キングス・リーグとは元スペイン代表DFジェラール・ピケがチェアマンを務め、主催している7人制サッカーの大会だ。現在スペインでは大きな話題を呼んでおり、ラ・リーガを脅かす存在とまで言われている。

 キングス・リーグは昨年11月に発足し、冬季と夏季の2シーズン制で行われる。計12チームによるリーグ戦を行い、上位8チームがプレーオフで優勝を争う。そのチームを率いるのはセルヒオ・アグエロイケル・カシージャスといった往年の名プレーヤー、そしてスペイン国内で絶大な影響力を持つ配信者イバイ・ラノスらインフルエンサーだ。ドラフト形式で各チーム10名の選手を獲得し、毎節ゲストプレーヤーとして元プロ選手・現役選手をチームに加えることができる。このゲストプレーヤー枠ではロナウジーニョジョアン・カプデビラ、チチャリート、そしてネイマールら有名選手が参戦している。

 そして特筆すべきは、キングス・リーグ独自のルールが多数存在することだ。主なルールは以下の通り。
●試合の展開をガラッと変えるゴールデンカード制度がある。《即PK獲得》《1分間得点が2倍》《相手のカードを奪う》《相手選手を2分間退場させる》そしてどのカードにもなる《ジョーカー》の5種類。試合前に1枚カードを引き、好きなタイミングで発動することができる。
●交代は無制限。イエローカードは2分間、レッドカードは5分間と一時的に退場となる。
●VARは自ら審判団に要求するリクエスト制度。リクエスト回数は1回のみ。
キックオフは自陣のゴールラインから一斉にスタート。センターサークルにあるボールを奪い合う。
リーグ戦だが、引き分けはなし。ピッチ中央からドリブルで持ち運び、5秒以内にシュートを放つルールのPK戦で決着を付ける。

 ラ・リーガのハビエル・テバス会長はキングス・リーグを「サーカス」と揶揄してることに対し、ピケは「若い視聴者を惹きつけるためには、より短く、より面白いコンテンツを作成する必要がある」と主張。独自ルールによるエンタメ性も相まって、実際にスペインでは大きな存在感を示している。3月下旬にバルセロナのカンプノウで行われたファイナルフォー(準決勝・決勝)には、約9万2000人が来場した。試合の様子はキングス・リーグのTwich・YouTube・TikTokに加えて、各チームのオーナーのチャンネルでも配信され、誰でも無料で視聴することができる。今回のファイナルフォーの最大同時接続数は約50万人、延べ200万人が視聴したとされている。

 すでに話題性は抜群で『Infojobs』がリーグ公式スポンサーになった他、『アディダス』が全チームのキットを提供。また女性版のクイーンズ・リーグの開催も決定している。飛ぶ鳥を落とす勢いで話題となっているキングス・リーグ、果たしてラ・リーガを越える日は来るのだろうか。

[写真]=Getty Images