クボタスピアーズ船橋・東京ベイが最後の3連戦に臨む。バイウィークを挟んで身も心も頭もリフレッシュして再開する『NTTジャパンラグビー リーグワン 2022-23』第14節・花園近鉄ライナーズ戦はS東京ベイにとって記念試合となる。

3月30日、S東京ベイはホストスタジアムである江戸川区陸上競技場のネーミングライツパートナー契約を江戸川区と締結。4月1日から3年間、「スピアーズえどりくフィールド」という愛称が使用される。ホストスタジアムへのネーミングライツの取得は、リーグワン所属チームとして初の事例である。

この名称には地域住民に定着している呼称「えどりく」と「スピアーズ」を併せ、双方への想いが相乗し、今まで以上に親しみを感じてもらえる場所にしたいというチームの思いが込められている。また、「フィールド」とすることで、多様なスポーツやイベントを行うことのできる場としたいという願いも込められている。

ネーミングライツパートナー締結にあたり、4月8日(土) の『NTTリーグワン2022-23』第14節ではセレモニーを実施しているとのこと。これは下手なゲームはできない。

NTTリーグワン2022-23』プレーオフトーナメントを睨む上でも、勢いを付けたいところだろう。11勝1分1敗・勝点の51の2位S東京ベイは第16節で10勝3敗・勝点47の3位東京サンゴリアスを本拠地で対峙する。最終節の3週間後にはプレーオフトーナメントに突入するのだ。

その前には第14節・花園L戦、第15節・グリーンロケッツ東葛戦と、下位に沈む両軍との対戦が続く。この試合3トライ差以上付けてボーナスポイントを得ればOKというわけではない。アタックもディフェンスも細部にこだわり、一人ひとりが役割を全うするていねいな戦いぶりが求められる。相手どうこうではなく、ここからはファイナルラグビーを見据えたパフォーマンスが必要なのだ。

スカッとした勝利も望まれる。S東京ベイは第12節・横浜キヤノンイーグルス戦、第13節・コベルコ神戸スティーラーズ戦と雨の中、我慢の戦いを強いられた。美しいゲームを披露できない悪コンディションでも、S東京ベイは焦れることなく数少ない好機で着実にスコアし、横浜Eに15-5で勝ち切った。神戸S戦では52・70分とTMOによるふたつのトライキャンセルがあり、65分の勝負どころでWTB根塚洸雅のシンビンとなり数的不利に陥りながら、最終的に3つPGが功を奏して23-14で競り勝った。指揮官と主将は、この勝利に手応えを得ていた。

フラン・ルディケHC(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ) (c)クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

フラン・ルディケHC「この2試合、雨の中というコンディションでしっかり試合をコントロールして勝ち切れた。きれいな形ではなかったかもしれないが、勝ち切れてまず良かった。ベンチから出た選手が大事な場面、最後の20分でしっかりとやり切ってくれた。この6週間、6連戦の中で、チームとしても成長できたと思うし、いい方向に向かっているとは思う。来週はしっかりリフレッシュして、心も体もしっかりと準備してフィニッシュストロングでいい形で終われたらと思う」

立川理道主将「2週連続で雨の中の試合だったので、戦い方はある程度リハーサルできていたし、前半の入りなどでポイントを取るところでしっかりと取れていたのはポジティブに思う。後半なかなか敵陣に入ってポイントを得られなかったが、その中でもずっと相手にプレッシャーを掛けられていたと思うし、80分を通して自分たちがやりたいラグビーはできていたと思う。6週間、いい学びがあったと思うので、ラスト3試合しっかりとレギュラーシーズンを戦って、その先に向けていきたい。まずは一戦一戦戦っていくことがチームの決まり。チームとしてもすごくいい方向に向かっていると思うので、バイウィークを挟んでしっかりリフレッシュして、また次の試合にフォーカスしてやっていきたい」

S東京ベイは4月6日にメディア対応を実施。得点ランキング首位を走るSOバーナード・フォーリーが次戦に向けて、意気込みを語った。
「非常にエキサイティングな気持ち。タフなブロックの後、しっかりオフを過ごして、シーズンの最終段階に入ったという感じ」

フォーリーはワラビーズの盟友SOクウェイド・クーパーとの再会は叶わなかったが、SHウィル・ゲニアとの対決を楽しみにしていた。 「クーパーは素晴らしい選手。ケガが長引いているが、彼は今後ライナーズを引っ張っていく存在だと思う。ゲニアもワールドクラスの選手。彼もいいボールタッチでいいアタックをしてくると思う。知り合い、友達とプレーすることを楽しみにしている」

木田晴斗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ) (c)スエイシナオヨシ

フォーリーのキックパスからWTB木田晴斗のトライのコンビネーションについて問われると。
「木田はまだ若いがいい選手、しっかり成功を手に入れられる選手だと思う。代表になれると思うし、ワールドクラスになれる選手だと思っている。彼はボールを奪ってトライをマークできる選手。彼を見たら蹴るということを意識している。練習中も話すし、オフフィールドでもコミュニケーション取っている。彼や彼以外の選手ともコミュニケーションを取っている」

さらにフォーリーはS東京ベイの恵まれた環境、そして『NTTリーグワン』で上位に名を連ねるチームの共通項を口にした。
「クボタでエンジョイしている。コーチ、スタッフ、マネージメントでいい変化を持たしてくれている。いいリクルートをして、ワールドクラスの選手もいる。(成功しているクラブは)ワールドクラスの選手にオーナーシップを持たすとともに、責任を持ってチームに関わらせている。チーム文化がしっかり根付いていて、オンフィールド・オフフィールドのいいバランスがあり、しっかりしたコネクションがあるチームが成長している。あとチームに対する愛情や役割にコミットできるかも大事」

フォーリーもまたスピアーズえどりくフィールドでのゲームを満喫していた。
「自分としてはハンティンググラウンド、相手を狩る場所だ。実際負けていないし、楽しくプレーできる場所。オレンジアーミーがスタンドを明るくオレンジに染めて、音でも後押ししてくれるのも感じている」

杉本博昭(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ) (c)クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

同日、次節今季初先発を飾るベテランHO杉本博昭も登壇。記者たちの質問に答えた。
「今季初先発ということで非常にワクワクしている。僕に求められる仕事はスクラムとラインアウトの安定だと思うので、そこをしっかりフォーカスして、チームに勢いを付けたい。今季は目先のことを結果にとらわれるのではなく、目の前の相手に勝つことを意識してチームの勝利に貢献したい」

スタメンとベンチの役割は異なるが、杉本は自然体を貫く。
「違うところでは、僕の強みのフィールドプレーは前面的に出していきたい。チームのシステムの中で自分の強みを出していきたい。マルコム(・マークス)が来てからリザーブが多いが、リザーブにはリザーブの役割があるが、先発だからと肩に力を入れずに、いい意味でリラックスして自分らしいプレーをできたらと思っている」

杉本南アフリカ代表HOマークスとのポジション争いを歓迎していた。
「彼がクボタに来ると聞いた時、自分がすごく成長できると思った。自分はリーグワンナンバーワンのHOになるという目標がある中、世界ナンバーワンのHOが来るということで成長できると思った。オンフィールド、オフフィールドを問わず彼の良さを吸収しながら、僕らしいプレーをアウトプットしている。僕は人と比べるのがすごく嫌いで、まず自分の色を出すことを意識している。彼はチームメイトであり、ライバルでもある。もちろん彼をしっかりリスペクトしている。
(学んだ点は)ラインアウトしかり、スクラムしかり、フィールドプレージャッカル、ボールキャリー、すべて。こういうやり方があるんだという気付きがあるが、マネするのではなく、自分の中で噛み砕いてアウトプットしている」

杉本は率先して外国人選手とのコミュニケーションを取っていると言う。
「チーム全体が単純に仲がいい。トップにルディケがいるので、コネクションを強く感じる。外国籍の選手でも長くいやすい環境にあるのかなと思う。僕も率先して話しに行く。南アフリカのあいさつの仕方やニュージーランドオーストラリアのあいさつなどすべて英語だが微妙に違う。ハイタッチをしたり握手をしたり、そういう小さいことをみんながやっている」

花園L戦でも自分の色を出すことを約束した。
スクラムとラインアウト以外では、周りを生かすプレーが得意。FWとBKをリンクする、FWとFWをリンクするというコネクションのところはフィールドでほかの選手と違うということを見せていきたい。リーダーシップも日本人・外国人選手関係なく、うまくできているのかなと思う」

試合登録メンバーは以下の通り。
【S東京ベイ】
1海士広大、2杉本博昭、3オペティ・ヘル、4ヘル ウヴェ、5デーヴィッド・ブルブリング、6トゥパ フィナウ、7青木祐樹、8末永健雄、9藤原忍、10バーナード・フォーリー、11木田晴斗、12リカス・プレトリアス、13ハラトア・ヴァイレア、14根塚洸雅、15ゲラード・ファンデンヒーファー、16スカルク・エラスマス、17紙森陽太、18北川賢吾、19ルアン・ボタ、20玉置将也、21岡田一平、22押川敦治、23テアウパ シオネ

ウィル・ゲニア(花園近鉄ライナーズ) (c)JRLO

【花園L】
1田中健太、2樫本敦、3三竹康太、4ベン・トゥーリス、5サナイラ・ワクァ、6菅原貴人、7野中翔平、8ワイマナ・カパ、9ウィル・ゲニア、10ジャクソン・ガーデン-バショップ、11南藤辰馬、12金澤春樹、13岡村晃司、14髙野蓮、15竹田祐将、16廣野翔太、17井上優士、18ラタ・タンギマナ、19パトリック・タファ、20村田毅、21中村友哉、22河村謙尚、23ジョシュア・ノーラ

果たして、S東京ベイがトライラッシュを見せるのか、未だ未勝利最下位の沈む花園Lがサプライズを起こすのか。『NTTリーグワン2022-23』第14節・S東京ベイ×花園Lは4月8日(土)・スピアーズえどりくフィールドにてキックオフ。当日は来場者3000名に江戸川区スピアーズのコラボステッカーをプレゼント。スッピーとともにラガマルくんもゲストとして登場する。チケット発売中。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ対花園近鉄ライナーズ NTTジャパンラグビー リーグワン 2022-23 DIVISION 1のチケット情報
https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2303151&rlsCd=007&lotRlsCd=

リーグワン特設ページ
https://t.pia.jp/pia/events/rugby-leagueone/

ジャパンラグビー リーグワン 観戦ガイド 2022-23
https://book.pia.co.jp/book/b617541.html

ジャパンラグビー リーグワン 観戦ガイド 2022-23ウェブ版
https://book.pia.co.jp/leagueone_guide/

バーナード・フォーリー(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)