社会問題化する「ごみ屋敷」。2023年3月、環境省の「ごみ屋敷」に関する調査報告書により、自治体で把握しているごみ屋敷の事案件数が5224件であることが明らかになりました。一見、ごみ屋敷とは分からない「隠れごみ屋敷」の存在にも注目が集まっています。

 そんな「隠れごみ屋敷」について、隣人調査・トラブル仲裁事業を行うトナリスク(東京都豊島区)が調査を実施。その結果を発表しました。

「近隣トラブルになる方が面倒」?

 調査は2023年4月、集合住宅に住んでいる21~85歳の男女を対象に、ウェブ上で実施。552人から有効回答を得ています。

「住んでいる集合住宅内に、隠れごみ屋敷があると思うか」について聞いたところ、「あると思う」と回答した人が18.5%と2割近くいることが分かりました。「ないと思う」は42.0%、「分からない」が39.5%となっています。「あると思う」と「分からない」を合わせると58.0%と過半数に上ることから、ごみ屋敷を身近な問題に感じている人が多いことがうかがえます。

 では実際、住んでいる集合住宅に“隠れごみ屋敷”があるとしたら、どう思い、どう行動するのでしょうか。

 コメントを見ていくと、「いい気はしない。共有スペースを汚していなければ、何もできないと思う(50代女性)」「近隣トラブルになるから特に何もしない(30代女性)」「火事や害虫発生がありそうで、あまりいい気持ちはしません。何もしない、というか、できないです。ご近所トラブルになりそうなので(50代女性)」「火災や迷惑事、トラブルがなければいいと思う。面倒事に巻き込まれる方が面倒なので何もしません。対応が必要なら管理会社が適切な対応を取るでしょうから(30代女性)」などの声が。「いい気はしないものの、近隣トラブルになる方が面倒」と考える人は少なくないようです。

 中には「ごみ屋敷ではないか疑う部屋がある」人もいるようで、「既に疑っているお宅がある。ベランダが物だらけで掃除が行き届いていないのが目に見えて分かる。集合住宅に住んでいる以上、柔軟に目をつぶるしかないと思っています。臭ったり虫がわいたりするようだったら管理会社に注意してもらいます(30代女性)」「現に玄関前にゴキブリがウロウロしていることがあるので何とかしてほしい。管理会社には連絡したが、いつも不在(たぶん居留守)で連絡がつかないらしい(50代女性)」といった生々しいコメントも。

 一方で、ごみ屋敷の住人の事情を思慮する声も少なくなく、「ごみ屋敷自体も問題だが、ごみ屋敷が発生するのはそこに住んでいる人の性格や行動癖が影響しているので、そちらの方が心配になる。性格的な問題なのでごみを片付けてもおそらくまた元に戻ると思う。さっさと引っ越してもらいたいがなかなかそうもいかない。周辺に具体的な被害がない限りどうしようもないと思う(60代男性)」「認知症だったり身体の自由が利かなくなったりしてごみが出せないケースも考えられるから、管理会社から行政に相談してもらうようにするかもしれない。悪臭がするのでなければ関わらないでおくかもしれない(60代女性)」といった声もあるようです。

 さらに、「仕方ないと思う、私もごみ屋敷予備軍だから何ともいえない(40代女性)」「ごみの出し方が複雑だったり、出す時間のルールが厳しい地域では出せなくてたまっていきかけたことがあり、だんだんそれに慣れてもしまい、こうやってごみ屋敷が出来上がるのかなと思ったことがある(30代女性)」「外部から分からなければ仕方がないことだと思う。外部に影響がない限りは何もできないと思う。何がごみなのかという基準は個人に委ねられており、他の人が口を出すべきことではないように思う。考えようによっては、わが家の家具・衣類・書籍などは、ごみといえばごみといえる水準です(70代男性)」など、自身が“隠れごみ屋敷予備軍”とする声も少なからず上がる結果となりました。

オトナンサー編集部

「隠れごみ屋敷」、実はあなたの近所にも…?