是枝裕和監督の映画『怪物』が、第76回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出され、正式出品が決定。是枝監督、主演の安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太がコメントを寄せた。併せて、本予告も解禁された。

【動画】第76回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門正式出品決定! 映画『怪物』本予告

 本作は、是枝監督と『花束みたいな恋をした』『大豆田とわ子と三人の元夫』などの脚本家・坂元裕二、そして音楽には坂本龍一さんというコラボレーションで紡がれるヒューマンドラマ。

 出演は、安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子ら実力派と、二人の少年をみずみずしくかつ情感豊かに演じる黒川想矢と柊木陽太。その他、高畑充希、角田晃広、中村獅童など多彩なキャストが集結した。

 是枝監督作品がカンヌ国際映画祭でコンペティション部門に選出されるのは、昨年の韓国映画『ベイビー・ブローカー』以来2年連続、7回目(カンヌ国際映画祭への出品自体は9回目)。なお『ベイビー・ブローカー』では、エキュメニカル審査員賞、そして主演のソン・ガンホが最優秀男優賞を受賞。これまでも、2004年『誰も知らない』では主演を務めた柳楽優弥が最優秀男優賞を受賞、2013年『そして父になる』では審査員賞を受賞、2018年『万引き家族』では最高賞であるパルム・ドールを受賞している。

 出品決定にあたり、是枝監督、安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太からコメントが到着。

 是枝監督は「韓国映画ではありますが昨年も参加していて流石に2年続けてはハードルが高いですよとスタッフには話していました。にもかかわらず、公開日が映画祭直後に決定してしまったので少々焦りました。ですから、コンペに決まったと連絡を頂いた時には嬉しいというよりはホッとしたという気持ちのほうが強かったです」と心境を明かす。「映画はスタッフとキャストの一期一会の短い出会いと別れの間に生命を授かります。その産声を初めて観客の皆さんに聴いていただく場所としてカンヌ映画祭は、やはり、最高の舞台だと思っています。またあの場所に連れて行ってくれる『怪物』と、その関係者の皆様に心から感謝します。今回は残念ながら参加が叶わないスタッフ、キャストの皆さんの思いも、出来るだけ沢山胸に抱いてあの特別な場所を一緒に歩きたいと思います」と言葉を寄せている。

 安藤は「是枝監督カンヌ国際映画祭出品おめでとうございます。こんなにも早くあの場所に戻れるとは思ってもいませんでした。また是枝組の一員としてみなさんと映画祭に参加できること、とてもとても嬉しいです。カンヌは幼い頃から憧れていた遠い遠い遠い憧れの地。なので今はまだ気持ちがふわふわしていて、少しお腹が痛いくらいです。でも、行けるとなれば目一杯楽しみます! いってきます!!」と期待を込めた。

 永山は「是枝監督、坂元裕二さん、坂本龍一さん、素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんの座組に、私が携われた事、改めて幸せを噛み締めてます。感謝と希望を忘れず、日々、役者として邁進していきたいと思います」とコメント。

 黒川は「僕は最初、どんな演技をしようとか、上手に演じたい!とか自分の事ばかり考えていました。是枝監督の演出からは、どうやって芝居をするのかではなく、ただ湊として動けばいいということが感じ取られ、腑に落ちた気がしました。また、僕が表現に悩んでいる時に瑛太さんから『俳優は監督の脳みそにあるものを表現するもの』というアドバイスをいただき、俳優としての心構えが一変しました」と撮影を振り返る。そして「途中、(演じる)湊が抜けない…というような感覚になり苦しい時もありましたが、現場の皆さんが温かく包み込んでくださって、なんとか撮影を乗り越える事ができました。是枝監督とみんなで作り上げた作品を、カンヌ国際映画祭で世界中の方々に観てもらえることが、とても楽しみです」と言葉を寄せている。

 柊木は「僕が初めて出演した映画『怪物』がカンヌ国際映画祭にノミネートされて、とても嬉しいです。撮影はとても楽しかったです。大変なこともありましたが皆さんのおかげで最後までやり切ることができました。そして、素晴らしい共演者のみなさんや、スタッフさん、そしてこの作品に関わらさせていただいたことにとても感謝しています」と感謝の言葉を。「初めて海外に行くのですが、是枝監督や共演者のみなさんと一緒に行くのが本当に楽しみです! そして世界中の人に作品を観てもらえると思うと今からワクワクしています」としている。

 解禁された本予告では、今まで明かされてこなかった映画の内容が垣間見える。舞台は、大きな湖がある郊外の静かな町。それは、学校でよくある子ども同士のケンカに見えた。子供が先生から暴力を振るわれたと訴えを起こすシングルマザー、反論する教師、逃げる学校、次第に様子がおかしくなっていく息子と、何か秘密を持つ子供たち。彼らの食い違う主張はやがて社会やメディアを巻き込み、大事になっていくが…。そんな、ある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した―。いったい「怪物」とは何か、「怪物」探しの果てに何をみるのか、本作への期待が高まる映像となっている。

 映画『怪物』は6月2日より全国公開。

映画『怪物』ポスタービジュアル (C)2023「怪物」製作委員会