生産年齢人口の15〜64歳で146万人がひきこもり状態であるとする推計をまとめた内閣府のアンケート結果をうけて、ひきこもりの人の家族などで作る「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」が見解を示した。

これまで主に男性が当事者だとされてきたひきこもりについて、40歳以上の層では女性が5割を超える結果となったことに「声をあげられずにいた女性がSOSを出して顕在化した」とした。

●全国で50人に1人がひきこもり状態との推計

調査は2022年11月、全国の10〜69歳の男女3万人を対象とし、1万3769人が回答した。ひきこもりについては15〜64歳を分析している。

4月4日に都内で会見したKHJは、内閣府調査で5人に1人がコロナの影響を理由にしていることや、性別では40〜64歳の層で女性が52.3%と半数を超えたことに注目(15〜39歳では45.1%、40〜69歳では40.6%が女性)した。

共同代表の山本洋見さんは、KHJの活動のなかでも女性からの電話相談が増えているとし、「これまで子育てや介護に没頭して社会と隔絶していながら、無自覚でひきこもりになっていた女性たちが、苦しい、自分はひきこもりだとSOSをあげられたゆえに52.3%という数字になったと思う」と指摘した。

副理事長の池上正樹さんは「もともと生きづらさを感じていた人が、コロナの流行で心がさらに不安定になるといった影響もデータから浮き彫りになったのではないか」とし、雇用をなくした人などがひきこもりになっている可能性にもふれた。

内閣府は、就労せず原則6カ月以上、自室や家からほとんど出ない人などと定義している。内閣府の担当者は「オンライン授業やテレワークをできる状況が、ひきこもるきっかけになりえる」との見解を示している。

しかし、KHJが独自におこなった実態調査からは、ひきこもりの本人や家族が、オンライン化によって人とつながるきっかけを得たり、情報収集などにおいてメリットだったという声が集まっているという。

このことからKHJは、雇用に関して、本人や家族がオンラインを活用したり、テレワークで働くイメージをつかめていないことが課題ではないかとしている。

40歳以上のひきこもり、52%が女性 「声をあげられなかった人のSOSだ」当事者団体