2023年4月16日、足立佳奈の4thアルバム『Seeker』を提げたツアー【ADACHI KANA LIVE TOUR 2023 -Seeker-】が東京・Spotify O-WESTにてファイナルを迎えた。

 近未来的な照明で彩られたステージにバンドともに登場した足立。まずは挨拶代わりに「Life Goes On」でフロアを多幸的な雰囲気で包み込む。決意の込められた力強い歌詞をハッピーなサウンドで届け、そこにオーディエンスによる一体感のあるクラップが乗ってくる。そこから立て続けにファンキーなシティ・ポップの「Me」や「オーマイガール」、遊び心の詰まった歌詞が特徴的な「DATE」などと『Seeker』収録曲を披露していく。

 オーディエンスの歓声に対し、MCで「この声を待ってました!皆の声を聴く前からワクワクして、今このステージに立っています。本当に来てくれてありがとうございます」と喜びと感謝を伝えると、「昔から“私とあなた”を繋げてくれていた懐かしい曲」という紹介から、切なさの表現が巧みな「話がある」へ。2ndアルバム『I』収録の同曲をきっかけに、バラードブロックとして「面影」や、キーボードとボーカルのみで披露した「私今あなたに恋をしています」とスローで感動的な楽曲が続く。

 以前ともに暮らしていたという親友に向けて作った「Film」のパーソナルな歌詞や、続く「今が一番ここちいい」の温かい音像で、会場は足立の伝えるハートフルな物語に染められていく。そして、ダークさも少し顔を出す「いまだけ」や「リミット」を経て、こちらも身体が自然と揺れてしまう優しい旋律の「ゆらりふたり」が届けられる。原曲はTani Yuukiとのデュエットだが、足立のソロ歌唱は楽曲の新たな魅力をみせていた。

 続くMCでは「音楽も気持ちも一貫して“変わらないこと”ってカッコいいと私は思っています。だからこそ変わっていく自分を見たときに“怖いな、不安だな、カッコ悪いな”って悩んでいた時期がありました。その時に“探求者 = seeker”という言葉に出会って、すごく気持ちが楽になったんです。音楽を通して理想を追い求めたり、真実を探したりして一つひとつを堂々と探求していけば、“私ってカッコいいんじゃないかな?”と思うことができたので、アルバムのタイトルを『seeker』にしました」 と最新作に込めた想いを真摯に語った。

 本編の最終ブロックは、まさにそのアルバムの表題曲であるアップテンポなポップ・ロック・チューン「seeker」からスタートし、先程までのしっとりした雰囲気から一転して会場のボルテージが一気に上がっていく。多幸感溢れる「Good day」と繋いでいき、ラストに選ばれたのは「4321」。オーディエンスとのコールアンドレスポンスが笑顔を誘うこの曲はこの日いちばんの一体感を生み出していた。

 アンコールで再登場した足立は、笑いを交えつつグッズ紹介をした後、デビュー6周年を記念したライブ【ADACHI KANA 6th Anniversary Live - I got your six -】をデビュー記念日である8月30日に東京・Shibuya WWW Xで開催することを発表。これにはファンから歓喜の声が溢れ出た。「次のライブで皆に会えるのを楽しみにしています。今日は本当に来てくれてありがとう!」と感謝を改めて伝えると、本日最後の楽曲「カンパイ」へ。これぞ大団円というべきハッピーで優しさが詰まったサウンドで会場は揺れ、ツアーファイナルは幕を閉じた。

Text by Haruki Saito

◎公演情報
ADACHI KANA LIVE TOUR 2023 -Seeker-】
2023年4月16日(日) 東京・Spotify O-WEST

セットリスト
1. Life Goes On
2. Me
3. オーマイガール
4. DATE
5. WALK
6. 話がある
7. 面影
8. 私今あなたに恋をしています
9. Film
10. 今が一番ここちいい
11. いまだけ
12. リミット
13. ゆらりふたり
14. Seeker
15. Good day
16. 4321
En1. カンパイ

<ライブレポート>「この声を待ってました!」足立佳奈、『Seeker』ツアーファイナルで奏でた探求心