ベティスに所属している元スペイン代表MFホアキン・サンチェスが19日、2022-23シーズン限りでの現役引退を発表した。

 ベティスは「このアートは永遠に残る。キャプテンへ、ありがとう」という文言とともに1つの動画を公開。動画内では“アーティスト”のホアキンが絵の具を用いて、ベティスのユニフォームを描いていくストーリーとなっている。その中で、ホアキンは以下のような言葉を発した。

「人生とは常に進化するもの。その中で大切なものは、変化に対応する能力を持つこと、毎日を挑戦の場とすること、そしてすべての物事にちょっとしたアートを施すことだ。その道中は感動に満ちている。僕の頭の中には数々の名前と思い出が巡っている」

「4月末に魔法をかけられたようなあの夜(※ベティスが優勝を成し遂げた2021-22シーズンのコパ・デル・レイ決勝戦)、夢を叶えることができた。時が経つのはなんと早いことだろう。『永遠に続くものはない』と言われるが、それは間違っている。アートを知らないのかい?閃き、感動、変化のことだ」

「23年間、僕は自らのフットボールを“アート”にしようと試みてきた。クラシックからコンテンポラリーまで、世代を超えて人々に記憶に残るようにね。あとはスパイクを脱ぎ、僕の手掛けてきたアート作品を飾るだけだ。永遠へ続く窓となるような作品をね」

 加えて、ベティスは別の動画でホアキンの“ベティコス”(ベティスのファン・サポーターの愛称)に向けたメッセージも公開。ドレッシングルームで撮影された動画では「僕の家族、ベティコスのみんなへ」と挨拶した後、以下のような言葉で今季限りでの現役引退を発表している。

「ベティスのクラブカラー、エンブレム、そして13本のストライプを守るため、ピッチに立つために何度も何度も着替えたこの場所から、僕らの家である『ベニート・ビジャマリン』から、遂にこの時が来たことを伝えたい。今季がベティスの選手としてプレーする最後のシーズンになる。けれども、これは『さよなら』ではなく『またね』だ。なぜなら、僕はこれからもみんなの隣で、ベティスとともに人生を歩み続け、今とは異なる形にはなるが、この数年間と同じ感動や喜びを胸に生きていくからだ。いつも隣で支えてくれたこと、敬意を持って背中を押してくれたこと、すべてに感謝を伝えるよ。みんなに大きなキスとハグを送る。ベティス万歳!」

 ホアキンは1981年7月21日生まれの現在41歳。ベティスの下部組織で育ち、2000年夏にトップチームデビューを飾った。2006年夏にベティスを退団してからはバレンシア、マラガ、フィオレンティーナプレーし、2015年夏にベティスへ復帰。ベティスのトップチームではおよそ14シーズンにわたってプレーし、公式戦通算で521試合のピッチに立ってきた。また、スペイン代表としてもこれまでに51試合の出場で4ゴールを記録。FIFAワールドカップに2度、EUROに1度出場した。

 ホアキンはベティス、バレンシア、マラガでラ・リーガ1部通算615試合出場を記録している。これはフィールドプレーヤーとしては歴代最多で、GKを含めるとかつてアスレティック・ビルバオやバルセロナなどで活躍した元スペイン代表GKアンドニ・スビサレッタ氏の622試合出場に次ぐ歴代2位の数字だ。今季のラ・リーガは残り9試合となっており、記録更新にも注目が集まっている。

【動画】ベティスがホアキンの引退を伝えた2本の動画

ベティスのキャプテンとして昨季の国王杯を掲げたホアキン [写真]=Getty Images