なでしこジャパンは11日、デンマーク女子代表と対戦し0-1で敗戦した。

今年7月に開催されるオーストラリアニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)に向けて強化を進めるなでしこジャパン。今回の欧州遠征では9日にポルトガル女子代表と対戦し、2-1の勝利を収めた。

W杯メンバー発表前最後の対外試合となる今回のデンマーク戦では、ポルトガル戦から先発5人を変更。引き続き[3-4-3]のシステムを継続した中、GKに山下杏也加(INAC神戸レオネッサ)、3バックは右から三宅史織(INAC神戸レオネッサ)、熊谷紗希(バイエルン)、南萌華(ローマ)が並び、ボランチに長谷川唯(マンチェスター・シティ)と長野風花(リバプール)、ウイングバックに清水梨紗(ウェストハム)、遠藤純(エンジェル・シティFC)が入った。

3トップは右に藤野あおば(日テレ東京ヴェルディベレーザ)、左に岩渕真奈(トッテナム)、中央に植木理子(日テレ東京ヴェルディベレーザ)が入った。

[4-3-3]の布陣を採用したデンマークがホームの大歓声を後押しに前がかりな入りを見せた中、立ち上がりからバックラインが完全に5バック化するなど押し込まれるなでしこ。流れの中では決定機まで持ち込ませないものの、相手に分があるセットプレーから幾つか際どい場面を作られる。

以降も押し込まれてマイボール時に相手のプレスに対して、なかなかパスの出口を見つけられない。そのため、ビルドアップで引っかかる場面や後ろ向きでボールを受けた選手がことごとく相手の強度の高い守備に潰される。20分には右サイドを崩してボックス手前でこぼれ球に反応した長谷川がようやくファーストシュートを放つが、これは枠を捉え切れない。

前半半ばを過ぎると、相手の運動量の低下に守備面での順応によって決定機やセットプレーに持ち込まれる回数は減ったものの、攻撃はなかなか機能せず。全体の距離感、パススピードの問題でリズムを作れない中、ウイングバックの攻撃参加や岩渕の個人技でチャンスを窺う。

前半終盤にかけてはボールを落ち着かせながら相手陣内でのプレーを増やしたなでしこだったが、アタッキングサードでは相手の集中した守備を前になかなか崩しの形まで持っていくことができず。ゴールレスのまま前半を終了した。

後半も同じメンバーで臨んだなでしこは前半終盤の流れを継続して優勢に試合を進めていく。52分には遠藤のFKからゴール前の三宅がヘディングシュートを放つが、これは枠を捉え切れない。

先制点を奪うためにもう一工夫がほしいという状況の中、池田太監督は58分に岩渕と三宅を下げて宮澤ひなた(マイナビ仙台レディース)、守屋都弥(INAC神戸レオネッサ)を同時投入。この交代で清水が3バックの右にポジションを移した。

この交代直後には長谷川のボックス内での粘りから宮澤がさっそくシュートシーンに絡むと、63分には右サイドを深くえぐってのクロスのこぼれから宮澤と遠藤の元ベレーザコンビの鮮やかな連携から決定機に持ち込むが、左足の鋭いシュートはGKのセーブに遭う。

以降も試合のペースは握るものの、最後のところで粘るデンマークの守備を崩し切れないなでしこは、75分に植木を下げて浜野まいか(ハンマルビーIF)を最前線に投入。異なる特長を持つアタッカーに最後の仕上げを託す。

だが、後半終盤にかけてさらなる攻勢を目指した矢先の78分に守備陣のミスから痛恨の失点を喫した。ハーフウェイライン付近の左サイドから相手が背後を狙って蹴ったフィードに対してヤンニ・トムセンと競争する形となった南が何とか身体を前に入れてヘディングでのバックパスを試みるが、前に出て守備対応にあたったGK山下とのコミュニケーションミスでゴール方向に向かったボールが無人のゴールへ吸い込まれた。

痛恨のミスで先制を許したなでしこはすぐさま反撃を開始。ボックス内で果敢に勝負した浜野が鋭い右足のシュートを放つが、これは惜しくもクロスバーの上を越える。この直後の87分には遠藤を下げて杉田妃和(ポートランド・ソーンズFC)を投入。交代機会を使い切って最後の勝負に出るが、専守防衛の構えを見せるデンマークの守備をこじ開けることはできず。

この結果、今回の欧州遠征を1勝1敗の戦績で終えたなでしこは、今後のメンバー発表を経て運命のW杯本大会に臨むことになる。

デンマーク女子代表 1-0 なでしこジャパン
デンマーク
オウンゴール(78分)

スターティングメンバー
GK:山下杏也加
DF:三宅史織(→58分 守屋都弥)、熊谷紗希、南萌華
MF:清水梨紗、長谷川唯、長野風花、遠藤純(→87分 杉田妃和)
FW:藤野あおば、植木理子(→75分 浜野まいか)、岩渕真奈(→58分 宮澤ひなた)

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