Dios3月27日に【Dios Billboard Live 2023 "CASTLE/Re:BUILD"】をビルボードライブ東京にて開催した。
 
 Diosは、2021年3月末に結成され、多様な世界観とハイセンスなサウンドメイクで聴く人を魅了してきた。本ツアーは2023年3月18日神奈川ビルボードライブ横浜を皮切りに、東京・大阪の3会場で開催。今回はビルボードライブ・ツアーに合わせたスペシャルなバンド編成で高い演奏スキルと表現力の高い歌声を披露し、ツアーの最後を大団円で締めくくった。本稿では東京公演・2ndステージの模様をお届けする。

 会場は満席状態でDiosを心待ちにしていたファンで埋め尽くされていた。開演時間になりステージが暗転すると、ササノマリイ(Key)が温かい拍手で迎えられ登場。そして、ササノマリイによるエモーショナルなピアノ演奏から公演がスタートした。切なくも温かみのあるフレーズが会場を包み込んでいくなか、Ichika Nito(Gt)、オオツカマナミ(Ba)、さのみきひと(Dr)、最後にたなか(Vo)が拍手と共に登場。客席へ深々とお辞儀するたなかの姿が印象的だった。

 ササノマリイのピアノ演奏が終わると、さのみきひとによる勢いのある“1、2、3”というコールから1曲目「劇場」がスタート。演奏が始まった瞬間に思わずにやけてしまうほどのグルーヴ感と音の心地よさに、会場からは自然とクラップが鳴り響く。開始数秒でバンドの演奏力の高さを感じていくなか、たなかの美しく表現力の高い歌声が混ざり合っていく。バンドの演奏力もさることながら、たなかの歌声は実に素晴らしく、音源以上の圧倒的な歌唱力・表現力に、一瞬にしてオーディエンスの心を魅了した。

 1曲目が終わると、たなかが「Diosです。よろしくお願いします。ビルボードライブ東京2ndステージ、盛り上がる準備はできていますか?」と挨拶。それに応えるように会場からは大きな拍手が沸き起こった。続けて、「とは言いつつ、ご飯食べたり、お酒飲んだり好き勝手に盛り上がっていただけたら嬉しいです。今日はスペシャルな編成でお送りしております。5人で全く見たことのないDiosをお届けできたらと思います。よろしくお願いします。」と挨拶を締めくくった。

 続けて、独特なボーカルフレーズと、さのみきひとの軽快なリズムで奏でられるボンゴから「Virtual Castle」がスタート。今回の特別編成ならではのテンポ感はスウィング調の「Virtual Castle」にとてもマッチしており、自然と体が動いてしまうリズムの心地よさに、Diosの洗練された音楽技術を感じさせる。さらに、ギターソロではIchika Nitoが卓越したギターソロを披露。涼しい顔でえげつないフレーズを奏でるIchika Nitoの巧みさには感嘆してしまう。心地よいグルーヴ感を残したまま、流れるように「天国」へ。これまでの2曲とは雰囲気がガラリと変わった楽曲で、万華鏡のように多数の世界観を持っているDiosだからこそできるジャンルレスな器用さを見せてくれた。

 「天国」が終わりMCへ。たなかが、「ビルボードツアー、2ndステージ・ファイナルということで、僕らめちゃめちゃ気合入って……ます!」とラフに挨拶。会場からは大きな拍手が鳴り響いたが、Ichika Nitoから「ゆるいな(笑)」とツッコミが入り、会場が和やかな雰囲気に包まれた。続けて「今回の"CASTLE/Re:BUILD"では僕らが1年前にリリースした『CASTLE』というアルバムの曲をフルバンドでお届けします。今日は新しい曲もいっぱいあるので新しいDiosを楽しみにしててください。」と、これからの時間をワクワクさせてくれるようなコメントに、会場からは割れんばかりの拍手が鳴り響いた。

 先ほどのMCでも述べたように新曲「渦」を披露。ステージの照明が青に変わり、ひんやりした雰囲気から曲がスタートした。イントロから曲名の“渦”に巻き込まれていく感じがあり、楽曲に引き込まれていく。さのみきひとのパーカッションが迫っていくなか、Bメロではササノマリイの美しいハモリが加わり、サビではキャッチーで疾走感のある曲調へと展開されていく。リズム、旋律、歌詞の全てが一体となった世界観は言葉では表現できない素晴らしさで、会場は彼らが放つ魅了の渦に飲み込まれていた。本楽曲の様子は、DiosのオフィシャルYouTubeアカウントでも公開されているため、是非チェックしてほしい。

 その後も、序盤では語り掛けるように歌い、サビではとても美しいファルセットを披露した「断面」、元々はIchika Nitoがソロで仕上げていたが、たなかが歌詞とメロディーを足して制作された「The Room」、真っ赤に染まったステージで情熱的に歌い上げた「鬼よ」などを立て続け、再度MCへ。 

 開口一番たなかが「すごく楽しい!」とコメント。さらに「ちなみにこの後は真っ暗な湿地帯みたいなゾーンに突入しようとしてますが、準備はできていますか? 僕らはそういうのが大好きなんです(笑)」と客席に問いかけると、会場からはそれを迎え入れるように拍手が巻き起こった。

 湿地帯のようなゾーンに突入すると言っただけあって、次に披露されたのが「ダークルーム」だ。暗い雰囲気だが、辛い気持ちに寄り添ってくれる楽曲。絞り上げるように歌い上げるたなかの歌声に感情移入してしまい、胸が熱くなった。ストレートに気持ちを訴えるかのように歌い上げた「いのち」、独特で面白いギターフレーズがループミュージックのように繰り返される「Misery」、まだ配信されていない新曲「王」などを披露し再びMCへ。

 本人たちの楽しさが伝わるMCで、たなかやIchika Nitoが「めちゃくちゃ楽しい」と言っている姿が印象的だった。また、「Misery」のような楽曲を作っていた時期に関して、たなかが「美しい言葉になっていない嫌な感情を閉じ込めて曲にするのが、すごく好きだった。でも最近は変わってきてて、結局そういう世界をどうやって愛せるようになるかでしかないから、精神がポジティブな方向にシフトしている」と語った。さらに、ここ1年で曲作りを勢力的に行っており、箱根で合宿をして曲作りを行ったトークなどが展開された。

 続いて、趣向を変えてカヴァー曲をやることに。泰葉「フライディ・チャイナタウン」、なとり「Overdose」が披露された。特に「Overdose」は大人なアレンジでビルボードライブの雰囲気にマッチしており、ライブでしか見ることのできない特別な演出は、贅沢の一言に尽きる。また、今回ビルボードライブとコラボで制作した“ブルーム・モヒート”で観客と乾杯するシーンもあり、穏やかな雰囲気に包まれた会場はより一体感を増していくのであった。

 “ブルーム・モヒート”で乾杯したあとに披露されたのはもちろん「Bloom」。オオツカマナミの疾走感あるスラップベースと、ササノマリイの流麗なピアノがとても心地よく、会場を見渡すと体を動かしながらリズムにのっているファンが見受けられた。

 さらに終盤ではデビュー曲「逃避行」も披露された。他の楽曲のアレンジも素晴らしかったが、この曲の特別編成でのアレンジは鳥肌ものだった。個人的にこの曲は是非ライブで聴いてほしい。そして、最後に「裏切りについて」を披露。ポジティブなエネルギーで会場を満たし、公演は幕を閉じた。

Text by Hironari Kagehi
Photos by Masanori Naruse

セットリスト
Dios Billboard Live 2023 "CASTLE/Re:BUILD"】
2023年3月27日(水)東京・ビルボードライブ東京
※写真は1ndステージのものを使用しています。
1. 劇場
2. Virtual Castle
3. 天国
4. 渦
5. 断面
6. The Room
7. 鬼よ
8. ダークルーム
9. いのち
10. Misery
11. 王
12. フライディ・チャイナタウンcover
13. Overdosecover
14. Bloom
15. LOVELESS
16. 逃避行
17. 裏切りについて

<ライブレポート>Dios、ビルボードライブで繰り広げた万華鏡のような世界観