お茶の水女子大学湾岸生物教育研究所(千葉県館山市)は2023年1月から3月にかけて、学校で海洋教育の授業を行うための教材提供と、一般を対象とした体験イベントを融合させた「全国一斉ウニの発生体験2022年度冬」を開催いたしました。この体験会では全国の学校・ご家庭・市民サークルなどに同じバフンウニ由来の発生実験教材を一斉発送して受精実験を行い、実験と同時並行で相談会・報告会や表現作品コンテストをオンライン上で実施。利用者同士が相互に繋がりながら海やウニを学ぶものです。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

家庭での発生実験の様子(コンテスト参加作品より)
  • イベント概要
・開催概要:バフンウニの発生実験とオンラインでの交流
・日時、実施内容
 2023年1-2月:4つの日程でウニ教材を提供(全国各地に一斉配送し、それぞれで実験を行う)
 2023年2月16日:オンライン相談会
 2023年3月16日:オンライン報告会
 2023年3月21-31日:オンライン表現作品コンテスト
・参加人数(延べ):小中高97校(児童・生徒9,251人)と一般22件(62人)
  • 提供した教材について
「全国一斉ウニの発生体験」ではウニの卵と精子を混ぜるだけで受精実験ができるキット化した教材「未受精卵と精子」を提供しています。冬のイベントでは、バフンウニの卵精子を使用しました。冬に繁殖期を迎えるバフンウニは、未受精卵と精子が冷蔵庫で1-2週間保管することができ、他の季節のウニよりも温度管理が簡単です。学校用にはバフンウニの未受精卵、精子と濾過海水のセット、一般用には学校用セットに加えてシャーレやピペットなどの実験器具も一緒に送っています。顕微鏡さえ準備してもらえば、教室や自宅ですぐにウニの発生実験が出来るようになっています。
自分の手で受精させた卵が発生して泳ぎ出した後、ウニの形に変態するまでの約一カ月間、給餌や水替えなどの世話をしながら幼生を育てるための「植物プランクトンと動物プランクトン」という教材も用意しています。こちらも合わせて利用することで、海についてさらに深く考えながら学ぶことができます。今回のイベントでは参加者の約2/3が幼生飼育にも挑戦しました。
育てた幼生(左)と変態誘導して誕生した稚ウニ(右) いずれもコンテスト参加作品より
  • 初心者でも失敗しないように、学校向け、一般向けの研修イベントを行いました
冬休みに、学校教員を対象とした事前研修会をお茶の水女子大学湾岸生物教育研究所にて対面とオンラインのハイブリット形式で開催しました。また、2023年2月には、一般参加の方を対象とした研修会を兼ねたオンライン交流イベント「オンライン相談会」を開催しました。このオンライン相談会では、秋に続いて、冬のイベントにも参加した人達に会の運営を手伝ってもらうことに。今回の特別講師を務めた小学生兄妹は、自分たちが秋のイベントで発生体験を行ったときの経験をもとにした”初心者向けの研修”を行ってくれました。また、秋田県から参加の小学6年生3人組は、秋の体験イベント参加後に、岩手県のウニ養殖所に見学に行ったときの様子をレポートしてくれました。初心者にも安心して実験に取り組んでもらうために始めたオンライン相談会ですが、先輩参加者が「今までのイベントで学んだことを次に伝える」機会にもなっています。一般向けの会なので生徒も参加しやすい、と学校からの参加もありました。
(左)冬休みの教員研修会の様子(右)オンライン相談会での見学レポート
  • オンライン報告会では一般枠と学校枠が一緒に学んだことを共有しました
受精実験が完了して幼生飼育も一段落する3月中旬に、一般枠と学校枠からの参加者が一緒に学んだことを発表する発生体験の報告会をオンライン上で開催しました。当日は21件のオンライン参加があり(学校14校、一般5カ所7件)、学校4校と一般3件による報告が行われました。家庭での実験の報告、教材の二次配布のための拠点としても機能してくれている市民サークルからの報告、学校から部活動で参加している生徒の代表者による発表も。また、教員からの授業の報告など、北は北海道から南は九州まで、様々な立場の人がウニの発生実験や幼生飼育という共通項で繋がり、皆で学んだことを共有しました。当日都合がつかない人のために「後日録画を視聴する」という参加形態も設け、そちらにも30名の登録がありました。
オンライン報告会の記念写真
  • 学んだことを作品を通して共有する表現作品コンテストを実施しました
イベントの集大成として、3月下旬にオンラインコンテストを開催。ここでは受精実験や幼生飼育、そして報告会での発表を通してそれぞれが海について学んだことを様々な方法で作品にして表現してもらいました。集まった観察レポート31点、アート作品8点、オープン参加作品(締め切り後に出品)2点を2023年3月21日から2023年3月31日にかけて、オンライン上で共有しました。作品を展示するだけではなく、コンテスト形式で参加者間投票を行い、グランプリも決定。知り合いや親戚などにも作品を見てもらえるように、相互投票を行わない一般公開用のサイトも準備しました。このコンテストに出品されたレポートは、写真入りの詳細な手順に加えてそれぞれが工夫や苦労した点などもしっかり記載してあるので、コンテストの終了後は実験マニュアルの補足資料として今後のイベント参加者と共有する予定です。
また、このコンテストでは、グランプリ投票以外に特別賞と言う形で作者へのメッセージをもらっています。今回も「目の付け所がすごいで賞」「イメージが付きやすいで賞」といった特別賞が集まり、多くの作品が温かい評価を受けました。
(左)観察レポート部門グランプリ作品(右)アート部門グランプリ作品
  • 参加した子ども・保護者・学校教員からの声(アンケートより)
オンライン相談会
・特別講師の方の動画による研修は、短時間で、幼生飼育や珪藻の培養方法のイメージを持つことができ、とても参考になりました。ありがとうございました。(一般)
・ウニ養殖場の様子を知ることができました。子供達が真剣に見ていました。レポートしてくださりありがとうございます。(一般・保護者)
・普段は教員向けの研修に参加することが殆どなのですが、一般の方の研修会ということで、いつもとは違った雰囲気を楽しむことができました。ありがとうございました。(学校教員)

報告会
・ほかの参加者の状況を知ることで、自分たちのウニの飼育について見直すことができた。(無記名)
・せっかくの全国体験なので、色々比較したい。受精や幼生飼育で良かったこと、悪かったことなどを聞いみたい。(一般)

コンテスト
・生物の観察を通して、様々な分野で発表できる場を設けていただき、とても楽しく参加させていただきました。今後も生徒と共に、参加させていただきたいと思います。(学校教員)
・たくさん素晴らしい作品に出会えて、とても楽しく拝見させていただきました。ありがとうございました。(一般)
・娘に貴重な経験をさせていただき、感謝しております。(一般・保護者)
・楽しかったです。ありがとうございました。(一般・小学生)

<団体概要>
団体名称:国立大学法人お茶の水女子大学
URL:https://www.ocha.ac.jp/index.html
活動内容:学部教育、大学院教育
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/




配信元企業:海と日本プロジェクト広報事務局

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