神木隆之介主演の連続テレビ小説らんまん」(毎週月~金曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか)。4月24日から放送予定の第4週「ササユリ」より、宮野真守が出演する。同作で宮野が演じるのは、高知の自由民権運動家・早川逸馬(はやかわ・いつま)。進むべき道に迷う万太郎に「自由」とは何かを語る役どころだ。このたび、WEBザテレビジョンでは宮野にインタビューを実施。撮影現場の様子や演じる役柄への思い、共演者とのエピソードなどを語ってもらった。

【写真】神木隆之介“万太郎”と向かい合う宮野真守“逸馬”

朝ドラのオファーは「まさか自分に来るとは…」

――今回、出演が決定した時の感想を教えてください。

非常に驚きました。自分のキャリアとして、まさか朝ドラに出させてもらえる機会が来るとは思っていなかったので、驚きと喜びが湧き上がりました。

そして、オファーの際にとても熱いメッセージをいただいたこともすごく光栄で…。早川逸馬という役が「らんまん」そして万太郎にとってとても重要な存在になるということも含めて、「ぜひ」と言っていただけたのが何よりもうれしかったです。

――朝ドラ初出演はいかがでしたか?

とても緊張しました。お話をいただいてから実際の撮影スケジュールが決まるまで、ずっとドキドキしていましたね。

朝ドラ制作の仕方も初めて知りました。まず“リハーサル”という日があると伺って「リハーサルの日がある!?」と。その日までに全部せりふを入れていかなければいけないのだろうか…ということも含め、どう準備していけばいいのか分かりませんでした。ですが、とりあえず自分の出来ることはやろうと、土佐ことばだったので資料をいただき、一生懸命練習しました

ドキドキしながら現場に行ったら、遠くから神木くんが「マモさん~!」と天使のような笑顔で声をかけてくれたので、そこで緊張が解けました。あの瞬間はとてもありがたかったですね。

――「らんまん」という物語への印象は?

幕末から明治にかけての時代の雰囲気が好きなので、演じる側としても身が入りました。

植物で見せていくことがとても美しいですし、自分のこだわりを持つことのかけがえのなさ、自分の信じたものに対して真っすぐ生きることの勇気や面白さを感じる作品ですよね。

そしてそこにはやはり困難がある。人生の中で好きなものを追い求める時には、大小関係なく困難が生じると思います。本作はその感情に寄り添ってくれますし、中心にいる万太郎が“らんまん”に人々を繋いでいる姿は感動するし、温かい気持ちにさせてくれるなと感じています。

■「キャリアや経験が生かせるキャラクターに出会えたと思える瞬間があった」

――声優とは異なる「見せ方」はどのように工夫されましたか?

ここ最近は、まだまだ足りないながらもドラマの経験をさせていただける機会が増えました。自分なりに、ドラマでどう自分が映るのか、カメラがどう狙っているのか、今はどっち向きの人のターンなのか、足りないながらも経験を生かせるようになってきたように感じています。

加えて、舞台も精力的にやっているので自分がどう表現したいかという思いもある中、ちょうど演じる早川逸馬が演説会のシーンが多く描かれていて。

僕の場合は、ライブでのファンの皆さんへのアプローチの仕方になりますが、ステージへの登り方、登った時の空気感、目線の動かし方ひとつ取っても、「こんなに自分がやってきたことが生かせる役に出会えるのは珍しいんだろうな」と思うくらい、自然と沸き起こる表現があったように思います。

撮影も、ステージに立って聴衆に対してアピールするシーンからだったんですよ。演じる中で「キャリアや経験が生かせるキャラクターに出会えた」と思える瞬間はありました。

――逸馬のせりふの中で心に刺さったものや、共感したシーンはありますか?

正直な話、逸馬は第4週・第5週と限られた期間の出演なので、全シーンが印象的ではあるんですよね。

その中でも逸馬の面白さを選ぶとするなら、万太郎を先見の明で見出す洞察力、感性、センス。そして、万太郎が悩んでいる「自由」というものの存在を、良くも悪くも彼に植え付けてしまうところですかね。

あとは、万太郎と逸馬、ジョン万次郎(宇崎竜童)さんの3人のシーンも印象的でした。逸馬にとっても「自由」をもう一度考え直す場所でしたし、それぞれが自由を追い求めている空気感、まなざしが非常に好きで。

あのシーンには宇崎さんがいらっしゃって、それもとても緊張していたのですが…宇崎さんが撮影前に僕たちを引き止めて、誰も見ていないところで3人で円陣を組んで「やるぞ」としてくださったんです。気持ちがグッと固まりましたし、同志としての何か大事なものがないといけないシーンだったので、それを宇崎さんが先導してくれて感動しました。

■神木“万太郎”とのステージ上での演説シーンは「非常に面白かったし貴重な経験」

――神木さんへの印象、撮影中のエピソードを教えてください。

神木くんは天使ですね。

以前、一度僕の舞台を見にきてくれて、楽屋にあいさつにきてくださって。当時も興奮していらっしゃいましたけど(笑)、今回、お仕事としては初共演になりますが、最初から子犬のように慕ってくれました。

この子がこうやって現場の空気を一番に明るくして、天真らんまんに作品作りに向き合っているのだな、そしてそれがいろいろな方に伝播して、幸せの繋がりがどんどん生まれているのだと思うと、なんてすてきな現場なんだろうと感じましたね。僕もその輪に入らせてもらえて幸せでした。

神木くんが好きなアニメのキャラクターを僕がやっていたので、ずっと「絶対にマモさんにあの声をやってほしいです!」と言われていて。神木くんのおかげで常に笑顔でいられました。

――万太郎にとって重要な存在となる逸馬。二人が意気投合していく過程を演じた際の裏話はありますか?

監督が「初めて会ったのに同調してどんどんエネルギーが積み重なっていくような演説にしたいです」とおっしゃっていたので、それを咀嚼(そしゃく)して演じました。

逸馬のキャラクターとして「いい流れになっているから乗っかろう」ができる人。何度もテイクを重ねたので、疲労感もありましたが、逸馬が万太郎の演説に乗っかり、自分でも思っていないようなエネルギーが生まれたシーンになったので、僕としてもとても印象的な場面でしたね。

時にはボケとツッコミのような、面白くなってしまうテイクもあったんですよ。全部カットになりましたが(笑)。神木くんとステージ上で漫才のようにできた空気感は、非常に面白かったし貴重な経験でした。

――そこが神木さんとの最初のシーンだったんですか?

そうです。そこで打ち解けて、その後は連絡も取るようになり、お芝居論なんかのやり取りもしました。

■「自分にとって既に『らんまん』という作品がかけがえのないものに」

――撮影中は緊張していましたか? それともリラックスして臨めましたか?

緊張はもちろんありましたが、土佐ことばを頑張らなきゃいけない役だったので、緊張している場合でもなくて…。

さらに逸馬は演説シーンが多いので、出てくると長ぜりふなんですよ。「うお~、今日も長ぜりふだ」と思いながら頑張って練習して。せりふを言っているのではなく、カメラが回ったら自分の言葉として伝えられるように準備していました。

そして、常に神木くんが話しかけてくれていたこともあって、撮影の合間はずっと笑っていられたので、ガチガチに緊張するのではなく、チームの一員としていいものを作ることに向かっていけたように思います。

――最後に、楽しみにしている読者にメッセージをお願いします。

朝ドラに参加させていただいて、自分の役者人生の中で、とても大事なステップと貴重な経験をもらったと思っています。

すてきな出会いもあり、自分が役者としてこういうことができるのだと感じさせてもらえたので、短い期間の出演ではありますが、自分にとって既に「らんまん」という作品がかけがえのないものになっています。

この作品をご覧になっていただけたら、必ず自分の人生に希望の種が芽吹くと思います。そして小さく芽吹いた新芽を、人生の大事な指針にしていただけたら。そう思える作品になっていますので、ぜひ第4週、第5週以降も引き続きお楽しみください!

高知の自由民権運動家・早川逸馬を演じる宮野真守/(C)NHK