Googleの元最高経営責任者である、アメリカの実業家エリック・シュミット氏は、「まもなく人間がAIに恋心を抱くようになるのでは」と心配しているそうだ。
シュミット氏は、「どんな国の言葉であっても、優れた教育を行えるAI教師がいる世界を想像してみてください」とメディアに語っている。
彼の目にこうした状況は、前代未聞の新たな問題として映っているようだ。
「人々がAI教師と恋に落ちたら、どうなるのでしょうか?」とシュミット氏は問いかける。
私たちはすでに、これまでの検索による情報収集から、チャットGPTの登場で、AIに質問して、会話しながら様々なことを学ぶライフスタイルに移り変わろうとしている。
つい最近、Washington Post紙がそれを象徴するようなニュースを伝えている。シリコンバレーのとある私立学校が、OpenAIのチャットGPT技術を利用したAI教師を採用したというのだ。
子供が無能な人間の教師よりも、有能なロボットから学びたいと願っていることは確かだ。だからと言って、本当に人はAIに恋したりするのだろうか?
忍耐づよくやさしいAIが心の隙間を埋めてくれる
よく考えてみれば、それほど突飛な話ではないだろう。インターネットはすでに出会いの場として十分に機能しており、心に寂しさを抱えた人たちがデジタルロマンスを探しに行くことだって普通にある。
人間以上に気遣いが上手で、優しくしかも忍耐強く接してくれるAIチャットボットが、心の隙間を埋めてくれるだろうことは想像に難くない。
また人間には、相手がただのプログラムと意識的にはわかっていたとしても、無意識的に人間らしさを感じてしまう傾向(イライザ効果)もある。
たとえ大規模言語モデルをベースにしたAIチャットボットであっても、それとやり取りを交わすうちに人間と会話している気分になってくるはごく自然なことなのだ。
そして実際、AI彼氏やAI彼女を提供するサービスもある。
たとえば『Replika』というAIコンパニオンアプリは、すでに200万人のユーザーを獲得したと言われている。これなどは、人間が人間らしいチャットボットに深い愛情を抱くことがある証拠だろう。
AIを搭載したチャットボットコンパニオンアプリ / image credit:Replika
AIチャットボットの強力な副作用を懸念
だが、シュミット氏が懸念するのは、新たに登場した強力なテクノロジーには、予想外の副作用がつきものである点だ。
彼はこれについて、SNSを例に挙げて説明する。
私たちがSNSを提供したのは、人間がそれをどう使うか、ごく単純な予測しかしていなかったからです。
ですが、SNSがどう情報を操作し、被害をもたらしているのか見てごらんなさい。SNSが原因で人が死んでいるんですよ
SNSを開発した人たちは、誰もそんなことを望んでいたわけではないのに、そうなってしまった。同じことがAIで起きるのではないか? シュミット氏はそれを警告しているのだ。
References:Former Google CEO Warns That Humans Will Fall in Love With AIs / written by hiroching / edited by / parumo
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