チャンスの場面でバントを失敗したブリンソン。打たせる判断もあったか(C)CoCoKARAnext

 5月5日からの中日との3連戦で3連敗を喫した巨人。勝率で5位をキープしたものの、ゲーム差はなくなり最下位転落目前の位置まで来てしまった。3連戦のスコアは、3-8、1-2、1-2と中日投手陣の前に打線が沈黙。リーグトップタイの7ホームランを放っている中田翔が太もも裏の肉離れのために登録抹消されたことの影響を強く感じさせられる内容だった。

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 湿った打線も問題ではあるが、各試合の敗戦投手が田中千晴、三上朋也、直江大輔と全員中継ぎ投手だったことも特筆すべきだろう。なにより、この3投手は全員8回に登板して点を取られている。「大勢にどうつなぐか?」がかねてから課題に挙げられていたが、信頼できるセットアッパーは未だに見つかっていない。リリーフ陣の整備が急務だ。

 打線やリリーフ陣など、課題が山積みな巨人ではあるが、一番の問題は首脳陣かもしれない。現役時代に大洋(現DeNA)で活躍した高木豊氏は7日に自身のYouTubeチャンネルで、5日の試合の4回の攻撃を回想した。

 岡本和真丸佳浩が連続四球で出塁し、ノーアウト1、2塁のチャンスでブリンソンバントをさせた。その結果、キャッチャーフライを上げ、さらには岡本が飛び出していたためにダブルプレーになった。

 高木氏は「バントも決めなきゃいけないけど」としつつも、「ブリンソンの(頭の)中にバントってあったのかな」とブリンソンとベンチの認識が共有できていなかった可能性を指摘。続けて「やっぱり調子が良かっただけにさ。それと下位打線にいくのになぜバントだったのかなっていうね」と違和感を口にした。4日のヤクルト戦では2本のホームランを放つなど、ブリンソンの状態は悪くない。なにより、ブリンソンの後ろは中山礼都山瀬慎之助と下位打線に回るため、ブリンソンに打たせたほうが得点の可能性が広がったかもしれない。

 また、高木氏は7日の試合の8回に福永裕基がレフト前の勝ち越しタイムリーを打ったシーンも振り返り、「ニュースでも出てたけど、(レフトの)梶谷は『もう少し前に守らなければ』って言ってたけど、これって結構ベンチの指示なんだよね」「指示も多分出てなかったと思うんだよ」と勝ち越しのピンチのために梶谷隆幸を前に守るよう指示を出していなかったベンチを問題視する。「やってる選手に安心感を与えてあげないとダメ。コーチが責任を持って『前に来い』『頭抜かれても全然OK』って」「外野手って頭越されるのが一番屈辱的なんだよ。だから前に出てこれなかったのかな」と梶谷が前で守れなかった心境を察し、そのうえで勇気ある決断ができなかったベンチワークに疑問を投げかけた。

 選手と首脳陣の意思がバラバラでは接戦を勝ち切ることは難しい。このままズルズル負けを重ねないためにも、早急な対応が必要だろう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

中日に3連敗の巨人 ちぐはぐなベンチワークを球界OBが疑問視「下位打線にいくのになぜバント」