結婚は人生における一大イベントのひとつです。その後の人生を共にする伴侶とは、できることならいつまでも仲良く過ごしたいものでしょう。しかし、夫婦のなかには結婚後「お金の管理の方法」をめぐって争いになる、もしくは関係性が悪くなるケースがあります。そこで今回、FP Office株式会社の石井悠己也氏FPが、夫婦のお金の管理方法について解説します。
結婚後の「お金の管理」どうしてる?
結婚後のお金の管理について、パートナーと話し合うケースと、なんとなくお互いそれぞれで管理している場合とさまざまです。
今回はそれぞれのパターンのメリット、デメリットについて考えていきましょう。
経験上、FP相談にいらっしゃるお客様のなかで、各家庭のお金の管理方法は大きく3つに分けられます。
パターン①完全夫婦別財布
これはダブルインカム(共働き)に多いパターンです。
生活費口座を作り、そこにお互い毎月お金を入れていき生活費とする(たとえばお互い15万ずつ毎月30万など)、そのほか住宅資金はご主人、教育資金は奥様など担当制にし、それ以外は自分のお金にする。
完全夫婦別財布のメリット
役割分担することで、責任がそれぞれに分散されるため、心理的負荷が小さく、役割以外のお金に関しては自分の裁量で使うことも、運用することもできるので一方が不満を持つという事がなく、平和な家庭が多いと感じます。
完全夫婦別財布のデメリット
将来的にかかる大きなお金(お子様の大学資金など)や、老後の資金をそれぞれの責任において行うため、パートナーの貯蓄額を正確に把握できず、「思ったよりもお金使っちゃってるけど相手に言いにくいな……」
といった事態が起こる可能性があります。
パターン②夫婦合算おこづかい制
基本的にシングルインカムの場合に多いのが、家計を1つにまとめ、夫婦それぞれおこづかい制とするパターンです。
夫婦合算おこづかい制のメリット
家計の収支を1つにまとめることができるため、使途不明金や無駄な出費を抑えることができます。
お金の管理をしっかり夫婦で行うことができれば、もっとも心配の少ない方法かもしれません。
夫婦合算おこづかい制のデメリット
「お金の管理は奥様(ご主人様)に任せっきりで、自分はよくわからない」
というようなご家庭も多く見受けられます。
この場合、夫婦どちらかがお金を管理することになるので、管理者側でないほうが不満を持ちやすい傾向があります。
さらに、管理者側にお金の知識がないと、管理者側の性格によっておおまかに2つのパターンに分けられます。
ひとつは、可能な限りひたすら貯蓄にまわし、お金はあるのに使えない状態となり家庭の幸福度が低下するパターン。
もう一方は、お金をあるだけ使ってしまうため、お金の計画が破綻しているパターンかのどちらかのケースです。
このような状態であれば、一度ライフプランニング表を作成することをおススメします。
この場合1点注意してほしいのが、「ライフプランニング表の作成は必ず夫婦で行う」ということです。
ライフプラン表で将来のお金のイメージができることはもちろんですが、作成段階で、非管理者側(奥様orご主人)にも家計の課題を共有することがなにより大切です。
パターン③仕組みを作ってあとはお金の色分けをする
当社のお客様に多いパターンですが、先々かかる教育資金や老後資金などのお金に関しては、あらかじめ積立商品などでしっかり準備をし、先に仕組みを作ってしまうという方法です。
■いま必要なお金(生活費など)
■近い将来必要になるお金(住宅購入や学費、予備資金など)
■遠い将来必要になるお金(老後資金など)
目的ごとに仕組みを作っているので、それ以外の資産に関しては先々の心配なく、自由に使えるお金となります。
お金の色を分けるメリット
保険や運用商品などの特徴を理解していれば、大きな効果が期待できます。
お金の色を分けるデメリット
保険や運用商品に関して、膨大な知識が必要になるため、個人で行うにはハードルが高いかもしれません。
「自分たちにあった方法」を知ることが大切
一概に「これが正解だ!」ということではないので、お金の管理については悩まれている人も多いのではないでしょう。
お金の管理方法を考えるうえで一番大切なのは、「現状の幸福度」です。
今が幸せであれば方法はどうであれ、それは正しいのだと思います。
ただし、現状の幸福度について「不満」「不安」のほうが大きい状態であれば、一度専門家に相談するのも良いかもしれません。
お金の面での不安を解消し、家庭を幸せな状態に導いていくことが、我々ファイナンシャルプランナーの存在意義だと思います。
石井 悠己也
FP Office株式会社
ファイナンシャル・プランナー
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