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はじめに

コンバーティブルは、世界でも屈指の最上級な高級車メーカーにとって、収益が尽きないことを証明する存在だ。それがなぜかを理解するには、乗ってみればいい。そこに、オープンのエキゾティックカーが、ほぼどんなときでもオープンエアドライブをスペシャルなものに感じさせることができるような、驚きの要素はほとんどない。

【画像】写真で見るベントレー・コンチネンタルGTCとライバル 全15枚

ベントレーが長きにわたりそう理解されてきたように、もっともうっとりするほどのラグジュアリーさを備えたコンバーティブルが、もっともエキサイティングなクルマであることはレアケースだ。そのかわり、苦労知らずのグランドツーリングを、贅沢で、外界から隔絶された魅力的なキャビンで味わえる。

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テスト車:ベントレーコンチネンタルGTC V8 S    MAX EDLESTON

そういうクルマは、存分に味わいたくなるようなドライビングを体験できるだけではなく、屋根を開けてもマナーのいい、走り続けたくなるようなクルージングも実現してくれる。

まさしくそうした両立を追求して、ベントレーコンチネンタルGTCのファミリーを拡大し、新たな、しかしおなじみのメンバーを追加した。

クルーからV8 Sを名乗るコンチネンタルGT/GTCがはじめて送り出されたのは10年近く前のことで、そのときのコンチネンタルは先代だった。基本となるのは軽さとレスポンスに勝るV8モデルで、そのハンドリングとパフォーマンスを磨き、ドライバーにフォーカスしたそれは、オートカー的に、現代のベントレーでは最高レベルの評価を与えたモデルとなった。

パフォーマンスとラグジュアリーさ、ドライバー志向が融合し、さらにはコンチネンタルファミリーの中でも価格をより正当化しやすい仕様でもあった。となれば、新型V8 Sにも同じことを望みたいところ。それを確かめてみたい。

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

2023年現在、コンチネンタルはクーペのGTもコンバーティブルのGTCも、幅広いラインナップから選択ができる。2021年に登場したW12エンジンのハイパフォーマンス版であるスピードは健在で、そのうえコンフォート寄りのアズールと、究極のコーチビルドで高級感を高めたマリナーも加わっているのだ。

そのヒエラルキーの中でいえば、V8 Sは低いほうに位置し、おそらくはその控えめな感じには、比較的共感を抱きやすいのではないだろうか。エンジンは4.0LツインターボV8で、エントリーモデルと同じく550ps/78.5kg−mを発生する。8速DCTとクラッチ式のアクティブ4WDシステムも共通だ。

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フロントフェンダーのSバッジは、ベントレーらしく控えめ。搭載エンジンを示唆する表示はされていない。    MAX EDLESTON

Sの動力系で異なる点は、新型のアクティブスポーツエグゾーストシステムの採用だ。おかげで、アウディ由来のエンジンがサウンド面を増強している。このあと詳しく触れるが、こっちのほうが断然いいとだけ言っておこう。

サスペンションも基本構造は素のV8と同じで、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク。アダプティダンパーと3気室式のエアスプリングを備え、車高調整も可能だ。差別化ポイントは、48Vアクティブスタビライザーのベントレーダイナミックライドだ。スピード仕様のような4WSや、アクティブLSDなどは装備されない。

V8 Sのホイールは新型の21インチもしくは22インチで、ブレーキは鋳鉄ディスクが標準仕様だが、オプションでテスト車に装備されていた大径カーボンセラミックディスクも用意されている。

エクステリアは、ほかのグレードより今風だ。古き佳きクロームトリムを期待するような場所は、ほとんどがグロスブラックに置き換えられ、グリルブラックアウトされている。前後ライトはダークなスモークタイプが標準装備で、ホイールにはリムを黒く塗ったオプションもある。

二重表皮の電動ソフトトップもほかのGTCと共通で、開閉の所要時間は19秒。ベントレーによればクーペ版より170kg重いとのことで、これはソフトトップの開閉機構とシャシーの補強による増加とみられる。もっとも、実測2295kgというウェイトは、2021年に計測したW12搭載のGTスピードと比べれば16kg重いのみだ。

内装 ★★★★★★★★★★

車体は大きく、長く重いドアを備えているので、フルに開いた幅は4mを超える。現行レンジローバーでも、この数字は3.9mで済むのだが。そればかりでなく、動かすところはみな重くソリッドな感触で、ベントレーらしい重みがある、妥協なき贅沢さを細部に至るまでもたらしている。

V8 Sでは、フロントのスポーツシートの、溝状に加工された表皮は、本革と、スウェード調のダイナミカを用いた2トーン仕上げで、ヘッドレストにはSのエンブレムが刺繍されている。着座位置もベントレーらしいもので、十分に低いが、乗降性に優れ、しかも快適だ。

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シートの快適装備をフルに使いたければ、それなりの追加出費を求められるのは納得しかねるが、マテリアルのクオリティには文句のつけようがない。    MAX EDLESTON

テスト車は3275ポンド(約54万円)のフロントシート・コンフォートスペシフィケーションを備え、ネックウォーマーやベンチレーション、マッサージ機能に加え、ヘッドレストやサイドサポート、座面長は電動調整式となる。

この手のクルマで、そうした機能がオプションというのは納得しかねるところもあるが、おそらくクルー工場で、それらを装備しないクルマがそう多くは造られないだろう。

目の前には多くのデジタル技術が見て取れる。12.3インチ画面のインフォテインメントシステムをはじめ、デジタルメーター、オプションではヘッドアップディスプレイナイトビジョンシステムも用意される。

しかし、ベントレーが熟練の技で、それらを巧みに包んで設置しているのは相変わらずなので、よりシンプルで、トラディッショナルなムードに包まれてドライブしたいときには、その気分を邪魔しない。

回転収納式のインフォテインメントのディスプレイを隠して、アナログのセンターメーターを眺めたいと思うことは、驚くほど頻繁にある。オープンポアの美しいウォールナットパネルも、目に映るだけでうれしくなる。

GTCのマテリアルから漂う高価そうな感じに、期待を裏切られたテスターはひとりもいなかった。ひんやりした手触りの金属を用いたコラムレバーやセンターコンソールのスイッチ類はとりわけみごとで、無駄に触りたくなる。さらに、キャビンの雰囲気を、ドイツイタリアのプレミアムブランドを遥かに凌ぐものにしてくれる。

実用性については、4シーターであることが挙げられる。かつてアルナージをベースに造られたアズールとは違って、大人4人が余裕を持って過ごせるわけではないが、そこそこ大きくなった子どもが、後席でオープンカーを楽しむことはできる。ただし、前席ほど走行風や騒音を遮ってはくれないので、あまり長く屋根を開けて走っていると、不満の声が上がるかもしれない。

走り ★★★★★★★★★☆

長い間、ベントレーの顧客に説明するのが難しかったことがある。それが、どうして金に糸目をつけず、最高の選択をしたいとしても、わざわざより小さいエンジンを積んだクルマを選ぶ理由だ。

2023年現在、もちろんその考え方は変わっている。それでも、V8 Sが、GTでもGTCでも12気筒より8気筒の方が走らせてより楽しいと、非常に多くのひとびとをじつに早く納得させることができるクルマであることに変わりはない。

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W12に劣らぬ速さとスポーティなサウンドを見せつつ、モードを切り替えれば非常に自制も効く。積極的にV8モデルを選びたいと思わせてくれる仕上がりだ。    MAX EDLESTON

このV8は、W12よりレスポンスもエモーションもキャラクターも上で、燃費も僅差ながら優れ、しかもほとんど速さに違いがないのだ。

2018年にロードテストを行ったW12の3代目コンチネンタルGTは、今回のV8オープンモデルとほぼ同じ重量で、前後配分は等分からより遠いクルマだった。その加速性能は、0-97km/hがまったく同じ3.6秒で、48-113km/hでも0.3秒速かっただけだ。

結局のところ、6.0LのW12はその融通の効く勢いが一旦立ち上がれば、その力には侮れないものがある。しかしV8 Sのエンジンは、新型スポーツエグゾーストの恩恵ばかりではなく、より使いやすいトルクとキレのよいレスポンス、鋭く回ろうとする性質や有り余る魅力的なサウンドがある。

このクルマのより大きなサウンドを発する走行モードを選ぶと、自分が乗っているのが本当に21万8355ポンド(約3625万円)もするラグジュアリーなベントレーなのか、にわかには信じがたくなる。さもなくば、じつは中身がTVRサーブラウなんじゃないかと思うかもしれない。

その甘美な遠吠えは、スポーツモードでは容赦なく響き渡り、走り去るときには穏やかな破裂音を残していく。すばらしく、また思いがけないほどにアピールしてくれる。

いっぽうで、コンフォートモードではおとなしく抑えが効いている。存在をやたらと主張したり、乗員をわずらわすことは一切ない。ハイパフォーマンスエンジンで、ここまでサウンドに二面性があるものは滅多にない。

動力性能については、高級コンバーティブルにこれ以上を望むことはないのではなかろうか。全長4.9m近く、2.3tの重量がありながら、0−161km/hが9秒未満で、余力も常に十分残している。それどころか、走行中のスロットルへの反応が、W12を上回っている。

8速DCTは、マニュアルモードの変速が素早く、Dレンジでも十分に直観的。しかし、中間ギアをキープし、エンジンのドラマティックなサウンドを楽しむには、トランスミッションをSモードにする必要がある。Dレンジでは、スロットルを抜くとトランスミッションの接続を切ってコースティングをしがちだ。

ベントレーは、夢中になれるスピードよりもスムースさを重視する傾向にあり、それによって取り回し時やリバースに入れる際には、わずかながら反応の遅さがみられる。フラストレーションを感じるほどではないのだが。

ドライ路面でのブレーキ性能は、無償オプションであるピレリのオールシーズンタイヤの影響が多少出た。それでも113km/hからの完全停止は50m以内に収まり、スタビリティも良好で、ノーズダイブも抑えられている。

使い勝手 ★★★★★★★★★☆

インフォテインメント

12.3インチ画面のインフォテインメントシステムは、ベントレーの最新ラグジュアリープロダクツ造りの完璧さを示すものだ。

そしてもちろん、フォルクスワーゲングループの一員であればこそ得られたアイテムでもある。洗練性において、このシステムと、アストンマーティンメルセデスが提供したものとではとても埋めようがないほど大きな差がある。

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タッチ操作のみでも、扱いやすいインフォテインメントシステムショートカットの配置が適正であれば、必ずしも別体コントローラは必要ではないと教えてくれる。    MAX EDLESTON

ベントレーのシステムは、操作はタッチ画面式で、音声認識に関してはやや後れをとっている。ありがたいことに、操作は非常に容易だ。スクロールできるメニューのアイコンはドライバー側に並び、第一階層レベルの機能に関しては素早い操作を可能にする。

ステアリングホイールのスポークカーソルコントローラーがあれば、なおよかっただろう。しかし、このシステムの使い勝手に、不足を感じることはまずない。画面の下にはショートカットの実体ボタンも並び、エアコンの操作部が画面とは別に設置されているのも助かる。

バング&オルフセンのプレミアムオーディオシステムのサウンドはいいが、やや処理を加えすぎかもしれない。また、1600Wの出力がフルに引き出されていると思えるほどパワフルでもなかった。

燈火類

宝石のように輝くLEDマトリックスヘッドライトは標準装備で、強さも照射範囲もかなりのもの。アクティブビームブランキングが、対向車や先行車の防眩をしそびれることはまずない。

ステアリングとペダル

クローム仕上げのペダルは大きく、広い足元にうまく配置されている。左足を置くフットレストも幅広い。ステアリングコラムは、チルトもテレスコピックもかなり大きな調整範囲がある。

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

よくできたアクティブアンチロールシステムとアダプティダンパー、車高調整式エアサスペンションは、気持ちよく走るのにちょうどいいバランスとボディコントロールをもたらしてくれる。やりすぎなところはまったくない。

このクルマは、全般的な洗練性や扱いやすさを一切損なわずに、ダイナミックなハンドリングを上乗せしている。しかし、明らかにベントレーのシャシーエジニアは、多くの経験を積んで大幅に腕を上げるとともに、このプラットフォームと、シャシーに注ぎ込んできたテクノロジーの能力をしっかり把握するに至っている。

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V8 Sは運動性が高まっているが、ベントレーの顧客が望むような洗練性やスタビリティ扱いやすさを損ねるものではない。    MAX EDLESTON

GTCのエンジンスタートボタンを押して、走行モードを選ぶ。デフォルトベントレーモードは、高級車らしい乗り心地と、やや軽めのステアリングの手応え、ほどよく引き締まったボディコントロール、十分なハンドリングのアジリティのバランスがとられ、おもしろみのある道を走りたいという気にさせる。

そのままのセッティングでも、このクルマは大きな路面の凹凸があってさえ自重をきっちりコントロールしてみせる。もっと軽い後輪駆動GTのようなシャシーバランスの純粋さこそないものの、ハンドリングは正確かつ従順で、タイトコーナーもロールやプッシュアンダーもなく曲がっていく。

スポーツモードでは、路面状況によってはわずかにボディが揺すられることもあるが、これは硬めの足回りのセッティングと、低くなった車高の影響だろう。カントリーロードでも舗装がいいところであれば、フィードバックとダイレクトさが少しだけ加わったハンドリングを味わえる。

けれどもこれほどラグジュアリーなクルマだと、関心があるのはいかに乱暴な動きを小さく抑えているかという点だ。それこそ、ほとんどのテスターがカスタムモードをいろいろいじくった理由でもある。エグゾーストは最大限やりたい放題で、ステアリングの手応えはもっとも重くして、サスペンションは中間レベルというところに、セッティングは落ち着いた。

このGTCのハンドリングはドライバーズカーらしいもので、落ち着きとなめらかさを堪能でき、W12のGTCよりたやすく、鮮烈な走りはわずかに上回るのが魅力的だ。車体の大きさや重さは常につきまとうし、高級車らしさが揺らぐこともないが、それもじつに効果的で、期待を裏切らない。

快適性/静粛性 ★★★★★★★★★☆

みごとなスポーツシートは、ハッピーに過ごせるツーリングの基礎となっている。もう数cm低くしたいというテスターもいたが、背が高いとオープン時に風が当たるというのがその理由だ。

それでも、高速道路を走っていても神を乱すような風の巻き込みはごくわずか。サイドウインドウを上げ、2分で設置も、荷室内のバッグへの収納も楽にできるウインドディフレクターを取り付ければ、113km/h巡航でもキャビンは風をしっかり避けることができる。

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オープンでも風の影響はほぼ感じず、クローズでの静粛性も高い。シャシーの剛性不足を感じさせることもまずない。    MAX EDLESTON

ルーフを閉めれば、アルミトップとガラス越しよりは外の音が聞こえるものの、騒音レベルは低い。113km/h巡航時の計測値は66dBAで、2016年にテストしたロールス・ロイス・ドーンよりは多少大きいが、2021年のコンチネンタルGTスピードに対しては1dBA上回ったに過ぎない。

シャシーの重さは明らかに完全無欠さをもたらし、荒れた路面ではごくわずかに揺すられる感じはあるものの、スカットルシェイクやシャシーのしなりが感じられることはほぼ皆無。さらにセカンダリーライドは全般的に穏やかかつしなやかだ。ただし、22インチタイヤを履くテスト車は、舗装の傷んだところで少しだけ衝撃が出ることもなくはなかった。

購入と維持 ★★★★★★★★☆☆

GTC V8の価格は、ほかの仕様に比べてわずかながら穴場感がある。また、このクルマに走り志向のドライバーをより満足させうるプラス要素があることや、それに伴う犠牲が少ないことを知っていれば、その価値は一層高く思えるだろう。

ベントレーの値付けを見慣れていないのであれば、どうして競合するアストンマーティンメルセデスAMGのコンバーティブルより2割も高い金額を正当化できるのか、疑問に思うかもしれない。

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競合するアストンマーティンより高価なコンチネンタルだが、値落ち幅は小さいと予想される。4年後の残価は、より高価なロールスロイスにも引けを取らないだろう。

それでも、贅沢なマテリアルをふんだんに使ったキャビンを目にすれば、その金額差がどこから来るのかわかるはずだ。ここまでラグジュアリーさで納得させてくれるブランドはそうそうない。また、GTC V8の鋭さを増したダイナミクスをどれほど評価していても、その豪華さに好感を持っていないなら、ベントレーを買うことはないはずだ。

燃費を気にして高速道路を走れば、10.6km/L近い数字は出るし、そうでなくても90Lタンク満タンなら880km程度のクルージングは可能だ。これがW12だったら、これまで試乗した経験からして燃費はせいぜい9.2km/Lといったところで、航続距離は800kmちょっととなる。

スペック

レイアウト

コンチネンタルGT/GTCとフライングスパーは、フォルクスワーゲングループのMSBプラットフォームを共用している。ポルシェパナメーラともシェアしているコンポーネンツだ。

縦置きのV8は、ほぼ完全に前車軸より後方に搭載され、その直後にDCTギアボックスが続く。マルチチャンバーのエアサスペンションは標準装備。テスト車の前後重量配分は、実測で52:48だった。

エンジン

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コンチネンタルGT/GTCとフライングスパーは、ポルシェパナメーラとも同じフォルクスワーゲングループのMSBプラットフォームを共用。V8は、縦置きフロントミドシップだ。

駆動方式:フロント縦置き四輪駆動
形式:V型8気筒3996ccツインターボ、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ84.5×89.0mm
圧縮比:10.0:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:550ps/6000rpm
最大トルク:78.5kg-m/2000~4500rpm
エンジン許容回転数:6600rpm
馬力荷重比:243ps/t
トルク荷重比:34.7kg-m/t
エンジン比出力:138ps/L

ボディ/シャシー

全長:4850mm
ホイールベース:2850mm
オーバーハング(前):900mm
オーバーハング(後):1100mm

全幅(ミラー含む):2190mm
全幅(両ドア開き):4180mm

全高:1405mm
全高(トランクリッド開き):1570mm

足元長さ(前席):最大1110mm
足元長さ(後席):630mm
座面~天井(前席):最大970mm
座面~天井(後席):890mm

積載容量:235L

構造:スティール+アルミモノコック、アルミ+複合素材ボディ
車両重量:2260kg(公称値)/2295kg(実測値)
抗力係数:0.32
ホイール前/後:9.0Jx22/10.5Jx22
タイヤ前/後:275/35 R22 104W M+S/315/30 R22 107W M+S
ピレリ・オールシーズン
スペアタイヤ:なし(パンク修理材)

変速機

形式:8速DCT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:5.97/7.6 
2速:3.24/13.8 
3速:2.08/21.6 
4速:1.42/31.7 
5速:1.05/42.8
6速:0.84/53.6 
7速:0.68/66.1
8速:0.54/83.4 
最終減速比:3.13:1   

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:7.4km/L
ツーリング:10.3km/L
動力性能計測時:3.6km/L

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):7.2km/L
中速(郊外):7.7km/L
高速(高速道路):9.3km/L
超高速:9.2km/L
混合:8.0km/L

燃料タンク容量:90L
現実的な航続距離:666km
CO2排出量:284g/km

サスペンション

前:ダブルウィッシュボーン/エアスプリング、アクティブスタビライザ
後:マルチリンク/エアスプリング、アクティブスタビライザ

ステアリング

形式:電動機械式、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.5回転
最小回転直径:10.7m

ブレーキ

前:440mm通気冷却式カーボンセラミックディスク
後:410mm通気冷却式カーボンセラミックディスク
制御装置:ABS、EBA、EBD
ハンドブレーキ:自動、センターコンソール右側にスイッチ設置

静粛性

アイドリング:38dBA
全開時(4速):84dBA
48km/h走行時:56dBA
80km/h走行時:61dBA
113km/h走行時:65dBA

安全装備

ABS/ESCベントレー・セーフガードAEB/LKA
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
歩行者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%

発進加速

テスト条件:乾燥路面/気温14℃
0-30マイル/時(48km/h):1.5秒
0-40(64):2.1秒
0-50(80):2.8秒
0-60(97):3.6秒
0-70(113):4.7秒
0-80(129):5.8秒
0-90(145):7.1秒
0-100(161):8.7秒
0-110(177):10.5秒
0-120(193):12.5秒
0-130(209):14.8秒
0-140(225):17.6秒
0-150(241):20.8秒
0-160(257):25.8秒
0-402m発進加速:11.9秒(到達速度:189.9km/h)
0-1000m発進加速:21.7秒(到達速度:245.6km/h)

ライバルの発進加速

ライバルの発進加速
ロールスロイス・ドーン(2016年)
テスト条件:乾燥路面/気温15℃
0-30マイル/時(48km/h):2.4秒
0-40(64):3.3秒
0-50(80):4.2秒
0-60(97):5.2秒
0-70(113):6.6秒
0-80(129):8.0秒
0-90(145):9.6秒
0-100(161):11.6秒
0-110(177):13.8秒
0-120(193):16.5秒
0-130(209):19.6秒
0-140(225):23.3秒
0-402m発進加速:13.6秒(到達速度:175.9km/h)
0-1000m発進加速:24.1秒(到達速度:228.7km/h)

中間加速

20-40mph(32-64km/h):1.6秒(2速)/2.9秒(3速)/8.0秒(4速)

30-50(48-80):1.4秒(2速)/2.2秒(3速)/3.9秒(4速)/7.1秒(5速)

40-60(64-97):1.6秒(2速)/2.0秒(3速)/3.0秒(4速)/5.1秒(5速)/8.9秒(6速)

50-70(80-113):2.0秒(3速)/2.9秒(4速)/4.1秒(5速)/6.6秒(6速)/12.3秒(7速)

60-80(97-129):2.2秒(3速)/2.9秒(4速)/3.9秒(5速)/5.4秒(6速)/9.6秒(7速)/21.4秒(8速)

70-90(113-145):2.9秒(4速)/4.1秒(5速)/5.2秒(6速)/7.7秒(7速)/17.7秒(8速)

80-100(129-161):3.1秒(4速)/4.2秒(5速)/5.4秒(6速)/7.2秒(7速)

90-110(145-177):3.4秒(4速)/4.3秒(5速)/5.8秒(6速)/7.5秒(7速)

100-120(161-193):3.7秒(4速)/4.5秒(5速)/6.2秒(6速)/8.2秒(7速)

110-130(177-209):4.9秒(5速)/6.5秒(6速)

120-140(193-225):5.5秒(5速)

130-150(209-241):6.2秒(5速)

制動距離

テスト条件:乾燥路面/気温14℃
30-0マイル/時(48km/h):9.3m
50-0マイル/時(64km/h):25.4m
70-0マイル/時(80km/h):48.6m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.03秒

ライバルの制動距離

ロールスロイス・ドーン(2016年)
テスト条件:乾燥路面/気温15℃
30-0マイル/時(48km/h):8.6m
50-0マイル/時(64km/h):23.4m
70-0マイル/時(80km/h):45.4m

各ギアの最高速

1速:49.9km/h(6600rpm)
2速:91.7km/h(6600rpm)
3速:143.2km/h(6600rpm)
4速:209.2km/h(6600rpm)
5速:283.2km/h(6600rpm)
6速:318.6km/h(5945rpm)
7速:318.6km/h(4813rpm)
8速(公称値):318.6km/h(3822rpm)

8速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1351rpm/1544rpm

結論

高級車マーケットにおいて、ベントレーコンチネンタルGTC V8 Sのようなクルマを徐々に忘れつつあるメーカーも見受けられる。電動車ではなく、SUVでもなく、特別な個性や強烈さにも欠けているからだ。

じつにもったいない話だ。このコンバーティブルは、宝くじが当たったら買いたいようなクルマの長所と言える要素を数多く残している。そして、ひたすら気分よくしてくれるという以上に重要視しているものはない。

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結論:スポーティなV8のおかげで、このクルマが得たのは元気な走り。きっと乗るものを楽しませてくれる。    MAX EDLESTON

もし、コンバーティブルでのドライブが普通の道のりを鮮やかで楽しくしてくれるものだとすれば、このラグジュアリーなコンバーティブルは、その点でほかの量産ベントレーより上を行っている。

ほかのコンバーティブルと同様、気持ちを開放し、外の世界を車内へと導いてくれる。しかも、身を置いているのは魅惑の空間で、そこから目にする外の眺めは、ときとして信じられないほどスペシャル。これを知ったら、違うタイプのラグジュアリーGTには目が向かなくなるかもしれない。

ベントレーのスポーティなシャシーチューニングと、惜しみないほどのV8サウンドは、ドライバーを惹きつけるこのクルマならではの魅力のすべてを生む源泉だ。重さや大きさ、高級感第一なクルマづくりが度を越しているように思えたとしても、むしろ真のラグジュアリーというのはそういうものだということを思いだしたほうがいい。

過剰さにもいろいろあり、好みもわかれるところだ。もし、ベントレーのようなやり方が好みでも、まったく悪いことはない。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

よく、偶然で金持ちにはなれない、などという。少なくとも金持ちは、相対的な価値というものをよくわかっている。GTC V8は、ほかの車より高い金額を払う価値があるか、そこを考えさせてくれるベントレーだ。そこに魅力を感じる。

リチャード・レーン

3面回転式ディスプレイはその性格上、ダッシュボードの木目がきっちり揃わない面ができてしまう。そこが気になって、夜も眠れなかったひとびとが、ベントレー本社にはきっといるに違いない。

オプション追加のアドバイス

ベントレーがコンフィギュレーターで提案している、オレンジフレーム塗装とニューマーケットタンレザーは、おすすめの組み合わせ。これに2トーンの21インチホイール、ツーリングとフロントシートコンフォートの各スペシフィケーション、ネイムのオーディオを追加したい。

改善してほしいポイント

・フロントシートがもう少し低ければ、前髪が風を浴びなくて済むだろう。
・取り回し時にためらいを見せるDCTは、あとちょっと磨きをかける必要がある。
・GTスピードの電子制御LSDを装備すれば、スポーツモードでの走りを魅力的にする最後の一手になるはずだ。


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