「居住者用車両を除く」という補助標識がついた通行禁止標識のある道路は、文字通り、居住者以外が通ると違反になる可能性があります。しかし選挙演説のクルマは、このエリアだけでなく、スクールゾーンすら例外のひとつになるようです。

選挙カーは「居住者用車両」?

2023年統一地方選が後半戦を迎え、多くの市町村4月23日(日)に投票が行われます。選挙運動も熱を帯び、住宅街の隅々まで選挙カーが走るようになっています。

ただ、特に東京の住宅街のなかにはしばしば、「居住者用車両を除く」の補助標識がついた通行禁止標識のある道路があります。文字通り“居住者”以外が通れば、通行禁止違反に問われる可能性もありますが、通ってもよいのでしょうか。

結論からいうと、これはOK。さらにいえば「居住者用車両」以外の指定車両の通行禁止規制、たとえばスクールゾーンを通行することなども問題ないとされています。選挙カーは公職選挙法に基づき、選挙運動の期間中は道路交通法の一部が免除されるのです。ただし、学校や病院、診療所など療養施設の周辺においては、静穏を保持するよう努めなければならない規定もあります。

加えて、過去の東京都議会では、「居住者用車両を除く」標識の道路で、告知や街宣などの目的で政治活動用車両を走らせてよいのか、といった趣旨の質問がなされた際、規制エリアへ政治活動に関する街頭宣伝を行うために出入りする場合は、そのエリアへ「所用のため」出入りするものであることから、「『居住者用車両』に該当する」という答弁が交わされたことも。

もともと、「居住者用車両を除く」の通行規制は、エリアにまったく関係のない人が近道として利用するようなケースがNGであり、エリアの居住者がタクシーを利用したい場合にタクシーがそこを通ったり、そのエリアに配達物を運んできた配送車や郵便車などが通行したりする場合はOKとされています。

さらにいえば、「居住者用車両」を証明する許可証なども特段ありません。しかし、前出したスクールゾーンは、指定時間内に規制区域を走行するには、区域内の居住者であっても通行許可証が必要で、その時間帯は児童の安全を確保するため、居住者にもなるべく通行を自粛するよう呼びかけられるケースもあります。

そのように保護されたスクールゾーンに選挙カーが入ってくることに対しては、インターネット上で批判の声が多くみられます。

「居住者用車両を除く」通行禁止の標識。選挙カーは通れる(乗りものニュース編集部撮影)。