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2019年に開催されたアメリカ最大級のアートフェア「アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ(Art Basel in Miami Beach)」で、大きな話題となったイタリア人アーティストのマウリツィオ・カテラン氏(Maurizio Cattelan)による作品『コメディアン(Comedian)』。本物のバナナを灰色のダクトテープで白い壁に貼り付けた奇抜な作品で、当時12万ドル(約1650万円)の値がつき、多くの人々を驚かせた。その有名な作品がこのほど韓国ソウル市内の美術館に展示されたのだが、地元の学生が鑑賞中に作品の一部であるバナナを食べてしまった。英ニュースメディア『The Daily Star』などが伝えている。

韓国ソウル市内のリウム美術館で開催中の、イタリア出身のアーティスト、マウリツィオ・カテラン氏(Maurizio Cattelan)の個展『WE』で、4月27日午後12半頃に地元の大学生が作品を食べてしまったことで、ちょっとした騒ぎとなった。当時、美術館にはマウリツィオ・カテラン氏の代表作とも言える、本物のバナナをダクトテープで壁に貼り付けた有名な作品『コメディアン』が展示されていた。

騒ぎを起こしたのはソウル大学の美大生ノ・ヒョンスさん(Noh Huyn-soo)で、当時彼は同美術館を訪れアート作品を鑑賞していた。ところがヒョンスさんは、かつて12万ドルの値段で取引された作品『コメディアン』の前まで来ると、ダクトテープを剥がしてバナナをその場で食べてしまったのだ。

その様子をヒョンスさんの友人が録画していたのだが、動画には立ったままバナナの皮をむいて頬張るヒョンスさんの姿があった。そして彼はバナナを食べ終えると、皮をダクトテープで壁に貼り直して、それを手で示しながら微笑んでいた。

美術館職員がヒョンスさんに「なぜこんなことをしたのか?」と問いただしたところ、彼は「朝食を食べずに来たのでお腹が空いていたんです」と答えたそうだ。美術館側ではヒョンスさんがバナナを食べてしまった30分後には新しいバナナを貼り付け直して事態を収拾したという。

一方で同美術館から、ヒョンスさんの件について知らされたマウリツィオ・カテラン氏は特に何のコメントも出さなかったそうで、ヒョンスさんは処罰などを受けることはなかったようだ。今回のヒョンスさんの動画がSNSに投稿されると、賛否両論の声があがった。

「まあ、申し訳ないけど、これはアートとは言えないからね。」
「バナナを食べ終わった後のこの学生の誇らしげで満足そうな表情がいいね。」
「私から言わせると、この学生は頭がいいとは言えないね。」
「インスタの『いいね』や注目を集めるためなら何でもする人がいるんだよね。」

ちなみに同作品のバナナを食べたのは、ヒョンスさんだけではない。2019年開催の「アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ」で、ニューヨークを拠点に活動するパフォーマンス・アーティストのデビッド・ダトゥナ氏(David Datuna)も、バナナを壁から剥がして食べ、多くの人々を驚かせていた。

今回、リウム美術館で開催中の『WE』は、今年7月16日まで開催される予定だが、その間、美術館側はバナナを2~3日ごとに定期的に取り替えていくそうだ。

画像は『The Daily Star 2023年5月1日付「Student eats £96K artwork of banana duct-taped to museum wall because ‘he was hungry’」(Image: shwan.han/Instagram)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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