手は小学生という事で、罪には問う事ができず児童相談所への通告となったが、亡くなった女の子の遺族はやりきれない想いであったという。

 なお、この事故がきっかけになったのかは定かではないが、現在は「消火器ボックス」や子どもの手に届かない位置に消火器が設置されるようになったという。

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