トイレ・ウォシュレット

お前ら元気ですか?

海外から戻ってくると、空港で、駅で、レストランで、ホテルで、使うトイレがなんて綺麗なんだ我がジャパンは、と感動することすらあります。

ワイちゃんが出入りしている某紛争当事国ですと、トイレはあるけど便座がないぞとか、ペーパーは現地で自力調達だとか、場合によっては手で拭くんだぞとか、ブツが手で拭き切れないケツと承知でパンツを履くぞとか、何となれば拭いた手を洗う場所がないぞとか、そもそもトイレの個室のドアが閉まらないぞとか、トイレに入ると後ろからやってきたやつに殴られて金品を奪われるぞとか、そういう日常があります。

その点では、日本のトイレが如何に安全で綺麗かってのを肌身で感じて日本人であることのありがたさを感じることになるわけですよ。

ガイジンの皆さんが日本にやってきて一番驚かれるのはこのトイレ事情であります

ぶっちゃけ、駅の便所でちゃんと紙があったり、何となればシャワートイレだったりすると、かなり本気のカルチャーショックを受けるらしいんですよね。日本のトイレとコンビニは世界に誇る文化資産なんだなって心から思います。

でも、そんな綺麗に掃除された公共のトイレのことを、当の日本人はどう思っているのでしょうか。興味本位でSirabee民に訊いてみたぞ!


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■女性にとっては死活問題

公衆トイレ事情

oh 割とみんな公衆トイレ使ってるじゃん。当たり前か。女性は「どうしようもないときだけ使う」「なるだけ使わない」率が高いですが、チャックを開けて棒を出せばどこにでも放出できる男性に比べて、便座おろして座って致すしか方法のない女性からすればトイレの綺麗さは死活問題だってことなんでしょうね。わかります。

言われてみれば、ワイちゃんも自宅便所については家族が多いもんだからトイレ掃除が大変過ぎて、最終的に家長として全家族に対し座り小便を強制するようになりました。飛び散るし臭いししょうがないんや。

しかし、公衆便所の場合は特に便器から大がはみ出したり流さないで去ったりする阿呆のお陰で嫌な思いをすることもありますから、なるだけ使わないってい人の意見も理解できるんですよね。

この点で言えば、公衆便所利用の入り口は間違いなく「清潔さ」にあるのでしょう。

…しかし、女性とトイレ事情で言えば、自宅とオフィス以外ではなるだけトイレに行かないよって回答が多いんですが、大便ならともかく、生理的にどうしても小便だけは飲んだら溜まるじゃないですか。なるだけ日中は喉が渇いても飲まないようにしているんですかね?


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■便器の蓋は手派?足派?

そんな公衆便所の個室で、便座の蓋が降りている場合が多くあります。まあヒーター付きの便座が増えていて、蓋を閉めておくと熱が逃げなくて省エネだからね、なるだけ降ろすよね。でも誰が使ったか分からんトイレの蓋を上げるのって、なんかばっちい気がします。やだやだ。

そんな微妙な存在の便器の蓋を、お前らSirabee民は足で上げてるのか聞いてみました。いや、ほんと興味本位です。

公衆トイレ事情

え、割とみんな手を使って上げてるの。ほんと?

まあ確かにスカートを着用されている女性が人が見てないことをいいことにパンティ丸出しにして足で便器の蓋を上げることは確かにしないかもしれませんね。でも男性陣も割とみんなちゃんと手を使って便器の蓋を上げているという現実を見て、日本人も捨てたもんじゃないなって思います。

また、便器の蓋を足であげると、その足の裏が便座について自分のケツや太ももが汚れる虞があるので手を使わざるを得ないという意見もありました。汚いトイレはなるだけ使わない人ほど便器の蓋は手で上げる傾向があり、衛生観念と行動についてはほんと人それぞれですね。

さらに、なるだけ便所を使わない女性は「必ず万が一トイレに入ったとき用のティッシュや除菌シートを使って便座を拭いたり汚れたところに肌がつかないように気を遣う」そうで、しかもそれって女性の案外マジョリティであることが分かります。それも、あまり年齢差はなく、不潔な地域への出張ではケツにいろんなもん付けて平気でうろうろしている私からするとスーパーカルチャーショックを受けざるを得ません。みんな綺麗好きなんだな。


■出先でシャワートイレは…

逆に、はっきりと年齢差と性差がもろに出ているのが公衆便所についている温水洗浄便座を使うかどうかです。

公衆トイレ事情

まずは男女差。これもうはっきりと女性は使わない傾向ですね。ケツにうんこついてる感が残っててもかたくなにシャワートイレは使わない、そういう清く硬い意志を感じます。誰かの使ったノズルから出る水がケツに当たるより、自分がひり出したクソが残ってもぞもぞするほうを選ぶのが大和なでしこと言えましょう。

他方で、男性はそこに温水が出る便座があるならば、ケツについた奴らを洗い流すためにためらいなく使っていこうという猛者が7人中1人、残りは半数が綺麗ならまあいいかと使うという結果になっています。もちろん私はトイレが汚くても出る水は別に汚くないだろうということで平気でシャワートイレ使いますが、これはもう少数派なのは仕方ないんでしょうかね。侍たるもの、置かれたケツ洗い機はなるだけ使っていこうという精神なのですが、そういう畜生は少ないというのは残念なことです。


■歳を取るほど使う率は上がる?

年齢で言えば、これもまたはっきりと傾向が出ています。基本的に、歳を取るほど公衆便所のシャワートイレは使う率が上がります。

公衆トイレ事情

この辺を見ると、自分のうんこのついたケツと公衆便所の綺麗さに関する相対的な衛生について、無意識に私たちは「あるべき綺麗さ」を考えているんじゃないかと思うんですよね。相対的にケツが汚いのか便所が汚いのかという判断を下したうえで、拭き切れなかったお尻がその後の外出時に感じさせる不快な「拭き切れなかった感」との対比で行動を決めているのです。

今回のアンケートでは残念ながら項目に入れていないのですが、このあたりは「外出時にうんこを漏らしてた事故があるかどうか」や「不潔なトイレ事情の地域に長期旅行・滞在をしたことがあるか」といった、おのれの理性が試される事態に直面して価値観をゆるがせられた経験の有無が、人のトイレ利用での行動に大きな影響を及ぼしているのかもしれません。

何より、歳を取るほど汚ねえトイレでもケツ洗い機を使う率が有意に高まるというのは、真の意味で「人間とは何か」を感じさせます。加齢するほどに人間は謙虚になれる場合があるのだ、ということは、現代社会に生きる私たちへの福音であると同時に、来たるべき未来の明るさであると言えましょう。


■執筆者プロフィール

山本一郎

Sirabeeでは、切れ味鋭い社会批評で知られる投資家の作家の山本一郎やまもといちろう)さんの連載コラムを公開しています。ネットで話題となったテーマをアンケート調査データと組み合わせて分析していく連載です。


今回は「Sirabee民に訊く! 日本人の公衆トイレ事情」を掲載しました。

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(取材・文/山本一郎

【調査概要】 方法:インターネットリサーチ 調査期間:2023年1月27日~2023年1月30日
対象:全国10代~60代男女
有効回答数:1000件

女性は死活問題の“公衆トイレ” ケツ洗い機の実情から見える現代人の未来とは