世の中には「あれ、どっちだったかな…」とおぼろげに記憶してしまう事象が多々あるが、その正式名称が誕生した「背景」を知ると、思わず納得してしまうもの。賢明なる読者には既知の事実として映ったり、「細かすぎるだろ！」とツッコミを入れたくなるケースもあるかと思うが…決して少なくない人々が「誤って記憶している事象」の正体について探っていきたい。
今回取り上げるのは、このゴールデンウィーク期間中に訪れる人も多いであろう「東京国際展示場」の愛称についてである。
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■東京国際展示場、何と呼ぶ？
逆さになったピラミッドが連結しているような、一度見たら忘れられない特徴的なデザインでお馴染みの東京国際展示場。しかし、同施設を「東京国際展示場」と呼ぶ人はごく少数であろう。
そこで今回は、全国の10〜60代の男女1,000名を対象として「東京国際展示場の愛称」に関するアンケート調査を実施することに。
調査の結果、全体の約7割が「東京ビッグサイト」と回答し、残る3割は「東京ビックサイト」と回答していたことが明らかになったのだ。なお、どちらの愛称が正しいかというと…。
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■「地域ごとの回答」に驚き
同施設を運営する企業は、その名も「株式会社東京ビッグサイト」で、東京国際展示場の愛称も「ビッグサイト」が正解だ。3割もの人々が「ビックサイト」と誤認しているのは、やはり某「大手家電量販チェーン」が原因だろうか…。
ちなみに今回の調査結果を性年代別の回答で見ると、男性より女性の方が「ビッグサイト」と、正しく認識している割合が大きいことが判明。
さらに興味深いのが地域別の回答結果で、ビッグサイトのある東京を含む「南関東」の正答率が68.1%であるのに対し、「中国・四国」や「九州・沖縄」などのエリアの人々は、7割以上が正しい呼び名を認識していたのだ。
気軽に訪れられる地元の人々より、いわゆる「遠征勢」の方が、ビッグサイトの名を強く意識しているのかもしれない。
■ビッグサイトガチ勢「8割近く間違えている」
続いて、Sirabeeが誇る名カメラマンにして生粋のカメコ編集部員・キモカメコ佐藤に、ビッグサイトの「誤認事情」について分析してもらうことに。
月に最低でも4度はビッグサイトに行くという佐藤は「ビッグサイト生まれビッグサイト育ち、悪そうなコスプレイヤーにはだいたいペコペコ」などと自称しており、当編集部内で最もビッグサイトに精通している人物である。
今回の調査データを見るや、佐藤は「体感では、8割くらいの人が『ビックサイト』と言っている印象を受けます。サブカル系イベントの話題だと特にこの会場名が会話に出てくる事が多く、大半の人が『ビックサイト』と発音していると感じます」と断言。
続けて「多くの日本人は、つづりは『ビッグ』でも、口に出す際は『ビックサイズ』といった風に言ってしまうし、且つ脳内記憶されているのだと感じます。ビッグがやや発音しづらいという点に加え、やはりビックカメラの存在は大きいと思いますね」とも分析している。
どうやら佐藤自身も「主旨は伝わる」「発音しやすい」といった事情から、口頭では「ビックサイト」と言う機会も少なくないそう。そう考えると「ビッグサイト」という正式名を知っていても、口にする際は「ビック」と発音してしまう人は、一定数存在するのではないだろうか。
じつは今回、記者も気になってガチ目に考察してみたのだが…これは恐らく日本語の、「側音」＋「濁音」の組み合わせからなる熟語が存在しない、という性質が大きな影響を与えていると思われる。
つまり、「学区」「確固」「闊歩」「失敗」…といったように、日本語では熟語内の「っ」の後には、必ず「濁音以外の文字」（半濁音は除く）が続くという仮説である。こちらについて知人数名と議論を交わしたところ、辛うじてあがった例外（？）は「仏陀」のみであった。
そうした事情もあって、今回の「ビック」のように、ついつい犬を「ドック」、鞄を「バック」、寝床を「ベット」と呼んでしまう人が散見されるのではないだろうか。この辺りの謎もいつか解き明かしたいところだ。
今回のように細かい部分の表記で、多くの人が誤解していそうな商品名・企業名・チェーン名等があれば、ぜひSirabee編集部に情報を寄せてほしい。日常に隠れている、ちょっとした『気になる』の謎を共に解き明かそう。
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