AIを活用したアダプティブな対話式 ICT 教材の開発と提供を行う株式会社すららネット(本社:東京都千代田区、代表取締役:湯野川孝彦)は、東京都の島しょ地域におけるICTを活用した教育推進モデル事業実証事業に2021年度より参画し、2年間の実証期間を経てその成果について検証、報告を行いました。すららネットが提供するICT教材「すらら」の活用により、島しょ・過疎地域における教科学習課題に対する成果を創出できたことが確認できました。すららネットでは、実証事業で得た過疎地域での「すらら」を活用した学習方法の成果事例を活かし、今後も教育課題解決に取り組んでいきます。

スマート東京(東京版 Society5.0)施策の一事業として受託

全国に先駆けた過疎地域における教科学習モデル作りがミッション

 当実証事業は、デジタル技術で東京のポテンシャルを引き出す「スマート東京(東京版 Society5.0)」の柱となる3つ施策の「街のDX」のなかの事業の一つです。「島しょ地域の社会課題解決に係るICT活用企画支援事業モデル」として、すららネットは教育DX分野の教科学習に対する成果創出を目指し、ボストンコンサルティンググループ経由で委託されました。

 2021年度に続き2022年度の事業では、GIGAスクール事業の成功と継続可能な形へ発展させる、島しょ・過疎地域における事例を創出し、全国へ発信するモデル作りなどが事業の目的とされていました。

 東京都の島しょ地域は11島ありますが、島ごと、さらには島内の地域ごとで教育課題が異なります。すららネットでは、2021年度は4島、2022年度は5島を対象に地域や学校ごとに異なる課題を踏まえた目標を定め、運用方法の提案と運用中のサポートを行いました。

共通課題は家庭学習習慣がないこと

個別最適な学習または反転学習で教科学習の成果創出

 島しょ地域で共通している学習課題は、家庭学習の習慣がない児童生徒が多い事です。対象学校の一つでは、全国平均と比較して、家庭学習を全くしないと回答した児童生徒が6倍強いました。その理由は、塾がほとんどないため内地の児童生徒と比較して授業時間外での学習時間確保に繋がらない、島内の高校にそのまま進学する生徒が多く児童生徒間での競争心が低いなど、島しょ特有の学習環境が考えられます。

 2021年度の取り組みでは、「教科学習においてデジタル教材を活用して学ぶ」目標を小中学校10校が達成することができました。2年目は活用からさらに進めた成果創出のため、実証事業に賛同し、主として取り組む2校をモデル校と位置付けて実証事業を実施しました。

【モデル校その1:富士中学校(八丈島)】

英語の個別最適学習により、95%の生徒が学力向上

 八丈島にある富士中学校では、中学2年生の25人の生徒を対象に実証事業を実施しました。生徒によって学習の進度や理解度が大きく異なり、個々に最適な学習個所の提示が困難な状況にあるため、「すらら」による個別最適な学習を行いました。

 まず、AIドリルを利用したプレテストを実施、その後2~3週間、テストの結果に基づく範囲の学習を授業・家庭学習にて実施しました。併せて、教員はスタディログから生徒一人ひとりに声がけや適切なサポートを行い、最後にプレテストと同じ範囲で全く違う問題のポストテストを実施するという内容です。

これを12月、1月の2回、単元を変えて行ったところ、12月では60%、1月は95%の生徒のテストの点数がプレテストよりアップしました。また、プレテストを元に配信した苦手箇所の課題を全て学習した生徒の方が、プレテストからの点数向上率が高いこともわかりました。

 さらに、これまで家庭学習をしてこなかった生徒が、積極的に取り組むようになる様子も確認できています。

【モデル校その2:三宅中学校(三宅島)】

国語での反転学習により、思考判断表現の正答率アップ。自己肯定感の向上にも寄与 

 40人の生徒が在籍する三宅中学の課題は、知識技能の指導に授業時間が割かれ、主体的・対話的な取り組み実施の機会が少ない事でした。これに対し「すらら」で単元内の基礎知識部分の学習を事前の家庭学習とし、授業内では応用演習や探究学習の取り組みを実施する時間を創出する、反転学習を国語科で行いました。

 反転学習の実施前後で思考判断表現の正答率を比較したところ、反転学習実施後は実施前より13%正答率が上昇していることがわかりました。

 教員からは、「主体的、対話的で深い学びの実現を目指した授業では、より楽しんで授業を受けてくれる生徒が増えた」という生徒たちの変化について報告されています。

 また、生徒に行ったアンケートでは、反転授業実施後は文章読解や文章の意味をとらえること、考えを要約して伝えることに対して自信が全くない、不得意と答えた生徒数がいずれも減少しました。国語科目に対する苦手意識が軽減されたことも明らかになりました。教員からは、「自己肯定感を高めることができた」、「自主学習が難しい生徒でも、自主的に課題設定しようとするようになった」など、生徒の変容に対する感想がありました。

当実証事業での成果を教育モデルの一つとして、過疎地や地方の教育格差解消へ

 すららネットでは、創業以来自社開発のICT教材を活用してさまざまな状況による教育格差を解消すべく取り組みを行っています。今回の実証事業で創出した成果を活かし、過疎地における教育格差の解消、さらには学習塾や保護者も巻き込んだ、地域ぐるみでの子どもたちの学習支援体制の構築なども、すららネットでは実現していきたいと考えています。

■株式会社すららネット

 すららネットは、「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を企業理念とし、AIを活用したアダプティブな対話式 ICT 教材「すらら」と「すららドリル」を、国内では 約 2,500校の学校、塾等35万人を超える児童生徒に提供しています。全国の公立学校、有名私立中高、大手塾での活用が広がる一方で、発達障がいや学習障がい、不登校、経済的困窮世帯を含む生徒に学習の機会を提供するなど、日本の教育課題の解決を図ることで成長を続け、代表的な EdTechスタートアップ企業として2017年に東証マザーズ(現東証グロース市場)に上場しました。

https://surala.jp/

配信元企業:株式会社 すららネット

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