5日に行われたKNVBカップ(オランダ杯)準決勝のフェイエノールトアヤックス戦で、観客が投げ入れた物によってアヤックスに所属するオランダ代表MFデイヴィ・クラーセンが頭部を負傷した事件の余波が広がっている。

 フェイエノールトの本拠地『スタディオンフェイエノールト』で行われた一戦は、アヤックスが2-1とリードして迎えた62分、フェイエノールトに所属するトルコ代表MFオルクン・コクチュとアヤックスに所属するセルビア代表FWドゥシャン・タディッチの間で小競り合いが発生。両選手を止めようとサイドライン側に選手が集結すると、スタンドから投げ込まれたライターがクラーセンの頭部に直撃し、出血する事態となった。

 この影響で試合は約30分間中断。再開後もプレーを続けたクラーセンだったが、66分に途中交代を余儀なくされた。

 6日、警察はライターを投げた32歳の男を含む22人を逮捕したことを明らかにしているが、この“血のスキャンダル”の余波はサッカー界全体に波及。6日、各国メディアが観客の愚行を報じている。

 ベルギー紙『Nieuwsblad』は「フェイエノールトアヤックスの間に起きた衝突は、純粋な戦争だ」と、事の重大さを強調。「試合は地獄のようなシーンの後に一時中断した」と当時の状況を伝えた。ベルギーマルチメディアブランド『Sporza』は「オランダのカップ戦、悲しい夕べ」と題して事件に触れ、オーストラリアメディア『Fox Sports』は「最大のライバル関係は新たな低水準に達した」と一刀両断。イギリス紙『デイリー・メール』は「オランダサッカー界最大の試合である“デ・クラシケル”は、アヤックスの選手が観客からの投てき物で傷つけられた時、とんでもない茶番劇に変わった」と、観客の行いを糾弾している。

 試合後には、国際サッカー連盟FIFA)のジャンニインファンティーノ会長が暴力行為を非難する声明を発表。オランダマルク・ルッテ首相も「この事件は耐え難い」「完全にスキャンダラス」と述べるなど、大きな問題に発展している。なお、インファンティーノ会長は、オランダ当局による捜査を求めている。

頭部を負傷したアヤックスのクラーセン [写真]=Getty Images