アメリカの経験豊富なある畜産家が今年3月、難産の末に産まれてきた子牛を見て目を疑った。子牛は体は1つ、脚は4本だったが、2つの大きな頭を持っている重複奇形だったのだ。英ニュースメディア『The Mirror』などが伝えた。

ネバダ州で畜産農家を経営するレスリー・ヒューンウィルさん(Leslie Hunewill、38)は今年3月初め、雌牛のうちの1頭が難産で苦しんでいることに気が付いた。

そこで母牛の産道に手を入れ、子牛の状態を確認してみると、あることに気付いたという。

「母牛の産道に子牛の頭部と両前肢がのっているのが確認でき、子牛自体はそれほど大きな個体ではないように思えました。それなので、なぜ子牛がなかなか出てこないのか不思議だったのです。ただ子牛の頭の脇に、大きく腫れたような塊があるのが分かりました」と当時のことを語るレスリーさん。その時はまさか、子牛に頭が2つあるとは思いもせず、助産器具を使いできるだけの分娩介助を行ったそうで、このように続けた。

「最初は子牛の両前肢にチェーンをひっかけ、母牛の陣痛に合わせて手で引っ張りました。でもそれだけでは十分でなく、(牛の分娩を助ける器具の)助産ジャッキを使用して、男性2人で子牛を引っ張り出したのです。」

こうして難産の末に娩出された子牛は双頭だったが、辺りは暗く、強風で雪が降っており、レスリーさんは「産まれた子牛に何か異常があることは分かりましたが、頭が2つあることにすぐには気付きませんでした」と明かし、このように述べた。

「子牛の体は小さかったのですが、母牛の品種からすると妥当な大きさでした。でも頭部は異常な大きさで、初めは『もしかして頭が2つあるの?』と信じられず、状況を飲み込むまで時間がかかりました。予期していないものが突然目の前に現れたのですから、それは衝撃的でしたよ。」

なおレスリーさんは、ネバダ州とカリフォルニア州に牧場を持つ経験豊かな畜産家だが、双頭の牛を見たのは初めてで「高校で農学を教えていた教師の教室には、双頭の子牛の剥製があったのです。でもまさか私が一生のうちに双頭の子牛を見ることになるなんて考えもしませんでした」と驚きを隠せない。

レスリーさんが調べたところ、牛の出産でこのような重複奇形が起きるのは0.039%、2500分の1の確率だったそうで、「本来は発育初期の段階で1つの胚が2つに分離して一卵性の双子になりますが、この個体は胚が完全に分離することがなかったのです」と語った。

残念なことに子牛は死産で、レスリーさんは死骸をきれいに拭いてあげたという。一方で子牛を亡くした母牛には、哺乳瓶を使って育てていた孤児の子牛の子育てを託したそうで「母牛は子煩悩で、2頭ともとても幸せにしていますよ」と笑顔を見せた。

ちなみ昨年7月には、ブラジルでも双頭の牛が誕生していたが、4日間をまるまる生き延びて息絶えていた。ブラジルの専門家は当時、「牛の重複奇形は10万頭に1頭の割合で発生する」と述べており、発生確率は報告者によっても相違があると思われる。

画像は『The Daily Star 2023年4月12日付「Two-headed mutant cow leaves farmer gobsmacked over ‘one in 2,500 anomaly’」(Image: Credit: Pen News/Leslie Hunewill)』『The Mirror 2023年4月12日付「Mutant cow born with TWO heads stuns farmer but tragedy strikes after difficult delivery」(Image: Credit: Pen News/Leslie Hunewill)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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