この惨状に、NHKも頭を抱えているかも?

 NHK連続テレビ小説の「らんまん」が4月21日の第15回で第3週目の放送を終えたなか、視聴率の低迷ぶりが浮き彫りになってきたようだ。

 初回16.1%でスタートした「らんまん」は第2回以降、ほとんどの回で視聴率が15%台にとどまることに。主人公の槙野万太郎が成長し、神木隆之介が登場した第3週では、4月17日放送の第11回こそ初回以来となる16%台(16.2%)を回復したものの、それ以降は15%台に逆戻りだ。

 第15回を終えた時点でのシリーズ平均視聴率は15.4%に。この数字はなんと「史上最低の朝ドラ」と酷評された2作前の「ちむどんどん」がマークした15.8%を下回っているのである。

 前作の「舞いあがれ!」はさらなる視聴者離れを招き、シリーズ平均は15.6%の体たらくに。ところが「らんまん」はそれさえも下回っているのだから、制作陣としても頭を抱えているのではないだろうか。

「幸いにも万太郎の故郷である高知県では20%超えの高視聴率を叩き出しており、沖縄での視聴率が全国平均を下回った『ちむどんどん』の再現は免れています。しかしこの調子ではシリーズ平均14%台に下落する恐れもぬぐえず、2009年度後期の『ウェルかめ』がマークした朝ドラの最低記録13.5%まで落ち込まないことを祈るほかありません」(テレビ誌ライター)

 視聴率低迷の原因でいの一番に挙げられているのが、主人公・万太郎の度を外れた身勝手さだ。

 酒屋の跡継ぎとして生まれ、父親の死により幼くして当主の座についた万太郎。生活には何不自由することなく、祖母のタキ(松坂慶子)は厳しく接しているように見えて、実際には万太郎の欲しいものを次々と買い与える始末。視聴者としても放蕩息子が好き勝手にする姿にはまったくといって感情移入ができないところだろう。

 それに加えて、再放送されている2013年度前期の朝ドラあまちゃん」が朝ドラファンの注目を集めており、すっかり話題を奪われているのも見逃せないところ。「あまちゃん」にはヒロインの能年玲奈に加え、親友役の橋本愛や母親の若いころを演じている有村架純など、若手時代のスター女優が綺羅星のごとく出演している。

 そんな「あまちゃん」と見比べてしまうと、朝ドラにはやはり女性のヒロインが必要ではないかと思ってしまうのも、無理のないところではないだろうか。

「その指摘に対して、2020年度前期の『エール』は窪田正孝を主演に据えつつも20%超えのヒット作だったと反論する声もあります。しかし『エール』は男性主人公の作品と言われるものの、実際には妻役の二階堂ふみと窪田の二人による“夫婦の成長物語”だったと見るべき。純粋な男性主人公作品は1995年の『走らんか!』を最後に途絶えており、令和の朝ドラファンにとって『らんまん』のような作品は初めての体験となっています」(前出・テレビ誌ライター)

 4月21日放送の第15回では、万太郎が菓子屋・白梅堂の娘である寿恵子(浜辺美波)と再会を果たす場面が。万太郎は寿恵子に一目ぼれしており、二人が交際・結婚することに期待する視聴者も多い。

 そうなれば「エール」と同様に夫婦の成長物語を描くことができ、浜辺が視聴率回復の起爆剤になる可能性もありそうだ。だがその筋書きに持っていくのは実のところ、かなり難しいというのである。

「本作は植物学者の牧野富太郎博士をモデルとした作品。あくまでモデルであり、史実をなぞる作品ではないとのことですが、万太郎が明治14年の内国勧業博覧会を訪れたエピソードは史実通りです。そうなると牧野博士がどんな結婚生活を送っていたかが気になるところですが、それがまたけっこうとんでもなかったんですね」(前出・テレビ誌ライター)

 牧野博士は故郷の高知に本妻がいたものの、東京に妾を囲っていた。その妾と二度目の結婚を果たし、13人の子供をもうけている(うち6人は早世)。そうなると浜辺の演じる寿恵子は、妾に相当するということか。

「さすがに朝ドラでは妾という存在を描くのは難しいはず。おそらくは寿恵子との関係を中心に、今後はどんどん創作要素が増えていきそうです。牧野博士の再婚相手も菓子屋の娘さんでしたが、出会ったタイミングは帝国大学の研究室に通うため東京に住むようになってから。つまり第15回の時点ですでに創作要素が入り込んでおり、今後はますます『槙野万太郎』らしさが強調されていくのでしょう」(前出・テレビ誌ライター)

 神木と浜辺のタッグで「らんまん」は人気を取り戻すことができるのか。朝ドラヒロイン歴のない浜辺を主人公の妻役に起用した時点で、実は「事実上のヒロイン」に抜擢されていたのかもしれない。

アサジョ