プレミアリーグ第34節、アーセナルvsチェルシーが2日にエミレーツ・スタジアムで行われ、ホームのアーセナルが3-1で勝利した。なお、アーセナルのDF冨安健洋は負傷の影響で欠場した。

今節先に勝利した1試合未消化のマンチェスター・シティ(勝ち点76)に1ポイント差で抜かれ、2位に転落したアーセナル(勝ち点75)。3試合連続ドローに加え、前節の頂上決戦で1-4のスコアで完敗し、11戦ぶり黒星を喫したアルテタのチームは、19シーズンぶりのリーグ制覇の夢が潰えつつある。

それでも、逆転優勝へ可能性がある限り戦い続けるガナーズは、仕切り直しのホームゲームで5試合ぶりの白星を狙った。アルテタ監督はこの一戦で先発3人を変更。ホールディングとトーマス、マルティネッリに代えてリーグ初先発のキヴィオル、古巣初対戦のジョルジーニョ、トロサールを起用した。

対する11位のチェルシー(勝ち点39)は、ランパード新体制移行後泥沼の公式戦5連敗。先週末のリーグ戦延期によって十分な修正期間があった中、前節のブレントフォード戦では不甲斐ないホームでの0-2の敗戦となった。今季ここまでトップハーフのチーム相手に1度も勝利したことがないブルーズにとって勝ち目の薄い敵地でのダービーで意地の勝利を目指した。ランパード監督はこの試合で先発2人を変更。チャロバーとギャラガーに代えてマドゥエケとオーバメヤンを起用し、[3-4-2-1]から[4-3-3]に布陣も変更した。

当初、4月29日の夕方開催予定も、地元警察によるスケジュール変更要請によって急遽ミッドウィーク開催に変更となった、今季2度目のロンドンダービー。立ち上がりこそアウェイチームが勢いを持って試合を入ったが、時間の経過と共に完成度で大きく勝るホームチームが押し込む展開に。

ジョルジーニョらを起点に相手のギャップを探しながら内と外を織り交ぜたボールの循環で揺さぶりをかけるアーセナルは、ジャカとウーデゴールインサイドハーフがポケットやボックス内で積極的に顔を出す。すると、早い時間帯にその狙った形からゴールが生まれる。

18分、左サイドのタッチ際に流れてボールを引き出したジャカが鋭いグラウンダーの横パスを入れると、ボックス中央で完全にフリーとなったウーデゴールが左足のダイレクトシュート。GKケパの手を弾いたボールがクロスバーの内側を叩いてゴールネットを揺らした。

守備面の隙を突かれて先制を許したチェルシーだが、失点直後に決定機を創出。25分、カンテからの斜めのパスを受けた左サイドのチルウェルがサカを振り切ってボックス内に侵入。強烈な左足のシュートを枠に飛ばしたが、これはGKラムズデールのビッグセーブに阻まれた。さらに、以降数分間は右サイドで積極果敢な仕掛けを見せたマドゥエケを起点に攻撃の形を作るが、2度目の決定機には至らず。

守護神のビッグプレーでリードを維持したアーセナルは、気を引き締め直して相手陣内でのプレー時間を増やしていくと、畳みかける攻めで一気に突き放す。まずは31分、左サイドでの細かいパス交換から先制点と似たような形からジャカが入れたグラウンダーの横パスをボックス中央にタイミング良く顔を出したウーデゴールが再び左足のダイレクトシュートでゴール右隅へ流し込んだ。

さらに、34分には押し込んだ流れから右サイドのボックス付近でホワイトが左足に持ち替えて入れた浮き球のクロスをファーのジェズスが収めると、落としを受けたジャカのシュートはDFにブロックされたものの、こぼれ球をジェズスが冷静に蹴り込んだ。

前半30分余りで新体制での最多失点を喫したチェルシーは、何とか前半の内に1点を返そうと、引き続き右サイドのマドゥエケを起点に攻撃を仕掛けたが、オーバメヤンやスターリングが肝心な局面でミスを犯してしまい、チルウェルの決定機以降は見せ場を作れぬまま前半を終えた。

迎えた後半、敵地で為すすべなく蹂躙されたランパードのチームはオーバメヤンを早々に諦めて負傷明けのハヴァーツをハーフタイム明けに投入。早い時間帯の反撃を目指したが、ここ数試合を教訓に緩みを見せないアルテタのチームを相手になかなか前に出ていけない。

3点のリードを感じさせないアグレッシブな姿勢で後半も攻めに出るアーセナルは、立ち上がりから続けて決定機を創出。51分にはトロサールの左CKをゴール前で競り勝ったガブリエウが頭で合わすが、これはDFチアゴ・シウバにゴールライン上でクリアされる。その直後にはカウンターから鮮やかな中央突破を見せたジャカにビッグチャンスも左隅を狙ったシュートはGKケパの好守に阻まれた。その後、59分には攻撃の起点として機能したトロサールを下げてマルティネッリを同じ左サイドに投入した。

何とか4失点目を回避しているものの、全く攻撃の形を作れないチェルシー。それでも、相手セットプレーを撥ね返してのロングカウンターからカンテとマドゥエケのコンビで惜しい場面を作ると、相手守備の隙を突いて1点を返す。

65分、中盤でフリーでボールを持ったコバチッチが右サイドからのダイアゴナルランでボックス中央に飛び出したマドゥエケへ完璧なラストパスを供給。完全に気を抜いていたDFジンチェンコを出し抜いたマドゥエケは慌ててカバーに入ったDFガブリエウの寸前で左足のシュートを放つと、これがゴール左隅に決まった。

この1点でやや勢いを取り戻したアウェイチームは、エンソ・フェルナンデススターリングを下げてギャラガーと共に注目のムドリクを同時投入。対するアーセナルは失点に絡んだジンチェンコと共に疲れの見えたサカを下げてティアニーとネルソンピッチへ送り出した。

一連の交代はアーセナルの思惑通り、ホームチームがうまく試合のペースを落とすことに成功する。さらに、逃げ切りへ抜かりがないスペイン指揮官は足を気にしていたガブリエウとジョルジーニョを下げてホールディング、トーマスの投入で完全に試合をクローズさせにいく。

その後、試合最終盤にはムドリクとハヴァーツの途中出場コンビでチェルシーが際どいシーンを作ったものの、アーセナルが3-1のスコアのまま逃げ切りに成功した。この結果、チェルシーにシーズンダブルを決めたアーセナルが5試合ぶりの白星を取り戻し、暫定首位の座を取り戻した。対するチェルシーは公式戦3試合ぶりのゴールこそ奪ったものの、泥沼の公式戦6連敗となった。

準決勝はレアル・マドリーvsマン・シティ、インテルvsミラン
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