トラウトを空振り三振に斬った大谷、球史に残る名シーンとなった(C)Getty Images

 この春、日本中を歓喜に包んだWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)日本代表。

 球史に残る戦いを見せた今大会は、大会終了から約1ヶ月経った現在でも、様々な場所で注目を集めている。

 そんな今大会について、2009年に侍ジャパン日本代表のコーチとして世界一に貢献した篠塚和典氏と巨人OBの定岡正二氏が、槇原寛己氏のYouTubeチャンネル「ミスターパーフェクト槇原」に出演し、数々の名場面を振り返った。

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 まず、篠塚氏が挙げたのは、イタリアとの準々決勝でみせた大谷翔平投手(28・エンゼルス)のバントだ。

 ランナー1塁で何とか先制したい場面、3番打者として打席に立った大谷は、ファンのみならず、指揮をとる栗山英樹監督の意表をつくセーフティーバントを決めた。

 負ければ敗退となる大事な一戦、世界一へ、人一倍強い思いを口にしていた大谷がみせた「執念のバント」に、篠塚氏は「あの姿をみて他のチームメイトは何かを感じたと思う。それがチームを一つにした強さでもあると思いますね」と、大谷のバント姿がよりチーム力を高めたと感心してみせた。

 一方で、定岡氏が挙げたのが、アメリカとの決勝戦、世界一へ最後の打者となったマイク・トラウトエンゼルス)と投手・大谷の対戦だ。

 共にエンゼルスのチームメイトで、世界最高峰の選手とも言える2人の、これ以上ない舞台での対戦は、まさに「漫画以上」の場面だった。

「あの2人の勝負は誰もできないですよね。あのストレートとスライダーは本当に凄かった。特にスライダー。僕がピッチャーだったら全部ストレートだったと思いますけど(笑)あの勝負はこの先ずっと語り継がれて欲しいですね」と最後、トラウトを打ち取ったスライダーをほめたたえた。

 そして、3人の中で唯一今大会、現地で観戦をしていたという槇原氏が挙げたのが、「日本の礼儀正しさ」だ。

 現地では、このような場面を目の当たりにしたという。

「最後にロッカーを綺麗にして帰ったり、みんなで集まって胴上げをするところ、まずはパッと整列して観客に挨拶したり、相手チームへも挨拶したり。最後までリスペクトする姿勢がみて取れましたね」

 プレー面以外で日本チームが評価されたこの礼儀正しさに感銘を受けたと話す槇原氏。

 こういったシーンは各国のメディアを通じて報じられ、多くの称賛を集めた。加えて同氏は、このような礼儀正しさの背景には高校野球での教えが繋がっているとも口にし、日本ならではとも言える高校野球の素晴らしさを再認識した場面だったとも語っていた。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「あの大谷の姿を見てほかのチームメートも感じたと思う」球界レジェンドが振り返るWBCの名場面