ベルリン国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞したパオロ・タヴィアーニ監督の映画『遺灰は語る』より、予告編が解禁された。

【動画】美しいモノクロ映像、音楽で紡がれる映画『遺灰は語る』予告編

 本作は、ローマからシチリアへ、ノーベル賞作家の“遺灰”を運ぶトラブル続きの旅を描く。昨年のベルリン映画祭では国際映画批評家連盟賞に輝き、5月2日からの「イタリア映画祭2023」(主催:朝日新聞社、イタリア文化会館、チネチッタ)では、オープニング作品として日本プレミア上映が決定している。

 主人公は、あるノーベル賞作家の“遺灰”。1936年に亡くなった作家ピランデッロは、死に際し「遺灰は故郷シチリアに」と遺言を残すが、時の独裁者ムッソリーニは遺灰をローマから手放さなかった。戦後ようやく遺灰が故郷へ帰還することになるが、次々にトラブルが…。遺灰はシチリアにたどり着けるのだろうか?

 監督を手がけたのは、現在91歳になるイタリアの名匠パオロ・タヴィアーニ。『カオス・シチリア物語』(1984)『グッドモーニング・バビロン!』(1987)などで知られるタヴィアーニ兄弟の弟である彼が、兄ヴィットリオの死後、初めて1人で監督したのが本作だ。

 公開された予告編では、“遺灰”を運ぶ任務を受けたシチリア島特使の旅を中心に、人々が“遺灰”をめぐって右往左往する様子が、ユーモアを交えて美しいモノクロ映像で描かれる。『ライフ・イズ・ビューティフル』でアカデミー賞(R)作曲賞を受賞した名作曲家ニコラ・ピオヴァーニが手がける美しい音楽も映画に寄り添う。

 映像の最後は、エピローグとなるピランデッロの遺作短編『釘』のカットも登場。イギリスの映画雑誌「Screen Daily」による「ベルイマン、黒澤、ヴァルダ、オリヴェイラ…その殿堂に仲間入りする重要な作品」というコメントで締めくくられる。イタリアの名匠が70年にわたるキャリアを経て到達した本作への期待が高まる映像となっている。

 映画『遺灰は語る』は、6月23日より全国順次公開。

映画『遺灰は語る』日本版ポスター (C)Umberto Montiroli