ユニットコンビ「たりないふたり」として数々の漫才を生み出した、オードリー若林正恭南海キャンディーズ山里亮太の半生を基にしたドラマ「だが、情熱はある」(毎週日曜夜10:30-11:25、日本テレビ系)。5月7日放送の第5話で、“しずちゃん”こと山崎静代(富田望生)を相方にするまでの山里(森本慎太郎)の情熱が描かれ、ついに“南海キャンディーズ”が誕生。「#だが情熱はある」がTwitterのトレンド1位になった他、「しずちゃん」「山ちゃん」もトレンド入りするほどアツい反応を得た。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】山里(森本慎太郎)に、成功へのヒントを与えた女性・花鈴(渋谷凪咲)

■会場を凍りつかせるピン芸人イタリア人”

このドラマは、若林と山里の半生を基にした、“ほぼ実話”の青春サバイバルストーリー。“極度に人見知りな超ひねくれ男”(若林)と、“妬み嫉みの固まり男”(山里)、そんなたりない2人の友情物語でもないしサクセスストーリーでもないが、もがきながらも“情熱はある”人生を描いていく。

ピン芸人イタリア人”として再々出発した山里。タンバリンを叩きながら一言ネタをしていたが全くウケず、迷走し始めた彼は日本人形を「相方で片想いの相手」だと言って抱き、人形の手をねぶりまくるという、ただただ気持ちの悪いネタで会場をドン引きさせていた…。

■ライバルがいなければ、勝ち目はある

そんなある日、山里はネタの練習をしていた公園で花鈴(渋谷凪咲)という女性と知り合う。デザートの商品開発の仕事をしている彼女は、新商品のプレゼンをするにあたって、誰も知らないモノならライバルがいなくて勝ち目があるのでは?と考え、山里にアイデアを求めてきたのだった。

ライバルがいなければ勝ち目はある――それは山里にも言える事だ。そこで彼は、数が少ない男女コンビを組もうと考え、相方には独特の存在感を持つ、同期の“しずちゃん”こと山崎静代を誘うことにした。が、時すでに遅し、彼女は別の男芸人に誘われ、コンビ結成した後だった…。

■山里、一歩間違えればストーカー…

計画が始まる前から玉砕し、一度は諦めかけた山里だったが、やはりどうしてもしずちゃんが欲しい。相方がいてもアタックする事に決めた。その為には、彼女の事をもっと知らなくてはいけない。そこで山里は、しずちゃんの周りをウロつき、会話を盗み聞いて好きなモノをリサーチしたり、彼女のネタを劇場に見に行って研究したり…と、ストーカーまがいの行動を繰り返す日々が続いた。

しずちゃんの友人から彼女の連絡先を聞き出すことに成功した山里は、意を決して彼女にメール。用件は書かずにケーキバイキングに誘った。黙々とケーキを口に運び続けているしずちゃんに、山里は彼女の好きな漫画やお笑いについて自分が好きなモノのように話して心を開かせ、自分たちは気が合うのだとアピールした。「こんなに気が合うなら、もっと早く話せばよかったね」と距離を縮めようとする山里。

すると彼女は「でも、東京行く前に話せてよかった」と告げた。新コンビで東京進出を決めていると知り、焦った山里は、「東京のテレビ局は若手を使わない方向だ。これからは出演オーディションも大阪でしかやらない、と東京のプロデューサーに聞いた」と、嘘八百を並べ立て、東京行きを思いとどまらせようとした。

そして、「山里・しずちゃん ネタ台本」と表紙に書かれたノートを出し、「この台本に未来を感じたら、オレとコンビ組んでくれませんか?」と、ついに本題を切り出した。ケーキを食べる手が止まったしずちゃん。彼女は、山里に告白されると思い込み、「それは絶対イヤだ」と思って、告白する隙を与えないようにケーキを食べ続けていたのだった。

「ずっと見てたよ。いっぱい見たけど、キミとなら面白い事が出来ると思って。コンビ組んでるけど、言うだけ言ってみよう、って誘ってみた。ルール違反だけど。ごめん」と、溢れ返る想いをマシンガントークで伝えた山里は、もう一度「この台本が面白かったら、明日の1時に公園に来てほしい」と言い、「よろしくお願いします」と頭を下げた。

■山里のが書いたネタを見たしずちゃんは…

翌日。1時を少し回った時、しずちゃんが走ってやって来た。「コンビ解散してきてん。それで遅なった。ごめん」。彼女は息を切らしながら山里に告げた。“南海キャンディーズ”の誕生だ。山里は“成功への扉”を開くカギを手に入れた。

この後、彼らは大ブレイクするわけで、山里の読みは正しかった。山里が書いたネタが面白かった事もあるが、しずちゃんの存在感もブレイクの大きな要因だ。だが、山里は相方に対するリスペクトは消え、ピン仕事が増える一方の彼女に激しく嫉妬する。「あの子ばっかりじゃん!何もやってないのに」と悪態をつき、プライベートの旅行にまで文句をつける始末。明らかに見下した態度で、ネチネチとイジワルを繰り返し、それが数年間続いていくことになる。

◆文=鳥居美保/構成=ザテレビジョンドラマ部

※高橋海人の「高」は、正しくは「はしご高」

“しずちゃん”役の富田望生/(C)日テレ