ゴールデンウイークに、自宅の庭や屋上で、家族や友人たちとバーベキューを楽しもうと計画している人も多いのではないでしょうか。しかし、自宅でのバーベキューは「流れてくる煙が迷惑」「洗濯物に臭いがつくからやめてほしい」「騒がれるとうるさい」などトラブルを懸念する声が少なくない他、「そもそも、庭でやってもいいの?」と疑問を持つ人もいるようです。

 自宅の敷地内で行うバーベキューに関する法的問題について、佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞きました。

自分の庭なら「何をしてもいい」けれど…

Q.「自宅の敷地内」でバーベキューをすることに、法的な問題は考えられるのでしょうか。

佐藤さん「自宅の庭や屋上などでバーベキューをすることは自由であり、法的な問題に発展することはほとんどないといってよいでしょう。所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益および処分をする権利を有する(民法206条)ため、自分の庭であれば、基本的にそこで何をしてもいいということになります。

ただし、バーベキューをすれば当然、煙が出ますし、お酒が入って大声で騒ぐ人が現れたり、子どもがはしゃいで大声を出したりすることも考えられます。煙や臭い、音などは周囲の住民の迷惑になる場合があり、近隣住民から苦情がきて、ご近所トラブルに発展することはあり得ます」

Q.自宅でのバーベキューが原因で、隣家が実害を被った場合、何らかの法的手段を取ることは可能なのでしょうか。

佐藤さん「自宅でバーベキューをしている家庭があり、隣家が煙や臭い、騒音などに悩まされた場合、法的手段としては、不法行為に基づく損害賠償請求をすることが一応、考えられます(民法709条)。いくら『自宅の敷地内であれば何をするのも自由だ』といっても、周囲にあまりに過大な迷惑をかけることは法律上も許されないからです。

損害賠償請求が認められるかどうかは、受忍限度(常識に照らして、我慢すべきレベル)を超えているか否かによります。バーベキューの実施頻度、時間帯、煙や騒音の程度、健康被害の有無や程度、煙や騒音を防ぐための工夫の有無…など、さまざまなことを総合的に考慮し、受忍限度を超えていると判断されれば違法となり、賠償責任が生じます。

バーベキューの場合、毎日のように朝から晩まで行うことはあまりなく、多くはたまの休日、昼間の限られた時間などに行われるのではないでしょうか。常識の範囲内で行っている限り、多少、お隣がうるさいと感じたり、お隣の洗濯物に臭いがついてしまったりしたとしても、法的責任まで負うことはありません」

Q.自宅でのバーベキューによって、近隣トラブルを起こさないためのポイントとは。

佐藤さん「自宅の敷地内でバーベキューを行う場面では、マナーを守り、できるだけ周囲の迷惑にならないよう心掛けることが大切です。例えば、ご近所さんに、事前にバーベキューをやる日にちを伝えておき、後日、何か気になることがなかったか聞いてみると心遣いが伝わり、良好な関係につながります。

また、バーベキューの際は、できるだけ隣家の物干しスペースから離れた場所で食材を焼くようにしたり、夜遅くまで行うことを避けたりするだけで、周囲への影響を抑えることができます。お互いを思いやり、気持ちよくバーベキューを楽しめるよう工夫しましょう」

オトナンサー編集部

トラブルを懸念する声も…