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 「それまでの人生が一気にフラッシュバックして見えた」「薄暗いトンネルの中にいた」「横たわる自分自身を見下ろしていた」などの臨死体験の告白には共通したものがあったりする。

 死の淵から蘇った人のみが知る謎めいた経験の数々。それをヘッドセットをつけ、VR(バーチャル・リアリティ)で疑似体験できるというイベントが話題を呼んでいる。

 オーストラリアで開催中のイベント展示「デス シミュレーター」はバーチャル空間で生死の境をさまようというもの。

 架空の病院に横たわり、心肺停止から脳死まで。一部の参加者から不安の声が上がるほどリアルな体験ができたようだ。

【画像】 VRで臨死体験、「デス・シミュレーター」

 このイベントは、オーストラリアメルボルンで開催中のカルチャーフェスティバルMelbourne Now」の一環としておこなわれたものだ。

 地元アーティストのショーン・グラッドウェル氏が作り上げた、VR臨死体験エキシビジョン「Passing Electrical Storms」では、近未来風の室内で専用のVR シミュレーターをつけ、死を体験することができる。

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 いわゆる「バーチャルデス」体験は一人ひとりにどんな感覚をもたらすのか?

強い恐怖と不安を引き起こし、現実に戻される人も

私は死者に服を着せます。死者にふさわしい服装の相談にも乗ります。

 そう語るのはこの展示を行うアーティストのショーン・グラッドウェル氏だ。

 このシミュレーションは強い不安や恐怖を引き起こすことがあり、様子がおかしい参加者は、スタッフが現実に引き戻すこともあるという。

VR臨死体験について語るショーン・グラッドウェル氏

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 このイベントに出展中のアーティストの一人で、VR臨死体験に参加したマーカス・クルック氏はTikTokでこう語る。

不安になったりパニックになりそうだという人の気持ちがよくわかります。始める前に私の指に心拍数モニターをつけたスタッフが「やめたい!と思ったら手を挙げてください」と言ってました。

横になっていると、ベッドが揺れてフラットライン(脳波が平らになる状態)が発生し、医師が自分の体の上に乗ってきます。

VRゴーグルで自分の姿が見えるのですが蘇生はうまくいきません。そして視界は医師を越え宇宙へと浮き上がり、その状態が続きます。

マーカス・クルック(@croom12)さんの投稿より

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臨死体験とはどのようなものなのか?

 心臓が止まると人はどのような経験をするのだろう?

 もちろん個人差はあるだろうが、死から生還した人の話でよく聞くものといえば、マーカスさんのように肉体を離れ上空から自分を見たとか、草原で目覚めたという体験談だ。

 アメリカメディアでも臨死体験はたびたび話題になっている。たとえば昨年手術で命を落としかけた2人の女性が語った死後の世界はこんなものだった。

婦人科の手術後に内出血で臨死体験をしたジェシー・ソーヤーさん

まばゆい光が見えて、それが自分の死だと気づきました。私の死で夫や子供が悲しみに打ちひしがれても後で良い生活を送るのもわかりました。私は神を信じてませんが今は死も怖くないです。

 短時間の死亡中に亡くなった親友に会うなど、さまざまなものを見た彼女は死を恐れなくなった。彼女によるとその体験はほんのわずかで、その後自分が自分の体に戻るところまで見たという。その時は痛みがあったという。

病院で子宮摘出手術後に臨死体験をしたベティ・イーディさん

術後の回復室で、突然自分の精神が急速に抜けていゆくのを感じました。気づけば自分がベッドに横たわっているのを見下ろしてました。「ああ、自分は死んでしまった!」と思いました。

 その後彼女は古代人らしい3人の男性から死んだと告げられたが、家族が恋しくなり自宅に飛び、まだ何も知らない夫や子供たちのそばに立つと、その将来まで見通すことができたそうだ。

 彼らの未来が良いものとわかったところで病院のベッドに戻り、今度は暗く快適なトンネルへ。その先で神に会い「あなたは戻るべきだ」といわれ自分の体に戻ったという。

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死なずに済むなら一度経験してみたい?VR臨死体験は8月まで

 人類がいまだ解明できない謎の一つでもある臨死感覚。

 このVR体験の再現レベルがどの程度かも気になるが、実際に死なずに済むなら一度経験してみたいという人も確かに多そう。

 まああれだ。もとから心配性な人や心臓が弱い人とかにはおすすめできないやつだけども。ちなみにこのVR体験は「Melbourne Now」の期間中8月20日まで開催されてるそうだよ。

References:mirror / dailystar / instagram / tiktokなど /written by D/ edited by parumo

 
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臨死状態をVRで体験できる「デス シミュレーター」、あまりの恐怖に現実に引き戻される参加者も