たった1時間足らずのアニメーションが全世界に興奮と感動の嵐を巻き起こしました。2023年3月に日本でも放映され、大きな話題となった進撃の巨人 The Final Season 完結編【前編】』です。

TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season公式サイトより

TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season公式サイトより

もともと『進撃の巨人』は日本のみならず海外でも熱烈な支持を集めている作品でしたが、今回の作品は、完結編の前編ということもあり、世界中のファンたちの期待値はMAX! その期待に見事応える形となりました。
それでは海外のレビュワーやリアクターたちは一体どんな反応を示しているのでしょうか?

レビュワー「近年のアニメで最も興味深い」

テレビアニメ『進撃の巨人』は、2009年から2021年まで「別冊少年マガジン」にて連載された諌山創氏による漫画作品を原作としています。

人類が突如出現した巨人と戦いを繰り広げる中で、自由を夢見た少年エレン・イェーガーが、自らの境遇や立場に苦悩しながら、自らが導き出した本当の“自由”を求めて行動を開始していく物語となっています。
とりわけ「The Final Season」は、エレンの一挙一動が物語の行く末を左右するものとなっており、本当の自由とは何か?視聴者に問いかけるようなシーンが印象的です。

TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season公式サイトより

TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season公式サイトより

何が本当に正しいことなのかもわからない状況の中で、エレンが導き出した“答え”は、アニメ史上に残るストーリー展開だと言えるでしょう。

そんな『進撃の巨人 The Final Season』もついに完結編となり、このほど、その前編となる1時間のアニメが放映されました。

映画やアニメのレビューが数多く掲載されている海外版IGNのレビューでは、「10年にわたる壮大な物語がついに完結を迎える」とし、「私たちが待ち望んでいた黙示録的なフィナーレであり、すべての集大成となる」と、冒頭で本作を例えています。

加えて、主人公エレン・イェーガーについて、「近年のアニメにおいて最も興味深い主人公の一人であり、敵対者でもある彼の地位を確立した」とコメントを残しています。

エレンと人気海外ドラマ主人公の共通点

文中では、アメリカのテレビドラマ史上において、最も高く評価された作品の一つでもあるブレイキング・バッドの主人公ウォルター・ホワイトが残した「自分のためにやったことだ」というセリフを引用している部分が印象的でした。

 

同作は、余命宣告を受けた平凡な化学教師が麻薬製造に手を染める物語が展開されるのですが、物語の最終局面で自らの行いを告白する場面において、そのセリフが登場するのですが、まさにエレンの行動は、ウォルターのそれと似通っているとレビュワーは例えているのです。

「いかにエレンが自身の行いを正当化させていくのか」という要素をスマートな編集で切り取ったことが功を奏したと「The Final Season」序盤を絡めながら、今回の「完結編」へと話が及びます。

「これまではエレンの意図と行動を正当化するかどうかについて曖昧な表現が多かったが、今回ついにそこへ足を踏み入れた。エレンが自分が正しいと感じていても大量虐殺は正当化できない。怪物になってしまったエレンを止めなければならない」と、キャラクターたちの心境を綴ります。

Blu-ray『「進撃の巨人」The Final Season 第2巻』(ポニーキャニオン)

Blu-ray『「進撃の巨人」The Final Season 第2巻』(ポニーキャニオン

「この展開は本作の最も大胆で最良のアプローチである」と、ただ悲劇のヒーローとして描くわけではなく、エレン複雑な主人公像を確立する役割を見事に果たしたと綴られています。この展開については、「何らかの解釈の余地も残されている」とコメントされており、視聴者の感じ方一つで大きな差異が生じる複雑さも評価されています。

MAPPAが手掛けるアニメーションに関しても「本作の中でも最高のアニメーション」と評価されており、「彼らに十分な時間を与えれば、どれだけのものを観られるのかを証明した」と、これ以上ない評価を与えていました。

最終的に『進撃の巨人 The Final Season 完結編【前編】』は、「あくまでフィナーレの前半に過ぎないが、これまで以上に優れた作品だった」と評価。
加えて「1時間という時間の中で様々なスリルが生まれている。間違いなく物語のピークであり、後編が配信された際には、世代を代表するアニメとしての地位をほしいままにするだろう」と賛辞を送っていました。

ハンジの姿に絶望「やめてくれ」「最悪だ」

それではリアクターたちはどんな反応を示したのでしょうか。
冒頭からほとんどのリアクターたちが、地鳴らしの恐ろしさに言葉を失っており、最も感情的になったのは、これまで苦楽を共にしてきた盟友ハンジがたった一人で戦いに挑む場面でした。

YouTubeで人気のリアクター「ItzAzuSensei」は、ハンジが決断した瞬間に「ハンジやめてくれ…」と一言。


リヴァイがハンジに「心臓を捧げよ」とつぶやくシーンでは、興奮と悲しみが入り混じった複雑な表情を見せ、言葉が出ないご様子。
そして間もなくハンジは巨人との戦いの末に炎に包まれ……ここでは思わず涙を流し、「最悪だ…」と絶望する姿が印象的でした。

その後、ハンジがエルヴィンを初めとしたかつての仲間たちと再会する場面では「ウソだろ!?みんないるよ…」と大泣き。クライマックスに差し掛かる前にもかかわらず、すでに心の平静を保てない状態になってしまいました。

海外のリアクターたちは、全体的にハンジに熱狂している姿が印象深く、同シーンにおける作画が素晴らしすぎるといった意見も散見されました。

間もなくグランドフィナーレを迎えることになる『進撃の巨人』。
先行きの気になるクリフハンガーで幕を閉じたため、早く続きを見せてくれというファンも多いことでしょう。

【後編】の放送を今か今かと全世界のファンが待ち望んでいる状態です。
果たして、海外のファンは『進撃の巨人』完結の瞬間、どういった反応を見せるのでしょうか。

(執筆:zash)

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