シン・ゴジラ』(16)で総監督を務め、『シン・ウルトラマン(21)で企画&脚本を担当した庵野秀明がメガホンをとった『シン・仮面ライダー』(公開中)。公式Twitterで「#シン仮面ライダーみた」のキャンペーンがスタートするや長時間にわたりトレンド入りを果たしたが、特に注目したいのは、「仮面ライダー」に詳しくない、ライトな層からの支持の声が意外にも多く見られたことだ。本作のどんな点が胸に刺さったのか、ユーザーの声からひも解いてみたい。

【写真を見る】ダブルライダーの胸熱な共闘に、涙が止まらない…

石ノ森章太郎原作の「仮面ライダー」は1971年にテレビシリーズの放送が開始されて以降、半世紀以上にわたって愛されてきた。『シン・仮面ライダー』では、この初代「仮面ライダー」をベースにしたオリジナルストーリーが展開する。世界征服を企む組織「SHOCKER」によってバッタオーグに改造された本郷猛(池松壮亮)は、緑川弘博士(塚本晋也)とその娘、緑川ルリ子(浜辺美波)と共に組織を裏切り、逃亡。追手を迎え撃つ本郷だが、相手を殺してしまったことに苦悩する。しかし緑川博士からルリ子のことを託されたことで、「仮面ライダー」としてSHOCKERと戦うことを決意。のちに仮面ライダー第2号の一文字隼人(柄本佑)とも共闘することになる。

■「仮面ライダー」初心者でも問題なし!“推し”ができたという声も

仮面ライダー」マニアたちの熱い投稿のなかにあって、ひと際目を惹いたのが、前述したような「仮面ライダー」にあまり親しみがない初心者からの声だ。「めっっっちゃカッコよかった!!!!仮面ライダーは見たことなかったけれど、おもしろくて楽しめました」「仮面ライダーの知識がほぼなくても楽しめました…!」「夫の付添状態で私ほとんど知識なく見たけど楽しめた」と、前知識なしで観ても、熱量高く楽しめているようだ。

なかには、「空気感が刺さりました。全てがかっこいい訳じゃない、仮面ライダーを観たことがなかった私にとっては新しいヒーロー像でした。映画ももう一度観ようと思うし、原作も読もうと思います」と、知識がなくとも、『シン・仮面ライダー』自体のリピーターになったユーザーもいる模様。

キャスティングについての声も多く、「起承転結が綺麗にしまってて何回も見たくなる作品だった。俳優も最初は変わってると思ったが見てみると1番適役だったと感じるほど良かった」といった意見も。まずは仮面ライダー1号、第2号の本郷、一文字についてのコメントから紹介しよう。

「場面がとても美しい作品と感じた。仮面を脱いで夕暮れでたたずむ本郷のシーン。あれほど美しいと思った風景はない」

池松壮亮さんの演技、すごい!『安心しろ』の言葉でルリ子だけでなく、観てる自分も安心した!笑」

一文字隼人かっこよかったです。テンポに圧倒されるかもしれないけど、そこが良さ」

また、浜辺演じるヒロイン、緑川ルリ子の存在感も際立っていたようだ。

仮面ライダーを観に来たつもりが、目が終始ルリルリを追いかけてる始末。適度なツンデレ感が最高」

「ほんと、浜辺美波さんの佇まいというか造形というか、美しさ半端ないな、前に別の作品でも思ったけど。畳に座ってパソコンしてる背中まで綺麗だった」

ルリルリやっぱりかわいい…特にパーカー姿。そりゃハチオーグもややこしい感情にもなるよね」

豪華キャストが演じたオーグのなかでの、自身の“推し”について語るコメントは熱量が高く、なかでも、緑川イチローことチョウオーグの仮面ライダー第0号(森山未來)、サソリオーグ(長澤まさみ)、クモオーグ(大森南朋)、ハチオーグ(西野七瀬)、カマキリカメレオンオーグことK.Kオーグ(本郷奏多)などの名前が多く上がっていた。

イチロー兄さん最高」

「蝶はさすがダンサーで動きが素敵だった。背中の配線?が好き」

「毎日ハチオーグ(西野七瀬)の『あらら』で頭がいっぱいです。それでも飽きない。魔性の魅力がある」

「ハチオーグのルリ子への歪んだ愛の理由を察してしまったので、もう1回観に行かなくては…」

「クモオーグ様がめっちゃカッコよかったです。ハチオーグ様とはぜひお友達になりたい…。K.Kオーグ様とは一緒にクモ先輩と呼んでみたいです」

■本郷、ルリ子、一文字の苦悩や、葛藤のドラマにも注目

本郷猛、緑川ルリ子、一文隼人らがそれぞれに抱える苦悩や孤独を軸にしたドラマが展開されていく本作。その奥深い人間模様に心を揺さぶられたという声も多かった。

「ヒーローの多様化じゃないけれど、多過ぎるほどヒーロがいる時代にシンプルに殴る蹴るの渋いアクション、そして戦う事への苦悩を乗り越えつつ人から人へ信じて託すを見事に描ききった傑作だと思います」

本郷猛が自ら持つ『絶大な力』と葛藤しながら向き合う様子が印象的!彼のように、力を持って尚、力に溺れないことが現代へのアンチテーゼなんだなぁ!」

なかには琴線と涙腺をダブルで刺激され、思わず感涙したという人も少なくはない。

「とっても面白かったです!!長澤まさみさん目当てで、仮面ライダーもあまり詳しくなかったのですが、とても楽しめました!何度か泣くシーンもあり、よかったです!」

「両隣にお客さん座ってなかったら、泣き倒してたと思われます、否、堪えきれず、ちょっと涙出ちってたかもしれません」

「公式の映像供給で20回くらい観た気になってたけど、正式に2回目観て来た。1回目より理解が深まってめちゃくちゃ泣いた…良かった」

また、庵野監督の「エヴァンゲリオン」シリーズのファンからは「登場人物達の優しさが生み出す不幸と悲しみが切なく、特撮シン・シリーズの中では最もエヴァに近い作品で心打たれる」という興味深い声も上がった。

■Wライダーのバディ感に胸アツ!手に汗握るアクションに多数のコメント

仮面ライダー」に疎いという方も、時代に左右されない王道のヒーロー映画的な要素を心から堪能した様子。特に、本郷とルリ子、本郷と一文字たちによるバディでの熱い絆にぐっと来たという声が多かった。しかもその絆が最初からあったわけではなく、共に行動していくなかで、少しずつ培われていくというグラデーションに胸を打たれたようだ。

「はじめツンとルリ子がどんどん可愛くなっていって、ルリ子と本郷の2人の信頼の関係がめっちゃくちゃ良かった〜」

「僕は、バディものにめっぽう弱いのですが、気弱で優しい性格の本郷を人を信用しないルリ子がどんどん信頼していって、最後に本郷が『恋愛じゃ無い、信頼だ!』って言い切る関係性が素敵だなぁと思いました」

ダブルライダーの変身ポーズで感極まった」

そしてもちろん、「仮面ライダー」の鉄板要素といえる肉弾戦でのアクションや、サイクロン号でのバイクアクションなどにしびれたという声も。

「役者の皆様の魂を感じた。 特に最後の戦闘シーンは歴史に残る泥仕合。あんなの残りの人生では他で出会えないと思う。必見です!!」

「戦闘もバイクシーンも迫力があって楽しかったです。戦闘時に定番の曲が流れたときすごくたぎりました」

「全部良かったけど、特に音の迫力がすごくて惹き込まれました!絶対映画館で観た方が良いです!! !!」

バイク音やおなじみのBGMなどの音響効果を映画館で体感すると、楽しさもひとしおとのこと。そんなサウンドエフェクトを存分に味わうべく、4DXでの鑑賞をプッシュする声も見受けられた。

「『シン・仮面ライダー』4回目は4DXで。風を受けて変身する仮面ライダーとの一体感を味わうには最高の環境ではないかと。要所要所で使われる熱風の演出もいい感じです」

「2回目見てきた。4DXオススメ!風を感じながらの視聴、良いですね。やっぱこの作品、風だわ。血(水)も浴びるけどなw。3回目も見に行って再確認と新たな発見をしたい」

「#シン仮面ライダーみた」キャンペーンに寄せられたコメントを見るかぎり、『シン・仮面ライダー』は、コアな層だけではなく知識のないユーザーにも刺さる、純粋なエンタメ作品として受け入れられていることが実感できた。これまで二の足を踏んでいた方にも、ぜひ映画館で、本作のアツいドラマや爽快なアクションを体感していただきたい。

文・構成/MOVIE WALKER PRESS編集部

ユーザーたちの声から、『シン・仮面ライダー』のエンタメ的魅力を紹介/[c]石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会