月々定額で読める「Kindle Unlimited」では、料理に恋愛、子育てなど十人十色の考え方で描かれるコミックエッセイがたくさん配信されている。生活に役立つ内容から、闘病生活まで、ありとあらゆるものがだ。本稿では「Kindle Unlimited」で読めるタイトルの中でも、特にオススメしたい至極のコミックエッセイを10作品紹介する。もし気になるタイトルがあれば、ぜひ読んでもらいたい。

『疲れた人に夜食を届ける出前店』(中山有香里/KADOKAWA)

■キュンとしてしまう後藤さんの乙女心! 恋をしたくなる一冊

「後藤さんは振り向かせたい!」(みきぽん/KADOKAWA

オタクで地味な男子高校生前田くんの後ろの席に座るのは、学校一の美少女の後藤さん。一見すると合わなそうなふたりだが、彼女は何かとちょっかいをかけてくる。それもそのはずで、後藤さんは前田くんのことが好きだったのだ――。後藤さんのいじらしい乙女心にキュンとしてしまうこと間違いなし。自分に自信のない前田くんに、その恋心が伝わるときは果たして来るのだろうか。「後藤さんは振り向かせたい!」(みきぽん/KADOKAWA)は、思わず青春したくなってしまう恋物語である。

■夜食を届けるクマが向かった先は、心も体も疲れている人々のもとだった

「疲れた人に夜食を届ける出前店」(中山有香里/KADOKAWA

残業が終わらない日や、慣れない育児に戸惑う日。人は誰しも出来ない自分に落ち込み、体力的にも厳しいときがあるもの。そんな心と体が弱ったときに、何故か夜食を提供してくれるのは、クマが始めた夜食の出前店だった――。「疲れた人に夜食を届ける出前店」(中山有香里/KADOKAWA)は、いつも頑張っているみなさんが、1週間を乗り越えられるようにという想いが込められた一冊。漫画内に登場する夜食のレシピも付いているので、実際に料理を作ってみてもいいだろう。

■歪な家族関係を書いたノンフィクションの著書を漫画化

「消えたママ友」(野原広子/KADOKAWA

ある日、子どものツバサくんを置いて、仲良しだったママ友の有紀ちゃんが消えた。この事件をキッカケに、これまで仲良しグループだった関係にもわだかまりが出来てしまい、徐々にそれぞれの家庭が抱えた闇に気付くことになる。第25回手塚治虫文化賞短編賞を受賞した「消えたママ友」(野原広子/KADOKAWA)は、可愛らしいキャラクター達とは対象的に、人間関係の複雑さが緻密に描かれた作品だ。明日は我が身、もしかしたらあなたの身にも降りかかるかもしれない、日常のお話。

■団地で出会った人達の悲しみと喜びを描いたコミックエッセイ

スラム団地」(松田奈緒子/メディアファクトリー

1970年代に日本の各地で建てられた団地は5階建てが多かった。「スラム団地」(松田奈緒子/メディアファクトリー)に登場する松田一家も、同じく5階建ての団地に引っ越すところから話は始まる。本作は、著者・松田氏の幼少時代の思い出を基に生まれた作品。団地で出会った友人とのお話だったり、貧乏だったことから恐い借金の取り立て屋さんが来たり。団地を舞台に出会った人々との物語を、切なく、ときにコメディ要素満載に描いたコミックエッセイだ。

■現代夫婦のリアルを描いたコミックエッセイ

「離婚してもいいですか? 翔子の場合」(野原広子/KADOKAWA

家事や育児は主婦の仕事というのは、少し前の常識。現在は夫も家庭に参加することが求められている。「離婚してもいいですか? 翔子の場合」(野原広子/KADOKAWA)は、前時代的な夫の機嫌を損ねないように生きる、専業主婦・翔子のお話だ。夫はいつも愚痴ばかり。子どもの面倒だって見てくれない。しかし経済的に自立出来ない翔子は、夫に本音をぶつけられない。いつしか感情は爆発し、離婚するために行動を起こすことを決意する。本作は主婦目線だけでなく、夫の心理描写も描かれている。責任の所在はどこにあるのだろうか。現代夫婦のリアルが詰まったコミックエッセイだ。

■吃音症の著者が、精神科病院で出会った仲間達

こころを病んで精神科病院に入院していました。」(安藤たかゆき/KADOKAWA

こころを病んで精神科病院に入院していました。」(安藤たかゆき/KADOKAWA)は、精神疾患や異常行動が見られる人を集中的に治療するための精神科病院が舞台。本書の主人公であり著者の安藤さんは、言葉を上手く発することの出来ない吃音症だった。そのせいで小学生の頃から虐められ続け、ついには精神科病院に入院することに。大部屋には、一見厳しそうだが実は面倒見のいい笹木さんや、統合失調症の武島さんなど個性的な仲間がたくさん。本書は、心優しき人達と病室を共にした、入院してから退院するまでを描いた日常作品だ。

■210日の闘病生活を漫画化!

「元気になるシカ! アラフォーひとり暮らし、告知されました」(藤河るり/KADOKAWA

「元気になるシカ! アラフォーひとり暮らし、告知されました」(藤河るり/KADOKAWA)は、著者の藤河氏が経験した闘病と入院生活を描いた作品。アラフォーひとり暮らしで漫画家の著者は、万全な状態で旅行へと向かうのだが、その道中で腹痛に襲われる。検査の結果、卵巣がんと告知されてしまう。命にかかわる重い内容だが、海外から飛んできた父や、明るく看病してくれる母などがコミカルに描かれているため、どこかほのぼのとした空気を感じさせてくれるのだ。前を向いて病と闘った210日を事細かに描写しているため、いざというときに備えて読んでおきたいものである。

■黒猫のろんと著者の日常をゆるく描いたコミックエッセイ

「黒猫ろんと暮らしたら」(AKR/KADOKAWA

5年前に初めて家に来たときから人懐っこく、常に同衾を求める黒猫のろん。しかも普通の猫よりも体格が2倍大きいので、抱えるのも一苦労。そんな黒猫との日常の様子をゆるくつづったコミックエッセイが、「黒猫ろんと暮らしたら」(AKR/KADOKAWA)だ。猫好きには堪らない、素朴な仕草一つひとつに癒やされること間違いなし。そして、猫特有のあるあるネタには、ふと笑みがこぼれてしまう。ネットを中心に話題となった本作だが、書籍版には「名前の由来」や「保護ねこ希望」「ろん親戚と出会う」など初公開となる描き下ろしエピソードも収録されている。

「Kindle Unlimitedで読み放題のコミックエッセイ8選」