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 臓器移植を待つ人にとって、適合性のあるドナー(臓器提供者)を見つけることは非常に困難だ。提供したいと申し出てくれた人がいても、適合しなければ移植をすることはできない。

 だが奇跡的に、臓器適合者を発見した女性がいる。そのドナー提供登録をしている女性を見つけたのは、なんと愛犬である。

 イギリスのビーチでバーベキューをしていた時、愛犬のドーベルマンが、やたら別のキャンピングカーの近くをうろつき始め、行ったり来たりを繰り返した。

 それが縁で、腎臓の移植待ちをしていた女性は、ドナー提供者である女性と偶然知り合いになったのだ。

 病院で確認したところ、この女性こそが2200万分の1の確率の臓器適合者だったことがわかった。臓器移植を受けられることになった女性は、犬により命を救われたのだ。

【画像】 腎臓移植を待つ女性、ビーチでドナー登録者に出会う

 イギリスウェールズのカーフィリーに住むルーシーハンフリーさん(44歳)は、2000 年から全身性エリテマトーデス(SLE)を患っていて、2017 年に末期腎不全と診断された。

 ルーシーさんは、定期的な透析治療のために2泊以上遠出をすることはできなかったため、犬と一緒にキャンピングカーでの休暇を断念しなければならなかった。

 その代わりに、ルーシーさんはパートナーのセニッドさんと一緒に2匹のドーベルマンを連れて近くのビーチへ行き、BBQをすることにした。

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 すると、そのうちの1匹であるインディーが、別のキャンピングカーに気を取られて、何度もそっちへ行ったり来たりを繰り返した。

 そのキャンピングカーの持ち主ケイティ・ジェームスさん(40歳)は、ビーチでかぎ針編みをして、寛いでいたという。

 犬が邪魔をして申し訳なく思ったセニッドさんは、ケイティさんのところへ行って、謝罪した。

 それがきっかけで、会話を交わすようになり、ルーシーさんたちはケイティさんをBBQに招待した。

 いろいろな話をする中で、ルーシーさんは自分が透析中で、アルコールを飲むことができないことをかたった。すると、ケイティさんは2019年に腎臓提供者になるため名簿に登録したと、ルーシーさんが驚くことを口にした。

愛犬が2200万人に1人の確率で適合ドナーを見つける

 ルーシーさんから話を聞いたケイティさんも、その偶然に驚いた。そしてケイティさんは、ぜひルーシーさんを助けたいと申し出た。

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私たちは、ビーチで電話番号を交換しました。でも正直、そこから進展はないだろうなと思っていたのです。(ルーシーさん)

 ところが、信じられないことが起こった。

 その後、いくつかの血液検査とスキャンの後、ケイティさんの腎臓がルーシーさんの腎臓と完全に適合することがわかったのだ。

 それを知ったルーシーさんとケイティさんは唖然とした。

偶然出会ったケイティさんが、ドナー登録者だったということ。そして、彼女の腎臓が私と適合したこと。その確率は2200万分の1で、とにかく驚きました。(ルーシーさん)

 命を救うための腎臓移植を何年も待っていたルーシーさんにとって、ビーチでの救世主との幸運な出会いは、奇跡にほかならなかった。

 しかも、その女性を導いてくれたのは、ほかならぬ、ルーシーさんの愛犬インディーだったのだ。

2022年に移植手術が成功

 2021年6月の2人の出会いからしばらく経った2022年10月、移植手術が行われた。

 すぐに手術が行われなかったのは、コロナのパンデミックによる影響だったようだ。

 手術の結果、ルーシーさんに移植されたケイティさんの腎臓は、機能するのに時間がかかってしまったことから、ルーシーさんの血圧は回復中に低下し、 4 週間入院しなければならなかったそうだが、手術は無事成功した。

 だが、ケイティさんと同じ病棟にいたため、ケイティさんが退院するまで2人は一緒に過ごすことができたという。

ケイティさんにはとても感謝しています。2019年の時点で、5年以内に移植が見つからなければ私の命は危ないと言われていました。

だから、パートナーにもそのことを話してありましたが、希望を捨てないように生きることは大切なんだと、私のように移植を待つ他の人たちに伝えたいです。

 一方、ケイティさんは、ルーシーさんを助けることができてうれしかったと話し、ドナーになることについて、次のように語った。

もともと、私は先に腎臓を提供する予定でした。だから自分の腎臓がいつ、誰に、どこで移植されるのか、また移植された人に自分の腎臓がちゃんと機能したかどうか、本来なら知る由もなかったのです。

今回、私はそれをすべて知る機会を得られて、とても満足しています。

もし、腎臓提供について考えたことがある、またはこの話を聞いて今考えている人は、ぜひ調べてみてください。

腎臓提供は献血とは違います。提供するために非常に大きな手術を受けなければならず、大きな決断が必要です。

でも、いつでも決断を翻すことができます。ドナー登録を止めても、罪悪感プレッシャーを抱く必要は決してなく、考えを変えるあらゆる機会があります。

それでも、最終的にドナーとなって、あなたが誰かの人生を変えたのを知ることは、本当に素晴らしいことです。

偶然の出会いが生涯の友情を築くきっかけに

 ケイティさんとルーシーさん、セニッドさんは、以来友人となり、「キドニー(腎臓)ギャング」と呼ばれるグループ・チャットを作って、交流を続けているという。

 腎臓移植が成功した現在、ルーシーさんは奇跡の発見をしてくれたインディーと、もう 1 匹の犬デーヴを連れて、1日3回の散歩をすることができるようになっただけでなく、好きなだけキャンピングカーでの休暇に行くことも可能になった。

 移植によって、人生が完全に変わったとルーシーさんは喜びを露わにしている。元気になった飼い主とずっと一緒にいられることができる犬たちも、きっとハッピーだろう。

 犬はとても嗅覚が鋭い。ガンを発見することもできるし、コロナウイルス感染者をかぎ分けることができる。

 もしかしたら本当にインディーは、ルーシーさんに適合する臓器の持ち主を探し出してくれたのかもしれない。

References:How a Woman’s Dog Led Her to a One-In-Many-Millions Matching Donor/ written by Scarlet / edited by parumo

 
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