2023年1月発表の第80回ゴールデングローブ賞のテレビ部門で、作品賞、主演女優賞、助演男優賞に輝いたコメディードラマ「アボット エレメンタリー」。公立小学校を舞台に、熱心な教師たちの奮闘を描く作品で、主演を務めるのは新進気鋭のコメディー女優、キンタ・ブランソンだ。ドキュメンタリー風の映像と会話で進んでいく“モキュメンタリーシットコム”は、日本であまりなじみがないが、不思議と違和感なく作品を楽しむことができる。4月19日(水)からはシーズン2が国内配信される予定。今作で独特な世界観を作り上げているキンタについて紹介する。

【写真】ゴールデングローブ賞を受賞した時のキンタ・ブランソン、弾ける笑顔がまぶしい!

■雑用をこなしつつ子どもたちを愛する先生たちの物語

「アボット エレメンタリー」は、2022年のエミー賞・コメディ部門でもキンタが脚本賞を、シェリル・リー・ラルフが助演女優賞を受賞している注目作。舞台は予算に乏しいフィラルフィアの公立小学校で、主人公の教師・ジャニーン(キンタ)たちが、愛する子どもたちに良質な教育環境を提供しようと日々奮闘する様子が描かれる。

学校の先生といっても、人間的に正しく優秀な人ばかりが就く仕事というわけではない。思いやりを持った普通の人が、プライベートや恋愛の悩みなども抱えながら、細かい雑用をこなしつつ懸命に働いているのだ。自由奔放な校長・エヴァ(ジャネル・ジェームズ)に振り回されたり、やんちゃで生意気な子どもたちを叱りながら、子どもたちにとって心地よい学校生活を整えていく姿は慈愛に満ちており、どんな学校にも起こり得る身近な問題を明るく解決していこうとする様子が爽やかだ。

■キンタ・ブランソンはバズる方法を熟知?

主演のキンタは、脚本・製作総指揮・クリエイターも兼務しているだけあって、学校内のトラブルをカラッとした笑いに変えていく余裕な表情や、セリフ回しに貫禄さえ感じる。米TIME誌の「2022年度、最も影響力のある100人」にも選出されているキンタは、1989年12月21日生まれ、アメリカ・ペンシルベニア州フィラルフィア出身の33歳。YouTubeやInstagramを使った動画投稿者として活躍し「The Girl Who's Never Been on a Nice Date(いいデートをしたことがない女の子)」シリーズが注目された彼女は、自己プロデュース力ももちろんあり、バズるコンテンツを作る勘が鋭いのだろう。

2021年には「She Memes Well(彼女はよくミームします)」というエッセー本を出版し、自分が影響を受けたポップカルチャーやメンタルのことや家族の話などをつづり、自己表現の場を広げている。

「アボット エレメンタリー」の成功により、キンタは自身が通った小学校など資金不足の学校に物資を寄付する活動を行っている。自身のTwitterにも、ニューヨーク市内で番組の広告を付けたバスが走る様子の写真と共に「あなたの街でこのバスを見たら、何人かの教師が無料の備品と #AbbottElementary ギフトを手に入れようとしていることを意味します」と投稿した。

■シーズン2も配信決定

「アボット エレメンタリー」では、キンタが明るい笑顔を見せながら演じるジャニーンをはじめ、教師たちのキャラクターが個性豊かで面白い。不器用だがお人よしの歴史教師・ジェイコブ(クリス・パーフェッティ)、経験豊富な幼稚園教諭のバーバラ(シェリル・リー・ラルフ)、ジャニーンと同じ2年生を担当するメリッサ(リサ・アン・ウォルター)に加えて、最近代理採用されたグレゴリー(タイラー・ジェームズ・ウィリアムズ)らがいる。さまざまな性格の人々が混ざり合うから、世の中は楽しい。

シーズン1を見た視聴者はSNSに「アボット エレメンタリーの先生たち、見るたびに好きになって、最終的にとてもいい気持ちになれる」「次々起きる問題が、先生たちの愛で解決されていくのとても良いね」「深刻で重たいドラマが苦手な私にはピッタリの明るい作品」などの感想を書き込み、作品のファンは増え続けている。

「アボットエレメンタリー」はアメリカでシーズン2が放送されており、日本では4月19日(水)からディズニープラス「スター」で配信。学園モノというよりは、職場コメディーとして気楽にハマれる作品だろう。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

主演であり製作総指揮も務めるキンタ・ブランソン/(C)2023 American Broadcasting Companies, Inc. All rights reserved.