打率1割5分7厘で絶不調、33三振は12球団ワーストだ(4月26日)。東京ヤクルト村上宗隆選手の大ブレーキは、本当にWBCが原因だろうか。

 26日、労組・プロ野球選手会とNPBの事務折衝が行われた(オンライン)。選手会の森忠仁事務局長が、WBC大会から帰国して7日後に日本ハムが開幕戦を迎えたことなどを挙げ、

 「開幕してから調子を落とし、抹消された選手もいる。次回WBCの行われる3年後は、開幕戦を少し遅らせてほしいとの声も選手たちから出ている。(事務折衝で)検討させてほしい」

 と、今後の議案として提案した。

 NPBは即答を避けたが、この日程検討の提案は受け入れる方向だという。

 「実際に開幕日を遅らせるとなれば、夏場以降の日程が厳しくなります。特に、セ・リーグは屋根のない球状を本拠地としている球団も多いので」(関係者)

 しかし、WBC後に調子を落としている選手は少なくない。その最たる例が、村上だろう。

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 「タイミングが合っていないと思います。速いボールに差し込まれたり、変化球に対しても自分のイメージした以上に曲がってくるのでバットに当てるのがやっと…。原因? 対戦チームも去年の反省から『村上封じ』の研究をしていました。WBC出場による疲労感もあると思います」(プロ野球解説者)

 ヤクルトは26日のDeNA戦に敗れた。スコアは2対5。村上はこの試合で「打点1」を記録しているが、それはファーストゴロの間に三塁走者がホームインしたもので、ヒット性の打球ではなかった。

 「得点圏で、なかなか最後の一本が出ないので得点に結びつかない。野球なので仕方がないんですけど」

 試合後、高津臣吾監督は“決定打不足”を嘆いた。

 「2ケタ安打を放って、2点しか挙げられないのはマズイですよね。残塁10がカウントされました」(前出・同)

 同日、打線が2ケタ安打をマークしていなければ、『開幕以来21試合連続2ケタ安打なし』という2リーグ制以降ワースト記録に並ぶところだった。

 4番村上の復調が待たれるが、こんな見方もできる。キャンプ前半、村上はフリー打撃で快音を連発させていた。その好調な打撃が崩れ始めたのはWBC一次ラウンドであり、大会全体を通しても、村上個人にとっては悔しい打撃成績に終わっている。

 今、村上が打撃不振に苦しんでいるのはWBC出場による疲労のためではなく、大会中に技術面での何かが崩されてしまったのでないだろうか。

 高津監督は村上について、「些細なことが(復調の)きっかけになったりするらしいし、そうなってくれれば」とも話していたが、杉村繁打撃コーチは「元気も、集中力もない」(25日試合後)と悲観的なコメントを発していたそうだ。

 「村上は根がマジメと言うか、考え込んでしまう一面もあります」(スポーツ紙記者)

 WBCでは活躍した選手もいれば、出来なかった選手もいる。リフレッシュする時間を設けるためにも、「開幕戦を遅らせて」の提案は受け入れるべきだろう。(スポーツライター・飯山満)

村上宗隆