
2010年10月27日の15時ごろ、画像投稿サイト「ニコニコ静画」に人気コミック「ブラックジャックによろしく」の第1話、全56ページが投稿された。知的財産の重要性が叫ばれ、著作権の保護が強く訴えられる昨今、このような蛮行に及んだのは何者なのか。
この一連の画像をアップした人物、それはネットメディア「ガジェット通信」の発行人、深水英一郎氏である。
もっとも深水氏が著作権違反をして違法にファイルをアップした、という話ではない。投稿されたスレッドにはこのような文が最初に添えられていた。
「原作者が誰か英訳して!と言ってるので、できる方協力お願いします(許可済)」
この画像がニコニコ静画に投稿された背景には、原作者・佐藤秀峰氏自身の呼びかけによりネット上で始まった「『ブラよろ』全話英訳化プロジェクト」があった。佐藤氏のロングインタビュー記事を書いたばかりの深水氏(@getnewsjp)がTwitterで
「ニコ動で作業したい、という声もあるみたいですが、ニコ動にも上げてみましょうか?」
と佐藤氏(@satoshuho)に確認を取り、ニコニコ静画に"「ブラックジャックによろしく」英訳プロジェクト第1話"としてアップしたのだ。
画像がニコニコ静画にアップされたことで、単なる作業場の増加以外に、新たな展開を迎えることになる。
■「ニコニコ静画は本プロジェクトに協力を惜しまない」
「ブラよろ」の投稿に気付いたニコニコ静画の担当者が、佐藤氏にTwitter上で、
「面白い企画で使って頂いてるようで感謝感激です。ニコニコ静画としても英訳プロジェクトが盛り上がるよう微力ながら何かしたく思います。」
と、Twitterでつぶやき始めた。さらに
「機能改修を進めたく」
「『ブラよろ英訳モード』みたいなものを作ろうかと」
などと、いつの間にか「微力」どころでない協力を口にし始める事態に発展。
これは本気の発言なのか、ニコニコニュース編集部が静画担当者本人に確認したところ
「本気です。ニコニコ静画は本プロジェクトに協力を惜しまない。機能改修の目途も立てているので問題ありません。再来週までには形にしたい。現状の静画がプロジェクトに適した形にはなっていないため、翻訳を行う人に使いやすい形、また訳されたマンガを見る外国の方向けに、機能改修を現在考えています」
と、力強い回答が返ってきた。
加えて、その担当者は「ニコニコ静画のみにとどまらずニコニコ全体でもこのプロジェクトをバックアップしていきたい!」と、ニコニコ内の各部署への働きかけまでも開始。「ブラックジャックによろしく」英訳プロジェクトは、もはやニコニコ内で立派な「プロジェクト」として動き始めてしまうこととなった。
このような事態に陥ったことに対し、投稿を行ったガジェット通信の深水英一郎氏は
「面白い話に転換していってくれそうなので、よかったです。これをきっかけにニコニコ静画が、画像をベースにした議論空間みたいな機能も持ったら面白いですね」
とコメントしている。
【追記】
ガジェット通信深水氏が、今回の件について佐藤秀峰先生に直撃インタビュー!!
佐藤先生自らの口から今回の顛末が語られている動画がニコニコ動画にアップされている。
「ブラよろ」英訳「天下一翻訳会!」について作者本人に直撃したよ!
http://www.nicovideo.jp/watch/sm12581103
【さらに】「ブラよろ」英訳「天下一翻訳会!」について作者本人に直撃
http://www.nicovideo.jp/watch/sm12581244
(大住有)

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