アメリカ・フィラルフィアの公立小学校を舞台に、献身的で熱心な教師たちと、ちょっと無神経な校長が繰り広げる職場コメディードラマ「アボット エレメンタリー」のシーズン2が、4月19日より配信が始まった。シーズン1は「第80回ゴールデングローブ賞」(2023年1月発表)のテレビ部門で、作品賞、主演女優賞、助演男優賞に輝いた注目作。日本ではこれまでシーズン1のみ配信されていたが、その時点で魅力にハマったファンは「続きが早く見たい」「あっという間に全話見終わる面白さ」など、続編の配信を楽しみにしていた。1話23分で肩ひじ張らずに見られるコメディーの新シリーズが、日本でもついに配信開始。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】強烈な個性を放つ校長・エヴァ(ジャネル・ジェームズ) 

■元気良く明るい先生ジャニーンたちが帰ってきた

「アボット エレメンタリー」は、ドキュメンタリーのように映像が作られている“モキュメンタリ―シットコム”。予算が十分になく、教員の人員不足に悩むウィラード・R・アボット公立小学校を舞台に、個性的な教師たちが生徒1人1人の素晴らしい人生を望み、仕事を愛しながら働く様子を描く。

主人公・ジャニーン(キンタ・ブランソン)をはじめ、ベテラン教師・バーバラ(シェリル・リー・ラルフ)や超マイペースで自由奔放な校長・エヴァ(ジャネル・ジェームズ)ら教師陣の元気の良さは健在。前シーズンで非常勤だったグレゴリー(タイラー・ジェームズ・ウィリアムズ)は常勤になり、教職に自信がついたようだ。

今作の脚本・製作総指揮・クリエイターを担当しているのは、主役も兼務するキンタ・ブランソン。学校はもちろん、どこの職場にもあるよなぁ!と、思わず笑ってしまうドタバタシチュエーションやリズミカルなセリフの掛け合いに心地良さを感じる視聴者もいるだろう。

■個性豊かな教師たちが新学期にワクワク

シーズン2の第1話を少し紹介する。舞台は変わらず、ウィラード・R・アボット公立小学校。ジャニーンの「新学期が始まるわ」というカメラ目線のセリフは、これから巻き起こるあれやこれやの振りにしか聞こえず、見ていてニヤニヤしてしまう。シーズン1も配信中のため、未見の方はそちらからおさらいすることをおすすめするが、シーズン2からでもしっかり楽しめるだろう。恋人と別れて傷心気味のジャニーンや自由度に拍車がかかった校長の傍若無人ぶりなど、キャラクターの分かりやすさも魅力だ。

夏休みを終えた教師たちは、バカンスに行ったり手話のスキルを習得してきたりして、新学期で生徒たちに会えることを楽しみに迎える。常勤教師になったグレゴリーは1年分の綿密なカリキュラムを組み、自分の思い通りに進めていきたいと意気込むが、先輩教師は「この先、大雪の日もあるし、途中で鼻血を出す子もいるんだから」と、そんなうまくいくはずないことを知っている。

■失恋したジャニーンが立ち直れるかにも注目

教師たちに対する校長のムチャぶりも相変わらず。メリッサ(リサ・アン・ウォルター)は、すでにかなり忙しいのに校長から「2年生と3年生を一緒に教えてね」と言われてドン引き。それぞれの理想的な教育を届けるために奮闘するが、教師たちの苦労は絶えない。

ジャニーンは相変わらず明るく前向きな性格で、教師たちの交流会企画を成功させようとするが、やはり恋人と別れたことを隠し切れない。今年こそは仕事をうまく回していきたい、と願うジャニーンがどんどん空回りして、同僚たちの同情を買ってしまう。笑うのは申し訳ない状況なのだけど、“こうなったら笑い飛ばしていこうよ”という彼女の強さも感じるだけに、思いきり笑って見守っていくのが今作の視聴スタイル。

使命感に燃える教師たちの姿を見ていると“世の中捨てたもんじゃないな”と思えるだろう。完ぺきではない大人たちを描くからこそ、じんわりと温かく、心に残る作品だ。

「アボットエレメンタリー」は、ディズニープラスのスターにて独占配信中。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

「アボット エレメンタリー」シーズン1より/(C)2023 American Broadcasting Companies, Inc. All rights reserved.