重大な事故につながりかねない「あおり運転」。車間距離を詰めて接近する、突然急停止するといった危険な行為ですが、社会問題化している昨今、残念ながらドライバーの誰もが被害者になる可能性があるといえます。そんな「あおり運転」について、弁護士ドットコム(東京都港区)が実態調査を実施。「あおり運転をされた経験がある」人の多さが浮き彫りとなりました。

軽自動車初心者マークは「標的にされやすい」?

 調査は2023年3月、同社の一般会員を対象に実施。回答が得られた1325人のうち、運転免許証を持っている1241人(男性842人、女性392人、その他7人)の回答を有効回答としています。

 まず、「“あおり運転”をされたことがあるか」について聞いたところ、「ある」と答えたのは71.6%で、全体の7割以上があおり運転をされた経験があることが明らかとなりました。

 では、“あおり運転”をされたとき、どのような行動を取ったのでしょうか。どう対処したのかを聞いてみると(複数回答)、最多となったのは「道を譲った」(36.7%)でした。次いで、「何もしなかった」(29.2%)、「スマホやドライブレコーダーで記録した」(8.7%)と続いています。

 実際に“あおり運転”をされたことが「ある」と回答した人に、具体的なエピソードを聞いたところ(自由回答)、「後ろから車間距離を詰められ、さらにハイビームで運転をしにくくされたため、路肩に寄って道を譲ったら、抜かすタイミングで私の車に対し、にらみつけながら何かを叫んでいた」(愛知県・30代女性)、「高速道路でのことが多い気がします。どいてほしくて左右に車体を動かしたり、パッシングをされたりしました。避けようにも前も詰まっていることも多く、見えていないのかと思うこともあります」(東京都・50代女性)、「車間距離を詰められ、ハイビームをつけたり消したりする迷惑行為をされたことがあります。軽自動車初心者マークをつけていたせいで、標的にされやすいように感じました」(静岡県・30代女性)といった声が。軽自動車初心者マークをつけていると“あおり運転”をされるという意見もあるようです。

 さらに、「高速道路で追い越し車線を走行中、後ろから近づかれて法定速度以上のスピードを出さなければいけなくなった。“あおり運転”しないので恐怖を感じた」(大阪府・50代男性)、「片側一車線の道路で法定速度にて走行中に、何度もスピードを上げて詰められたり離されたりを繰り返しされました。停車する路肩もなかったため、逆にゆっくり走行し、脇道へ逃げ込みました」(福島県・30代女性)など、高速道路や片側一車線の法定速度で走行中に、猛スピードで迫られて怖い思いをしたという声も複数寄せられる結果となりました。

 調査結果を受けて、交通問題に詳しい西村裕一弁護士は「ドライブレコーダーの普及率がこのアンケートでも60%を超えており、映像として残ることで、あおり運転が後日客観的に摘発できるケースも増えてきていますし、社会問題として関心も上がっています」「『ここで譲るのが普通』『スピードが遅すぎる』といった運転感覚は、ドライバーそれぞれによって変わってくる側面があります。『指導してやる』などと思わずに、くれぐれも、“あおり運転”をしないようにしていただきたいと思います」とコメントを寄せています。

オトナンサー編集部

あおり運転を「された」際のエピソードも…