1989年にアイドル歌手としてデビューして以来、芸能界の第一線を走り続けている島崎和歌子。今年はお昼のバラエティ番組『ぽかぽか』(フジテレビ系/毎週月曜~金曜11時50分)の木曜レギュラーとして毎週生放送に臨み、NHK連続テレビ小説らんまん』へも出演するなど、ますます勢いに乗っている。『ぽかぽか』への参加で、改めて「生放送が大好き」という思いを確かめたという彼女。3月に50歳という人生の節目を迎えた心境や、「挨拶を大切にする」「忙しいと言わない」など仕事を続けていく上で心がけていることを、周囲の心も明るく照らすような元気な笑い声と共に語った。

【写真】パワーをもらえる笑顔が魅力的な島崎和歌子

◆生放送は、瞬発力が大事

 今年1月よりスタートした『ぽかぽか』は、「みんなの楽しいが集まる場所!」を合言葉に、ハライチ岩井勇気&澤部佑、神田愛花の3人がMCを務め、各曜日のレギュラーやゲストを迎えながら、賑やかにコーナーを繰り広げるバラエティ番組。

 木曜レギュラーを担当している島崎は、「正式にオファーを頂いたのが、昨年の12月。1月から放送が始まるのに!」と大笑いしながら、「私がずっとお世話になっている『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系/毎週水曜21時)のスタッフさんが関わっている番組なので、安心感と信頼感もあります。ハライチの二人は明るくてかわいいし、神田さんはぶっ飛んでいて面白い。ものすごくいいバランスだなと思っています」と居心地のよさを感じているという。

 スタートから数ヵ月が経ち、「『ぽかぽか』は、生放送ならではの展開があってとても楽しいです。観覧のお客さんと触れ合ったり、外観覧に来てくださっている方とやり取りしたり、『私がデビューした頃のバラエティって、こういう感じだったな』と感じることが多くて。改めて『私は生放送が大好きなんだな』という思いを噛み締めています」としみじみ。「冬の時期の放送で、寒さのせいもあったのか、外観覧におじさん二人しかいなかったことがあって(笑)。その様子を見て『全然人気ないじゃん!』と言ってしまったり、その場の感触や感情を表現できるのも生放送のよさ。面白いですよね」と目尻を下げる。

 30年以上にわたって総合司会を務めている『オールスター感謝祭』(TBS系)も生放送で、芸人や俳優など個性豊かな面々をまとめ上げる島崎の抜群の安定感も、毎回話題となる。生放送に挑む上で、極意のようなものはあるのだろうか。

 「生放送は一発勝負。もちろん放送までに綿密に打ち合わせをして、準備をして臨みつつ、放送がスタートしたら瞬発力が大事になります。瞬発力ってどんなお仕事をする上でも役立つものなので、それを鍛えられる生放送に出させていただけることは、とてもありがたいこと」と語りつつ、『ぽかぽか』の目指す番組像について、「とにかく楽しい番組になるといいなと思っています。やっぱり1日に1回でも、声を出して笑うといいことがありそうですよね。テレビの画面から笑顔が見えて、視聴者の皆さんが『楽しそうだな』と感じることで、その日の午後をゆったりとした気持ちで過ごしていただけたらすごくうれしい。まずは5年続けることが目標です!」と願いを込める。

◆“アイドル冬の時代”に歌手デビュー バラエティ力を磨いた秘訣は?


 1989年に『弱っちゃうんだ』でアイドル歌手としてデビューし、今やバラエティ番組に欠かせない存在となった島崎。デビュー当時を振り返ると、「私は平成元年にデビューをしたんですが、ちょうど歌番組が減り始めて、“アイドル冬の時代”に入り始めた時期。歌も売れなかったですね。気づいたら、芸人さんと一緒に水をかぶっていました!(笑)」といつのまにかバラドルとして求められるようになっていたという。

 「こんなはずじゃなかったんですけどね(笑)」とぶっちゃけながら、「頂けるお仕事をやっていたら、こんなふうになっちゃった。でもそのときに、島崎和歌子に求められるオーダーがあって、本当によかったです。その経験があるからこそ、今がありますから。この年齢になっても、いろいろなお仕事を頂けるなんてありがたいことです」と感謝しきり。歩みを進めるごとにバラエティ力を磨いてきた島崎は、若い頃から「本物のプロとお仕事をさせてもらったことが、自分にとって大きな経験になりました」と明かす。

 「そういった先輩たちのやり方を見て、育ってきた。それは何ものにも代え難い、貴重な財産です。例えば(明石家)さんまさんは、映画もたくさん観ているし、いろいろなことを知っていますよね。裏でいろいろな勉強をされていると思います。それは、亡くなった志村(けん)さんも同じです。それでいて、分からないことがあると『それはなに?』と後輩に聞くこともできる。天才が努力をするんですから、すごいですよ」と惚れ惚れ。「限られた時間の中で、先輩方にも突っ込んだり、意見を言ったりしなければならない。『生意気』『性格がキツそう』だと捉えられるんじゃないかなと考えたり、難しいなと感じることはありました」と30代までは苦労もあった様子だが、「年齢やキャリアを重ねると、図々しくなっちゃって! 今は楽に、いろいろなことを話させてもらっています」と楽しんで取り組んでいる。

 島崎は、バラエティタレントとしてだけではなく、『魔法少女ちゅうかないぱねま!』ではヒロインに抜てきされ、大江千里と共演した『スキ!』で映画デビューを飾るなど、実は女優としてもあらゆる作品で存在感を発揮してきた。NHK大河ドラマ『龍馬伝』で演じた龍馬の兄嫁役も印象深いが、『すずらん』に続いて二度目の朝ドラ出演を果たす『らんまん』では、自由民権運動を支援する女性・楠野喜江として登場する。「神木隆之介さんや、志尊淳さん、宮野真守さんも、皆さん器用でものすごくお芝居が上手。ポーッと見惚れてしまって、セリフを忘れちゃうくらい(笑)」と現場の様子を話しながら、「今後女優さんのお仕事をやりたいと思っても、私が演じられるような、40代、50代以上の役柄があるかどうかですよね。今回の役柄は、今の私の年齢だからこそ頂けた役。セリフが覚えられるかという心配もありつつ、頑張ります」と意気込んでいた。

◆50歳、人生の折り返し地点で覚えた抵抗感&幸せ 結婚や恋愛に「焦りはナシ」


 タレント業、女優業も絶好調。3月2日に50歳の誕生日を迎えた島崎だが、「本当に50歳を迎えるのがイヤでした。絶対にその年齢は来るものですが、50歳という年齢は重い!」と心境を吐露。「50歳って、人生の折り返し地点。先日、今田耕司さんは『50歳なんて、“初老界”ではまだまだ若手だ』と言ってくれましたが、『お墓とかどうするんだろう』などそういったことも現実的に感じてしまって、とても重たい。誕生日を迎える瞬間もイヤだったので、前日は22時に寝ました。爆睡ですよ!」と笑う。

 「仕事の面では、とても恵まれています」と充実感を握りしめながらも、「プライベートでは、一つも楽しいことがない(笑)。楽しいことと言えば、食べることくらいかな。一人だと掃除するくらいしかやることがないし、休みの日はずっとテレビを観ています。コロナ禍以降は特に、“幸せの価値観”って、なんだろうと考えたりして。きっといろいろな人が、『一人で生きていけるのか、パートナーが欲しいと思うのか』など考えたと思うんですが、『私はどうするのかなあ』って。とはいえ、結婚や恋愛に焦ることもありません」と率直に打ち明けた島崎。「50代を迎えて、これは幸せなことだなと感じるのは、更年期を扱った番組をやらせていただけたり、その年齢に沿ったお仕事ができること。同世代の方に寄り添った情報やテーマを表現できることは、とてもやりがいがあるなと思います」と話す。

 「このお仕事を辞めたいと思ったことはない」と突っ走ってきた島崎だが、どのように過ごしてきたことが、仕事面の充実につながったと感じているだろうか? すると「なんだろう…。一日一日の積み重ねが大事で、無駄な経験なんて一つもなかったなと思っています」と思案しながら、「その中でも大切にしてきたのは挨拶かな」とにっこり。「『よろしくお願いします』から始まったら、やっぱり気持ちよく仕事に取り掛かれますよね。そこから他愛もない話が広がったり、コミュニケーションがつながっていく。あとは“忙しいアピール”をしないこと。もっと忙しい人もいるし、それはみんな同じ。みんな頑張っている中で『忙しくてできませんでした』なんて、言い訳になりませんから」と、相手やチームとの輪を大切に育んできた。

 50代のモットーは「病気をせず、元気でいられること。ここまで一つも大病をせずにこられたのは、本当に幸運なことです。年に一度の人間ドックと、今年は大腸検査でも行こうかな!」と声を大にし、さらに今後の野望について「紅白に出たいです! プロフィールに“紅白出場”って書きたい」と大笑い。自ら取材陣にお茶を出したり、どんな話も豪快に笑い飛ばしたりと、対峙した島崎和歌子はテレビの中のイメージそのまま。彼女の明るい笑い声が、これからもたくさんの人々を元気づけることだろう。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)
 
  『ぽかぽか』は、フジテレビ系にて毎週月曜~金曜11時50分放送。島崎和歌子は毎週木曜に出演。

島崎和歌子  クランクイン! 写真:高野広美