スポーツ観戦は楽しいものですが、やはり現地での応援は格別ですよね。屋外球場であれば、スタンドを吹き抜ける風、照りつける日差し、その下で飲む冷たいビール......。最高じゃありませんか。

テレビと球場の大きな違いのひとつに、ファンによる応援の一体感が挙げられます。それを後押ししているのが、トランペットに乗せた応援。ということで、本日は「応援歌」についてお話しさせてください。

みなさんこんにちは、野球大好き、山本萩子です。いきなりですが、日米の野球での応援で大きく違うのは、鳴りものや歌の有無でしょうか。日本特有のトランペットを使った応援はとてもエキサイティングで、ある元メジャーリーガーは、その応援を聞くと「日本に来た」と感じるそうです。

小さい頃、球場で一番感動したのは、応援団がトランベットで奏でる応援歌でした。最初は歌詞がよくわからなかったけど、見よう見まねで大人と一緒に歌うのがとても楽しく、そうして一体感を感じるたび、「スタジアムに来てよかった」と思ったものです。

応援歌の楽しさは、みんなで同じ歌詞を口ずさめることもそうですし、振り付けもそう。元ヤクルトバレンティン選手の応援の際には、歌詞の「アーチを描け」の部分になると、みんなで両手でアーチを描くような振り付けをするのが人気でした。

チャンスで登場した選手の応援歌を歌うたびに、スタジアムの一体感がさらに高まるのを感じました。ここ数年はコロナ禍で制限されていましたが、声出し応援が解禁されたことで、あの活気が戻ってきたのが何より嬉しいです。

応援歌に、私自身が勇気づけられることもよくありますね。たとえば、大きな仕事に向かう電車の中でヤクルト応援歌メドレーを聞いて、自分を勇気づけたり。あるいは、苦手な歯医者で治療する時にも、過去の個人的ベストナイン応援歌メドレーが自然と頭の中で流れ始めます。

ちなみに頭の中で流す場合は、背番号が小さい順番に流れるので、00番の比屋根渉選手から始まり、4番・バレンティン選手、5番・川端慎吾選手、7番・田中浩康選手、そして9番・飯原誉士選手の歌が流れる頃には治療が終わります。選手の応援がなければどうなっていることか......。

応援歌を歌う側の自分も勇気づけられていると感じます。みなさんの好きな応援歌も教えてくださいね。
応援歌を歌う側の自分も勇気づけられていると感じます。みなさんの好きな応援歌も教えてくださいね。

選手の応援歌は、基になる曲がある場合がありますから、他球団の選手の応援を聞いて、「あれ、どこかで聞いたことがあるぞ」と思うこともあります。たとえば、元ヤクルト高井雄平さんは、ゲーム『桃太郎電鉄』のBGMをベースにしていましたし、大引啓次選手はアニメの主題歌でした。

応援歌の中にも、長調の明るいメロディ、短調の切ないメロディの歌があって、選手の個性をなんとなく捉えているのがいいですね。選手個人の応援歌は、応援団が作り、それが球場で披露されてファンに定着していくパターンが一般的です。初めて聞いた時には「う〜ん......」と思っても、選手が成長していくにつれて応援歌も馴染んでいきます。選手と曲が一体になっていくあの感じがいいんですよね。

個人の応援歌があるのは主力選手であることの証でもありますから、「昨年に活躍した選手の応援歌が新しくできました」と応援団が発表すると、こちらも期待せずにはいられません。

ヤクルトの『東京音頭』、阪神の『六甲おろし』に代表される、チーム応援歌もいいですね。

神宮球場で『東京音頭』が流れ始めたのは昭和53年1978年)頃で、低迷していたチームを盛り上げたいという私設応援団の思いがきっかけでした。傘を持って応援するスタイルを導入したのは、「誰の家にでもある」「少しでもファンの数を多く見せるため」だったとか。

選手を鼓舞するため、応援団はあれこれ知恵を絞っていたのです。ちなみに、球場で『東京音頭』が流れると、前奏で特定球団を揶揄する歌詞を歌う方が一部いますが、現在は強く自主規制を求めているので悪しからず。

チャンス時に流れる応援曲も好きです。ヤクルトだと『夏祭り』がそれにあたります。

1試合の中でそう何度も流れるわけではなく、甲子園でよく聞く智辯和歌山高の『ジョックロック』という応援曲のように、「ここぞ」という時に流れます。「魔曲」とも呼ばれ、逆転を呼び込む力があるとされる『ジョックロック』しかり、ファンの応援に相手チームが呑まれる、というのはファンの力ですね。

待ちに待った声出し応援が戻ってきて、応援団がHPなどで応援歌もアップしてくれていますし、球場で歌詞カードを配っていることもあります。せっかくなので、応援歌を覚えて球場に行くと楽しいかもしれません。

私たちの応援が選手たちの力になっている。そう考えるだけで、応援するのが楽しくなります。もちろん、みなさんが私にくれる応援も力になっています!

それではまた。

★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。
2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン

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野球の「応援歌」について語った山本キャスター