ユニットコンビ「たりないふたり」として数々の漫才を生み出した、オードリー若林正恭南海キャンディーズ山里亮太の半生を基にしたドラマ「だが、情熱はある」(毎週日曜夜10:30-11:25、日本テレビ系)。4月30日放送の第4話で、若林(高橋海人)の相方・春日(戸塚純貴)が住んでいた“むつみ荘”や、若林と春日がバイト兼前説係として働いたショーパブ“キサラ”が登場し、リトルトゥース(オードリーのファンの呼称)たちが沸いた。(以下、ネタバレを含みます)

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■春日、“むつみ荘”で1人暮らしスタート

このドラマは、若林と山里の半生を基にした、“ほぼ実話”の青春サバイバルストーリー。“極度に人見知りな超ひねくれ男”(若林)と、“妬み嫉みの固まり男”(山里)、そんなたりない2人の友情物語でもないしサクセスストーリーでもないが、もがきながらも“情熱はある”人生を描いていく。

若林より先に1人暮らしを始めることになった春日は、若林と共に新居となる“むつみ荘”にやって来た。他人事ながらも“1人暮らし”という初めての経験にテンションが上がった若林は、“お宅拝見”しながら上機嫌。ついには部屋に置いてあった空の段ボールを踏みつぶし、「やめなさいよ!」と春日を焦らせる。春日に羽交い絞めにされながらも若林は「タッチダウン!」と、段ボールに飛び込み、「何してんのよ! もぉ~。使ってんだからさぁ」と春日を不機嫌にさせた。

この場面での高橋と戸塚のやり取りは、実際の若林と春日を見ているようだった。唐突に破壊行為などの理解不能な無茶をする若林に振り回されて、ちょっと機嫌が悪くなる、実は常識人の春日…そんな2人の空気感が見事に再現されていた。セットではなく実際の“むつみ荘”が使われているのも、リアル感を高めるポイントだ。

■ショーパブでの前説の仕事をもらえたが…

春日の部屋でそのまま遊んでいこうとした若林だったが、春日のバイト先に連れて行かれる。そこはショーパブの“キサラ”。店員として働いていた春日が“ナイスミドル”というコンビを組んでいると知った店側が、ショーの前説をやらせてくれることになったのだ。

クレープ屋の店先での漫才の他に新たな仕事ができ、張り切る2人だったが、物まねパブで漫才を披露しても全くウケなかった。それどころか、物まね目当ての客に悪態をつかれ、おしぼりをぶつけられる事もあった。だが、物まねスキルの無い彼らは漫才しかできないのだ。何をすればウケるのかわからない。半ばやけくそで「アメフト物まね」と言って、ただただ2人でぶつかり合うだけというネタを、客のドン引きおかまいなしでやるようになっていた。

そんなある日のネタ中、春日のタックルで吹っ飛んだ若林は、子供の頃に父親に言われた「負けて帰って来るな!」という言葉がよみがえり、「負けてねぇよ。うるせーな!」と段取りを無視して春日に体当たりした。若林は「負けねぇからな」と言って何度も春日に向かっていった。自分を認めない父親、相手にしてくれない世間、光が見えない将来、全てに負けたくなくて、フラストレーションをぶつけるようにタックルを繰り返した。ひとしきり春日とぶつかり合った後、ヘルメットを脱いで「ありがとうございました」と言った時の若林の表情は、どこかスッキリして見えた。

■「キミ、“みんな死んじゃえ”って顔してるね」

ステージを終えて楽屋へ戻る廊下で、彼らは大人気の先輩芸人・谷勝太(藤井隆)と出会う。谷は若林を見て「キミ、“みんな死んじゃえ”って顔してるね」と言ってほほ笑んだ。独特の感性で、一瞬で若林の“闇”見抜いたのだ。この谷のモデルは、松浦亜弥物まねで大ブレイクし、2016年に急逝した前田健。前田は若林と春日の相談に乗ったり、時には叱ったりと、2人を常に気にかけてくれた恩人とも言える存在だ。

ドラマを観ていたリトルトゥース(オードリーのファン)たちは、谷=前田とすぐに気づき、「マエケン(前田の愛称)登場!」「マエケンさんの役、藤井隆さんが演るんだ」と、Twitterには今後の活躍に期待するコメントが。また、楽屋のシーンで本人役で登場した、オードリーが「師匠」と慕うTAIGAや、「オードリーのオールナイトニッポン」でたびたび話題になるバーモント秀樹など、ファンにはおなじみの芸人たちにも、「TAIGAさんキターッ」「バー秀、今でもこのネタやってんだよなwww」などと沸いていた。

キサラには、若林にとって、もう1人キーパーソンが居る。八方ふさがりで芸人をやめようかと考えていた時に、思い直すきっかけをくれた先輩芸人だ。今後、彼の登場とそのエピソードも描かれる事も期待したい。

◆文=鳥居美保/構成=ザテレビジョン編集部

※高橋海人の「高」は、正しくは「はしご高」

「たりないふたり」解散ライブ以来、約半年ぶりに会った山里(森本慎太郎・左)と若林(高橋海人・右)/(C)日テレ