アメリカ・バージニア州の動物園で飼育されているオランウータンのママが赤ちゃんを産んだ。ところが、生まれてすぐに孤児になってしまったことが関係しているのか、赤ちゃんの育て方がわかっていなかった。
そこで、出産して間もない女性飼育員が、オランウータンの母親の目の前で、直接自分の子供に授乳することで、そのやり方を教えることに。
それをを興味深く見ていたオランウータンの新米ママは、授乳方法を理解したようだ。同様にまねることで我が子に授乳し、愛情を注ぐことができるようになったようだ。
【画像】 生まれてすぐに孤児となったオランウータン、子育て法がわからない
Orangutan Learns How to Nurse from Breastfeeding Zookeeper
アメリカ・バージニア州にあるメトロ・リッチモンド動物園の飼育係ホイットリー・ターナーさんは、母親になったオランウータンに母乳育児を教えるというユニークな仕事を与えられた。
ターナーさんが担当することになったオランウータンのゾーイは、生まれてすぐに孤児になったことが関連しているのか、子供を産んでもどうしていいのかわからず、子育てをしようとしなかったという。
ゾーイが前にも子供を産んだことがあるのだが、授乳できないことから、その子は飼育員が哺乳瓶で育てたという。
動物園では、今回2頭目を出産したゾーイに、なんとかして母親としての意識を目覚めさせ、赤ちゃんとの絆を育んでもらいたいと思った。
そこでスタッフは子供を産んだばかりのターナーさんにゾーイの前で授乳のデモンストレーションをしてほしいと依頼した。
過去、この動物園では、他のオランウータンに授乳指導のデモンストレーションをして成功したことがあったため、ゾーイもターナーさんから学んでくれる可能性があると考えたのだ。
ターナーさんは、その申し出を快く引き受けた。
母乳育児は、すべての哺乳類が共有する自然なプロセスかもしれませんが、それでも複雑で戸惑いもあります。私も新米母親として、最初は母乳育児にとても苦労しました。
それを理解する前に、多くの指導と助けが必要でした。
だからこそ、人間とか動物とか関係なく、ゾーイに対しても、母親同士としてサポートしたい。そう思ったんです。(ターナーさん)
息子を授乳する姿を見せてゾーイに授乳指導
早速ターナーさんは、デモンストレーションを行うために、生まれたばかりの息子ケイレブ君を連れて、ゾーイのいる屋内ケージの前にやってきた。
ブラを下ろした状態で、赤ちゃんが乳房のところに来るのが見えるように、胸をゾーイに見せました。
そして息子が乳房を口にふくんだ時、私はゾーイにその様子を見せました。
ゾーイは好奇心旺盛に、授乳する私を興味津々に見続けていました。(ターナーさん)
ゾーイの母性本能を開花させることに成功
続いて、飼育員らはゾーイの囲いにテレビを設置し、他のオランウータンの母親が出産して子供の世話をしている様子を見せた。
すると、ゾーイはそれも興味深く真剣に見ていたという。
また、他の飼育員たちも、小さなオランウータンのぬいぐるみを使って、胸に抱っこさせているようにして四つん這いで歩いてみたり、腕に抱っこしてご飯を食べさせてみたりと、母親が行うあらゆる育児をデモンストレーションし、ゾーイの母性本能が開花するよう、献身的に指導した。
こうした様々な試みの末、ついにゾーイに母性本能が芽生えた。ゾーイは息子に母乳を与えただけでなく、健康で幸せな絆を築くことができたようだ。
現在、動物園の訪問者は、ゾーイが赤ちゃんと仲睦まじく過ごす姿や、一家が一緒に寛いでいる姿を楽しむことができるという。
References:Fascinating video shows how an orangutan mom learned to nurse from a breastfeeding zookeeper / written by Scarlet / edited by parumo
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